<きちたび>大連3泊4日の旅①  かつて満州国があった土地に初めて足を踏み入れる

大連満鉄旧址陳列館

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街には旧型の路面電車が今も走り、遠い過去の出来事を私たちに想像させる。

この路面電車に乗って最初に訪ねたのは・・・

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日本の満州統治の中核を担った満鉄(南満州鉄道株式会社)の本社。

今は「大連満鉄旧址陳列館」として一部見学客に開放されている。といっても、訪れるのは日本人ばかりのようで、日本語を話す中国女性が案内してくれる。入場料として1人50元取られる。

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2007年、満鉄100年を記念して、復元と開放が行われたのだという。

もともとロシアが建設した建物ということで、内装もロシア風のきらびやかさだ。

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2階のホールを改装して陳列館にし、満鉄や日本統治の歴史を写真パネルで展示しているのだが、残念ながら撮影禁止だ。

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ちょっとインチキして、1枚だけ写真を撮らせてもらったが、満鉄の機関車は今でも格好いいと思ってしまう。技術者の夢が詰まっているのがビンビン伝わってくる。

この展示の説明をする中国人女性は、日本人客に対して日本の悪事について一切説明はしなかった。しかし、中国語で書かれたパネル展示の中には、明らかに日本を糾弾するような内容が含まれていることは写真や説明書きの漢字を見ればすぐわかる。もし中国人客が来たら、日本人に対する説明とは違う案内をするのだろう。

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「野蛮掠奪中国財富、搾取中国人民血汗」など日本人にもわかる表現がある。しかし、この文章については一切触れられなかった。

これも、日本人に不快な想いをさせないようにとの、中国側の配慮なのだろうか。

東京発奉天行き特急

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別室には、満鉄の路線図が展示されていた。

太平洋戦争研究会編「[写説]満州」には東京からの直通列車の話が出ていた。

『東京(午前8時30分発)〜下関〜関釜連絡船〜釜山〜京城(現ソウル)〜新義州〜鴨緑江鉄橋を通過〜安東〜奉天(2日後の午後9時55分着)の特別急行列車が週3回運行されるようになった。』

これを見ながら、つい先日このブログに書いた「ユーラシア特急」の構想と重なった。南北融和が進めば、ソウルや釜山から北朝鮮、中国を抜け、ロシア・ヨーロッパに繋がる鉄道路線が開設できるという韓国政府の構想だ。日本統治時代には、実際に釜山から満州に至る鉄道網が運行されていたのだ。

そして同じ部屋でこんな物が売られていた。

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ガラスの切子だ。

切子の技術は日本人が大連に持ち込んだ。そして大連では今も切子が作られている。中国では切子と言えば大連なのだそうだ。

そしてここに並んだ切子グラスの底には満鉄のマークが刻まれている。この切子を売った収益は、施設の改修費用に当てられるのだという。

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この街は明らかに中国の街なのだが、所々にはっきりと日本の影が残っている。