カリブ海の旅から20日に無事帰国した。
溜まった疲れが出て家でゴロゴロしているものの、心配した時差ボケもほとんどなく、夜もしっかり眠れている。
すごく久しぶりに近所の整体に行って少し体をほぐしてもらった後に井の頭公園を歩くと、もうすっかり梅の花が咲いていて、春の到来が近いことを感じる。
農閑期の2月に少し長めに旅行をすると、花粉を吸う量を減らすことができる気がして、これからも毎年2月は海外旅行を計画したいと思っている。
私が日本を留守にしている間、それほどビックリするようなニュースは起きていなかった。
強いてあげれば、ロシアの反体制派指導者ナワリヌイ氏が獄中で突然死を遂げたニュースぐらいだろうか。
ロシア当局は「ナワリヌイ氏は散歩の後に気分が悪くなり、直後に意識を失った」としているが、誰もそんな言い訳は信じない。
3月の大統領選挙を前に、プーチン政権は一段と独裁者としての顔を隠そうとしなくなったということだろう。
しかしこれとて、ある程度想定されたことである。
それよりも何より驚いたのは、株価の急上昇である。
今日ついに日経平均株価がバルブ時の最高値を更新して、史上初めてとなる3万9000円を突破したのだ。
今年、日経平均が史上最高値を更新する可能性が高いとは思っていたが、2月にして早くもそれが実現されるとは正直考えてもいなかった。
ところが、私がカリブ海を回っている間に、株価はスルスルと上昇していった。
私が旅行に出発する前、2月2日の終値は3万6158円だった。
それが9日には3万7000円を突破、15日には3万8000円を記録し、そして今日22日、ついに史上最高値を更新する3万9000円をつけたのだ。
振り返れば、今年の取引開始となった1月4日の終値は3万3288円だった。
ここからわずか50日で一気に6000円近くも上がるとは専門家でも予想した人は少なかったはずだ。
私は当然いつものようにこの波に乗れず、ただ茫然と上がっていくチャートを眺めていた。
よく言われるように、長期分散の資産運用をしていれば、この急騰局面でそれなりの恩恵は得られたはずなのに全く情けないばかりだ。
ここに来ての株価急騰の背景には、日本企業の好業績がある。
トヨタやホンダといった自動車産業は史上最高の利益を発表し、長く苦しんでいたメガ銀行も軒並み最高益の好決算だったようだ。
上場企業全体で見ても、2024年3月期の純利益が3期連続で過去最高を更新する見通しだそうで、ドイツに抜かれGDPで4位に後退したと言われながらも日本企業は総じて好調らしい。
3年に及んだコロナ禍がようやく終わり、政府主導で進められる「賃上げと物価の好循環」運動も功を奏して、さらに1ドル150円の円安も企業決算を大いに押し上げた。
地上げが横行し、無理に無理を重ねた1980年代とは明らかに事情は異なっているということだ。
そして株価の急騰を演出した主役は今回も海外投資家だった。
世界全体でも適温相場と言われる高値安定の状況が続いているようで、その中にあって中国市場から日本とインド市場へのマネーの移動が起きているという。
不動産不況が長引き、一時の勢いがなくなってしまった中国市場を嫌い、より成長が見込めるアメリカをはじめ、日本とインドに海外投資家の注目が集まっているのだ。
アメリカとインドではすでに以前から史上最高値更新が続いていて、出遅れていた日本市場もようやくその恩恵に預かるタイミングになったようである。
アメリカ人にとってみれば、株式市場は長期的には上がるのが当たり前で、リーマンショック以来、コロナ禍の一時的な下げはあったものの、ずっと上昇局面が続いている。
バブル崩壊後地獄を見た日本の投資家たちとは見ている光景が違うのである。
さらに日本独自の理由も株価を下支えしているらしい。
一つは今年から制度が変わりより魅力を増した「新NISA」である。
これにより、これまで銀行に眠っていた日本人の個人資産が株式市場に流入することが期待される。
さらに、今年7月から発行が予定される新紙幣への切り替えだ。
これにより自宅に隠してある「タンス預金」が市場に出てくることが予想され、すでにタンス預金の残高がマイナスに転じたと日本経済新聞が伝えていた。
どうやってタンス預金の残高を把握するのかわからないが、人間の行動はちょっとした変化によって変わってくるということだろう。
「景気は気から」とよく言われるが、一度上がり始まると人々の気分も変わってくる。
最高値を更新して一時的に達成感が出ることはあるかもしれないが、まだ当分最高値更新が続く可能性が高いと私は見ている。
まあ、私の予想などいつも当たらないのだが・・・。
株を持つものと持たないものの格差は一段と広がっていく。