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<吉祥寺残日録>中曽根、小泉、安倍をも超えた高市旋風!自民単独3分の2の歴史的大勝が日本を中国的な監視社会に変えてしまう懸念 #260209

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高市総理が通常国会の冒頭で仕掛けた電撃解散。

その投開票日となる2月8日、吉祥寺にも久しぶりにまとまった雪が降った。

メディアによる事前の調査では、衰えることのない「高市人気」で自民党の圧勝が予想されていた。

しかし、全国的な大雪のため選挙結果にも多少の影響があるかもしれないと思いながら、私も雪が降る中投票所に足を運んだのだ。

解散の会見において高市総理は、「高市が総理大臣でいいのか、それとも野田総理か斉藤総理なのか、それを問う選挙だ」と事実上の首相公選制であることを訴えた。

政治とカネや統一教会の問題を封印する巧みな戦略である。

同時に「国論を二分するような大胆な政策、改革にも、批判を恐れることなく果敢に挑戦していくためには、どうしても国民の皆様の信任も必要だ」とも述べた。

メディアは解散の大義だの消費税減税の行方にばかり注目していたが、私はそんなことよりも高市さんが言うところの「国論を二分する改革」の中身が気になって仕方がなかった。

私は、自民党が圧勝して高市政権に白紙委任することに強い警戒感を抱いていた。

高市さんが訴える『日本列島を強く豊かに』というメッセージやそれを熱狂的に信奉する支持者たちの言動の裏に、国家権力を今より強くして必要であれば国民の主権を制限してもやむを得ないという、中国的な監視社会につながる危険性を感じていたからである。

なぜなら、習近平氏が推し進めているのは偉大なる中華帝国の復活であり、まさに「中国を強く豊かに」という目標のために国家主導の戦略的投資や積極的な財政出動を実施し、その成果としてアメリカに対抗しうる超大国に成長する一方で、国内では厳しい言論統制が常態化している。

経済成長以上に個人の自由や社会の寛容さが大切だと考える私は、やはり中国のような監視社会にはなってほしくない。

ところが、蓋を開けると専門家の予想をはるかに上回るような歴史的な地滑り現象が起きた。

自民党単独で316議席と衆院定数の3分の2を超え、連立を組む日本維新の会を合わせると衆議院の4分の3を与党で押さえたのである。

自民党は比例名簿に載せた候補者が足りず、やむなく他党に14議席を譲るほどの異常事態となった。

これは高市さんが師と仰ぐ安倍さんも、劇場型政治の典型とされる小泉さんでもできなかった大勝利であり、定数が今より多かった中曽根政権時代に実現した300議席という自民党結党以来の最多議席をも大きく上回る戦後政治史上前例を見ない歴史的圧勝となったのである。

参院選では依然として少数与党ではあるものの、たとえ参院で否決されても衆院で再議決して法案を通すことが可能となったわけだ。

これは文字通り、日本国民が高市総理に白紙委任状を渡したことを意味する。

少数政党が乱立する混乱状態よりは安定政権ができたことは良いと感じる一方、あまりに強すぎる超安定政権にはやはり不安も感じる。

戦後、日本人が持ち続けていたバランス感覚というか、判官贔屓の精神は今日もはや存在しないのかとシニア世代としては寂しい気分にもなるのである。

自民党大勝とは対照的だったのが、立憲民主党と公明党が手を組んで選挙直前に立ち上げた新党「中道改革連合」である。

高市総理が解散を表明した直後に突然浮上した合流話は一時、大きな台風の目になるのではないかとメディアで注目された。

各選挙区に1〜2万人いるとされる公明支持者がこぞって自民から立憲に乗り換えると、選挙の構図がガラリと変わるだろうと選挙のプロたちも予想した。

大急ぎで行われた新党結成は、両党の衆院議員がそれぞれの党を離党して新党に参加するという形でわずか数日の間に実現した。

参議院議員や地方議員はこれまで通り、立憲と公明に残るという実に変則的なスタートだった。

立憲民主党では、野田代表のリーダーシップにより反原発や安保法制での立場を変え、ちゃんとした党内議論もなされないままに公明党が掲げた中道の方針にすり寄った。

両党とも支持率が下降していて、このまま何もぜず選挙に突入すれば惨敗するという危機感が議員たちの不満を封じ、立憲からの離脱者は原口氏らごく僅かだった。

要するに、自民党の安全弁として機能してきた公明票を自民から奪い、それを自らの味方につけるのが立憲・野田代表の作戦である。

一方の公明党の方はといえば、小選挙区での擁立を見送り全員比例に回る代わりに比例名簿の上位に旧公明党の議員が名を連ねるという戦わずして勝つ取引である。

野田さんと斉藤さんの頭の中には、ゆくゆくは石破さんら自民党内の穏健派の合流も想定し、強まる一方の保守への流れに対抗する中道の対立軸を作ろうとするチャレンジだった。

しかし、結果は悲惨だった。

立憲民主党の生みの親である枝野元代表をはじめ、野田さんと共に新党立ち上げを主導した安住幹事長や馬渕氏、長年民主党の顔だった岡田氏や小沢氏もことごとく小選挙区で敗れ比例復活も叶わなかった。

比例の上位を占めた公明出身の候補は28人全員が当選し、解散前の議席を上回ったのとは対照的に、立憲民主党出身の当選者は21人だけとなり、改選前の7分の1に減ってしまった。

前代未聞の大惨敗。

30年以上反自民の中核をなし、一時は自民党から政権を奪うことさえあった民主党が、今回の選挙で完全に崩壊したのである。

野田、斉藤両代表は当然辞意を表明したものの、ここまで惨敗すると立憲の中には不満が爆発しており、新党はいきなり消滅の危機に立たされた格好だ。

この結果、私にはかなりショックだった。

私はもともと、左右を問わず極論は嫌いで、一見凡庸で退屈に見える中道の政治にこそ社会を平和に保つ道があると信じてきた。

今もその信念に変わりはない。

しかし、多くの有権者はそうは感じないらしい。

中道を標榜する政党はヨーロッパでは伝統的に多いものの、アメリカでは二大政党制であり、日本でも自民と反自民の構図で長年政治が動いてきて、有権者の間に「中道」という概念がまったく浸透していない。

高市政権誕生とともに袂をわかった公明党が突然掲げた「中道」の旗。

それに立憲民主党が飛びついたことで、本来は重要な政治的スタンスであるはずの「中道」という言葉は、ご都合主義の選挙互助会というイメージで日本の有権者の目には映ってしまったようだ。

これこそは、とても不幸なことだと思う。

真の中道政治が日本に根付くことは当分ないだろう。

日本初の女性総理大臣、高市早苗さん。

自民党の中にありながら、料亭政治とは常に一線を画し、派閥に属さず、群れることなく、自らの政治スタンスと政策を磨いてきた。

やりたいことを迷わず進めるスピード感、今回の選挙でも異論が出そうな政策を隠すことなく情熱を持って訴えた。

その姿勢は素直に評価したい。

後ろ盾だった安倍元総理が凶弾に倒れ、政治とカネの問題で多くの同志が永田町から去る中で、一時は高市さんが総理になる目は消えたかと思われたが、彼女には運も味方する。

中国、ロシア、北朝鮮による軍事的圧力が高まる一方、日本を守ってくれるはずだったアメリカではトランプさんがやりたい放題、日本人の多くが漠然とした不安を感じるようになった。

笑顔と強さを兼ね備えた高市さんの主張が幅広い年代の国民の心を掴んだのも、強い指導者たちが傍若無人に振る舞う時代が到来し、日本にもそうした他国のリーダーと張り合える強い指導者が欲しいと感じる人が増えたのだろう。

去年の参院選で躍進した参政党を完全に凌駕する勢いで高市総理の動画がYouTube上で再生されたのも今回の選挙の特徴である。

高市さんは前任の石破さんに比べて明るくて、言葉がわかりやすく、外国の首脳とも堂々と渡り合う。

単に女性というだけでなく、SNS時代にふさわしい振る舞いのできる目新しくて強かなリーダーだ。

野党がこぞって消費税減税を訴えるとみるや、維新から突きつけられた2年間の食料品限定の消費税減税に言及、見事に争点化することを避けるとともに、自民党ではなく高市早苗を前面に出した選挙戦に持ち込んだのは見事な策士と言っていいだろう。

「サナ活」という言葉まで生まれるほどアイドル化し、これまで選挙に行かなかった有権者が高市さんの登場で政治に興味を持ったことは、民主主義にとっては悪いことではない。

高市自民党の歴史的な圧勝をマーケットも勢いづいている。

選挙翌日の日経平均は一時3000円を超える値上がりとなり、初の5万7000円を達成、6万円の大台突破も視野に入ってきた。

アベノミクスで株価上昇の恩恵を味わった投資家たちは、安倍路線を引き継ぎ「責任ある積極財政」を標榜する高市さんに期待する声は高い。

「貯蓄から投資へ」という政府の政策によって最近NISAを始めた若者たちも多く、株価が上がる政策が支持される可能性は今後も高いだろう。

一方、物価高と絡んで注目される為替の方は、自民党を上回る消費税減税を訴えた野党が伸びなかったことが評価され、懸念されたほどの円安にはならなかった。

当面の注目は株価よりも長期金利の動向ということになりそうだ。

そんなマーケットの動きはさておき、気になるのはやはり、今後高市さんがどんな改革に着手するかという点だ。

東アジアの緊張の高まりを受け、防衛力の強化は優先的に進めるだろう。

それは今回の選挙でも有権者の多くが支持したように見えるし、私も抑止力の強化は必要だと思っている。

世界の紛争地を取材してきた身としては、本当に日本が抑止力を強化したいと思えば、原子力潜水艦搭載の核ミサイルに頼るしかないと考えている。

しかし原潜も核兵器も、「唯一の被爆国」という足枷の中で、これまで政治的にはタブーとされてきたものであり、さすがの高市さんと言えどもハードルは高い。

それでも台湾有事がより現実味を帯びてくれば、世論の支持を得ることは不可能ではないと見る。

むしろ防衛力強化のネックとなるのは、戦地に赴く人間の確保ではないだろうか?

今の自衛隊員はそもそも戦争のプロとは言えず、ましてや定員不足が慢性化している状態だ。

政府は自衛隊員の待遇改善を進めるとしているが、果たしてそれだけで中国に対抗しうるだけの兵力が集まるのか甚だ疑問である。

高市政権が強硬路線をさらに押し進め中国との関係が著しく緊張した場合には、徴兵制の導入に踏み切るのだろうか?

その場合、高市さんを支持している若者たちは徴兵に応じるのか?

手痛い敗戦の結果、80年間の平和を手にしたわが日本は、幸いなことに戦死者を出さずに生きてきた。

だから、日本では軍事に関する議論にリアリティーがないのだ。

「悪者がいたら戦って倒す」というゲームやアニメの世界と現実の戦場は違う。

どんなに中国が嫌いでも、日本の平和を守るためには冷静な議論と周到な計算が不可欠である。

しかし、防衛力の話以上に私が懸念しているのは国家権力の拡大である。

高市さんは選挙後のインタビューで、まず取り組みたいこととして「スパイ防止法」と「国家情報局」を挙げた。

いわゆるインテリジェンスの強化であり、長年野党が強く反対してきた「国論を二分する改革」である。

スパイ天国とも言われる日本に「スパイ防止法」がないのはおかしいと維新や参政党なども強く主張しているので、おそらくすんなりと成立するのだろう。

安全保障上、情報収集能力が極めて重要であることは私も異論はない。

しかし、こうした情報機関の強化が単に外国のスパイを取り締まるだけでなく、国内の治安強化、反政府的な運動の弾圧に使われるのではないかと私は強く懸念している。

高市総理にその気がなくても、一旦法律や組織ができあがるとそれが悪用され戦前の治安維持法のように社会を萎縮させる懸念がどうしても拭えない。

この選挙中、手の怪我を理由に高市さんがテレビの討論番組やインタビューをことごとく断ったことが元テレビマンとして非常に気になった。

高市さんは総務大臣時代、放送免許の剥奪も匂わせテレビ局に前例のない圧力をかけた前科がある。

トランプさんが自分のお気に入りのテレビにしか出ないように、高市さんも今後は取材を受けるメディアを選ぶ可能性が強いのではないか。

高市さんを支持する人たちの間では既存メディアは「マスゴミ」であり、それに出なくてもなんらマイナスはないし、メディアに頼らなくてもSNSを使って政権に都合のいい情報はいくらでも発信できるのである。

中国でもロシアでも北朝鮮でもメディアは権力者のプロパガンダの道具であり、トランプさんもそうしたいと思ってことあるごとにメディアと戦っているのだろう。

権力者にとって、思い通りにならないメディアというのは邪魔な存在なのだ。

戦前、日本が軍国主義に走る過程でも、メディアは真っ先に標的となり、反政府的な人間は現場から追い出されていった。

そうした積み重ねで、何を言っても許される今の自由な日本が変容し、気がつけばみんなが口を閉ざす重苦しい監視社会がやってくるかもしれない。

中国を敵視し右傾化する日本社会だが、その行き着く先が中国的な監視社会だったら、笑えないジョークである。

自民党の党是である憲法改正も今回の大勝利を受けていよいよ動き出すだろう。

戦後日本の大転換、中国のような社会には絶対にならないよう慎重に見守りたいと思う。

私の懸念は現実からかけ離れた妄想だと笑われるかもしれない。

しかし、世論の支持を受け、議会のチェックも効かない政治状況では数年で社会の空気は一変してしまう。

今回の解散について、高市さんは後ろ盾の麻生副総理にも鈴木幹事長も事前に伝えなかったと報じられている。

ごく身近な側近だけで物事を決めて世論に直接訴えてどんどん既存のルールを壊していくのだとすれば、幅の広さが売りだった自民党内のチェックも働かなくなるだろう。

そうでなくては既得権を打破する改革などできないというのも事実だが、一方で権力の暴走を止める仕組みはもっと重要である。

高市さんの周辺を見ていると、どこか満州事変を起こした青年将校のような危うさを感じてしまう。

彼らが独断で起こした謀略が国民の支持を得たことにより、軍上層部も政府までも彼らの行動を追認することとなり、日本は一気に戦争の道にのめり込んでいった。

ましてや高市さんは一国の総理大臣、この国の最高権力者である。

トランプさんほど勝手気ままに振る舞うことはできないだろうが、高市さんのような強かな策士であれば、国のかたちを一気に変えるような大変革をもたらしうる。

多くの国民が望むその突破力が、私には恐ろしく、ついつい悪い想像を巡らせてしまうのだ。

無党派である私は、今回の選挙で安野貴博党首率いる「チームみらい」に投票した。

各党の中で唯一消費税減税を訴えず、データやテクノロジーを重視して、SNSの問題点とも言える「分断を煽らない」「相手を貶めない」という彼らのスタンスが今の時代とても重要だと感じたからだ。

私と同じように感じる人も多いようで、2024年の都知事選をきっかけに生まれた新しい政党は、昨年の参院選での初議席に続き、初めて挑戦する衆議院選挙でもいきなり11議席を獲得して、参政党とともに一定の存在感を持つ政党に飛躍した。

圧倒的な巨大与党を前に「チームみらい」のような小政党がどのように振る舞えるのかは難しいが、これまでの政党とは肌合いの全く異なる新政党が出てきたことには若干の希望を感じる。

安野さんのような若いリーダーが新たな「中道」の道を切り開いてくれることを私は切望している。

戦争を知る世代がほとんどいなくなり、戦後の日本社会も一巡したということか。

戦争を知らない者同士がSNSで議論して、右傾化が進んだ一面もあるかもしれないが、平和な日本でのほほんと生きていることに漠然と不安を感じる世界情勢の変化が今回の選挙にも強く現れているように思う。

「失われた30年」という言葉が安易に使われて、多くの日本人は必要以上に自信を失っているのではないかと感じる。

私はこの30年で日本人はむしろ成熟したとポジティブに評価しているけれど、良くも悪くもこれが民主主義だ。

自分がもはや日本人のマイノリティーになったことを最近強く自覚する。

理性や協調ではなく、フェイクや強権が支配する時代の到来を、私も受け入れるしかないのだろうか?

雪が積もった井の頭公園のように、物言えぬ寒々とした時代が来ないことを祈るばかりだ。

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