帰省先の岡山で母に何か食べたいものはないかと聞くと、「家であまり作らないのは天ぷらかな」と答えた。
そこでネットで調べて、母のマンションの近くに食べログ評価の高い天ぷら屋さんをみつけた。
「天ぷら 鎧」。
住宅街の路地沿いにポツンと店を構えている。
少し早く到着したので、まだ暖簾も出ていない。
近くのスーパーで時間を潰して再度出直した。
事前に電話をして、「おまかせ天ぷら」を注文した。
テイクアウトできるかを確認すると、「ホームページにメニューが載っているので、どれでもお持ち帰り可能です」と言われすぐにメニューをチェックして注文をした。
夕方の開店は午後6時だが、用意するのに少し時間が必要なので6時10分に取りに来るよう言われる。
店内に入ると、ご主人が一人で天ぷらを揚げていた。
料亭魚峰(うおみね)(岡山市天神町戦前営業)を本家にもち、昭和29年割烹鎧(岡山市表町3丁目)にのれんをあげる。平成6年に天ぷら「鎧」を開店。
出典:公式サイト
この住宅街にお店を開いて27年、味に自信がないとお店を続けるのも難しいような場所だ。
この日は夕方の営業が始まったばかりで、まだお客さんは一人だけだったが、板の間のテーブルに座って揚げたての天ぷらをいただくのも悪くない。
コロナが終息したら、家族を連れて立ち寄りたい風情がある。
食材が売り切れ次第終了なので、注意が必要だ。
カウンターでは女将さんらしき人が私のテイクアウトを用意してくれていた。
せっかくなので、天ぷらのネタを教えて欲しいと頼むと女将さんがわざわざ紙に書いてくれた。
とても親切だ。
天ぷらは弁当箱2つに分けて渡された。
まだ温かい。
天つゆももちろんついている。
フタを開けると、天ぷらがどっさり・・・。
「おまかせ天ぷら」(3900円)。
公式サイトには、「店主自信の天種 13種以上」と書き添えてある。
母の食器戸棚からお皿を2枚取り出して、天ぷらを並べてみた。
彩りの華やかさには欠けるが、女将さんが書いてくれた紙を見ると、瀬戸内の幸がふんだんに使われた魅力的な天ぷらであることがわかった。
順番に書き残していく。
まずは一皿目、長いアナゴのような天ぷらは岡山ではポピュラーな「サヨリ」。
一年を通して獲れますが、早春の風が吹きだす頃、サヨリは25cm〜30cmになって瀬戸内沿岸に戻ってきます。
引用:岡ビル市場
サヨリは上品で淡白な味と、身の美しさが人気です。糸造りなどの刺身やすし種、ほかに塩焼き、天ぷら、酢の物、すまし汁、干物などにされます。どれをとっても楽しめる魚です。
「サヨリ」の奥には高級食材の「タイ」と「フグ」、それぞれ大葉を巻いて揚げてある。
手前は「ケンサキイカ」の天ぷら。
「ケンサキイカ」は日本海のものが有名だが、岡山沖の瀬戸内でも釣れる。
奥の白い方が「シラウオ」で、赤い方は「タイマコ」。
「タイマコ」は鯛の卵で、岡山では雌の卵巣である「真子」はポピュラーな食材だ。
こちらのお皿には、「フグ白子」の天ぷらも入って7品。
どれも瀬戸内の味覚が満載の東京ではなかなか食べられない贅沢な天ぷらである。
もう一皿を見ていくと、手前にある4匹の小魚は「メゴチ」、その奥にあるのは春の味覚「タケノコ」だ。
「メゴチ」は、体長20cmほどのマイナーな魚だが、天ぷらネタとしては珍重され知る人ぞ知る高級魚だという。
メゴチとは、セトヌメリ、ネズミゴチなどネズッポ類の地方名で、県内のスーパーや直売所などで、春から夏までの期間に、時折店頭に並んでいます。少しマニアックな魚ですが天ぷらの材料として重宝されます。
引用:岡山県水産課
こちらは、手前が「ホタテ」で奥が「キス」。
天ぷらネタとしてポピュラーな「キス」も岡山沿岸で簡単に釣れるらしい。
どちらも大葉を巻いて揚げてある。
そのほか、こちらのお皿には「エビ」、「アナゴ」、「シャコ」、「サゴシ」が入っていた。
「サゴシ」というのは、出世魚である「サワラ」の子どもで体長40〜50cmのもののことを言う。
「サワラ」は岡山を代表する海の幸である。
天つゆのほかに、2種類の塩も入っている。
魚介中心の天ぷらなので、断然お塩の方がオススメだと私は思う。
店主こだわりの天ぷら15種類。
これを母と2人で分けて食べる。
もちろん揚げたてというわけにはいかないが、家に持ち帰ってもまだ温かいままで、とても美味しくいただけた。
岡山の幸を満喫できる絶品豪華な「おまかせ天ぷら」、ちょっと感動ものである。
今度は絶対、お店で食べたい。
食べログ評価3.53、私の評価は3.80。
「天ぷら 鎧」 電話:086-245-0461 営業時間:11:30~14:00 / 18:00~21:00 定休日:月曜日夜、火曜日、水曜日 https://yoroi-okayama.jimdofree.com/
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