暑さ寒さも彼岸まで。
昔の人の言う通り、異常に暑かった夏もようやく終わりが近づいてきた。
草刈りをしながら空を見上げると、積乱雲が姿を消し、秋の雲が高い空にたなびいている。

それにしても今年の夏は暑かった。
日本全国の平均気温は平年を2.36度も上回り、観測史上最も暑い夏となった。
各地で連日の猛暑日が続き、東京都心で見ると最高気温35度以上の猛暑日は23日、30度以上の真夏日は87日を記録、もちろん過去最多の日数である。
しかし7月早々に梅雨が明けた西日本では東京の比ではない。
岡山でもこの夏記録した猛暑日の日数は実に48日、なんと東京の倍以上である。
これまでは夜寝る時にエアコンをほとんど使わなかった私でも、今年はさすがにエアコンを夜通しかけて寝ることが増えた。

こんな酷暑の中、果たして我が家のブドウはどうなっているか?
東京での用事を済ませて岡山に飛んだのは9月12日。
ほぼ1ヶ月間放置していたブドウ畑は雑草に覆われていた。

ブドウの収穫に必要なところの草をまず刈って、ピオーネとシャインマスカットをコンテナ2つ分摘んでくる。
土間のテーブルにシートを敷き、収穫したばかりのブドウを並べてみた。
果たして、ちゃんと育っているのか?
袋を破るこの瞬間は毎年ドキドキするものだ。

中には傷んだものも含まれているが、全体的には予想以上に立派なブドウができていた。
プロ農家のように形の整ったブドウではないけれど、放置プレーでこれだけできればありがたい限りである。
1粒つまんで食べてみると、とても甘い。
晴天と暑さの影響で、今年のブドウは小粒だけれど糖度が高いという報道は我が家のブドウについても当てはまっているようである。

伯母が亡くなる前に苗木を植えたシャインマスカットも、今年初めてまともな房を実らせた。
とはいえ、まだ成長途上で実は小さく、ジベレリン処理を施したにも関わらずタネが残っていた。
味の方はシャイン独特の甘さで、個人的にはやはり従来のマスカットの方が好みだと感じた。

こうして味を確認したうえで、再び100房ほど収穫したブドウは、早速箱詰めしてまずは家族宛に発送する。
私たちの息子3人と弟家族が4軒、それぞれ2箱ずつ送るだけでかなりの量になった。

その2日後、今度はピオーネと共に岡山が誇るマスカット・オブ・アレキサンドリアも収穫する。
JAの栽培カレンダーでもアレキの収穫は10月初め頃となっているが、この暑さのせいかすでに完熟状態で、これ以上木にぶら下げていても腐っていくだけだと判断した。
従来のマスカットは私の大好物なので、ほとんどは私が自分で食べるために冷蔵庫で保管、一部形のいいものを選んで欲しいと言ってきた友人たちにピオーネと共に送る。
友人たちは送料など経費を請求してくれと言うので、フードバンク支援活動のカンパ名目で1人3000円をPayPayで送金してもらうことにした。
送料にしても資材代にしても、この1年で全てが大幅に値上がりした気がする。

こうして家族と友人に送り、自分たちが食べる分を取り分けた残りのブドウは全て、岡山市内にある「コミュニティーフリッジ」というフードバンクに持っていく。
朝収穫した分を計3回、全部で200房ほどのブドウを今年は寄付した。
お店で買えば1房500円ほどするので、ざっと計算するとおよそ10万円相当の寄付ということになる。
でもこのフードバンクがあるおかげで、こちらの都合のいいタイミングで余った農作物を無駄なく処理することができ、我が家としても大助かりなのだ。
こうして真冬の剪定から始まった今年のブドウの世話も無事に終了である。

こうしてブドウの収穫が一段落したタイミングで、思わぬトラブルが発生した。
車に道具を積んで畑に草刈りに行った翌朝、左側のタイヤ2本がパンクしているのに気づいたのである。
どうやら畑の入り口に積み上げた古いブドウ棚の支柱についていた針金が原因らしい。
車が動かせないとたちまち生活にも支障が出るので、初めてJAFに電話してみたら、その日のうちにド派手な作業車が我が家にやってきた。
乗っていた2人の隊員はこのクソ暑いのに重装備で、まるでウルトラ警備隊だ。

JAFの人はさすがに慣れた様子で、素早くタイヤを外すと、パンクの箇所とすぐに特定してくれた。
タイヤの溝とは明らかに異なる小さな穴がタイヤに開いていた。
これならば修理工場までレッカー移動しなくても、その場で応急処置が可能だろうとJAFの人は言った。

パンクの穴に工具を差し込み・・・

特殊な筒状のものに接着剤を塗って穴に押し込む。
しばし固まるのを待った後、はみ出した部分をカットして修理終了だ。
時間にしてわずか10分足らず、さすがにプロの仕事である。

応急修理とはいえ、高速道路などを走行せず近場を普通に運転するだけならば、このままでも走行に問題はないという。
しかも、この車を購入した時に半ば強制的にJAFに加入させられていたので、会員特典として修理費は無料だった。
今年の年末で5年の会員期間が終了直前でのパンクだったので、大いに助かった。
自動車保険にもロードサービスはついているけれど、困った時にはやはりJAFは心強い。
もうすぐ定期点検の時期なので、そのタイミングでタイヤをもう一度しっかりチェックしてもらうと共に、JAFの契約も更新しようと決めた。

こうしてバタバタと過ぎていった9月の岡山滞在だったが、最後の数日で主な畑の草刈りを済ませ、わずかに耕した畑にジャガイモとニンニクを植えた。
農作業では、季節ごとにやるべき作業が決まっている。
面倒であっても、必要最低限の仕事をしなければならないのだ。

滞在の最後には裏庭の草を大雑把に抜き、ホームセンターで買ってきたブロッコリーと白菜の苗を植えておいた。
ついでに引き出しに残っていたレタスのタネも蒔く。
水やりもできないので、この苗が育つかどうかはわからないけれど、こうしてタネを植えておけば次に訪れる際の楽しみにもなるのだ。
痛めた膝のリハビリのためひと足先に帰京した妻の後を追って、私も22日には東京に戻った。
東京と岡山の二拠点生活、慌ただしい分、単調な老後に新鮮な刺激を与えてくれている。