🇯🇵 広島県/広島市 2026年4月19日
今年の春は異常に暖かい。
そのため、岡山での畑仕事も例年よりも前倒しして進めているため、4月はなかなか忙しかった。
そんな中、引っ越しのおかげか体調が良いという妻から旅行の誘いがあった。
行きたい場所を尋ねると、「宮島に行ってみたい」と言う。
岡山育ちの妻だが、広島方面にはほとんど縁がなかったらしく、宮島にも一度も行ったことがないと言うのだ。
かくいう私も、子供の頃に親に連れられて一度行ったことがあるようだが、ほとんど記憶に残ってはいない。
そんなことで、話はとんとん拍子で進み、1泊2日で宮島見物に出かけることとなった。

岡山駅近くの駐車場に車を停めて、新幹線に乗り込む。
本当は最寄りの東岡山駅の駐車場に停めたかったのだけれど、日曜日ということもあってかどこも満車で仕方なく割高な岡山駅近くの駐車場に停めざるを得なかった。
これならタクシーを呼んだ方が安かったと妻に嫌味を言われる。

岡山から広島までは新幹線でわずか40分。
旅情を楽しむいとまもなく、あっという間に着いてしまった。
ところが、降り立った広島駅でちょっとしたサプライズが。
いつの間にか駅ビルが新しくなっていて、岡山と比べて今風な都会に様変わりしていたのだ。
調べてみると、広島の新しい駅ビル「minamoa(ミナモア)」が開業したのは去年の3月のこと、大型商業施設にホテルやシネコンもある複合施設で、大いに賑わっていた。

中でも目玉となるのは、駅ビルの2階に設けられた路面電車のターミナル。
駅前の交通を妨害しないために、わざわざスロープを作り路面電車を2階に誘導したという力技だ。
岡山駅でも唐突に路面電車の停留所を駅直結にする工事が行われているが、どうやら広島の真似らしい。
岡山の人はよく広島をライバル視するけれど、やはり客観的に見れば広島の方がだいぶ都会である。

そんな真新しい駅ビルを横目に私が向かったのは、再開発から取り残されたような雑居ビル「広島フルフォーカスビル」。
ネットで探したお目当ての店がこのビルの6階にあるという。

エレベーターを降りて、またまた驚いた。
そこは1フロアにたくさんのお好み焼きさんが大集合したまさにお好み焼きのテーマパーク。
どの店も鉄板を囲むように客が座る屋台スタイルで、ちょうどお昼時、多くのお客さんで賑わっていた。

その名も「ひろしまお好み物語駅前ひろば」という場所らしい。
広島と言えばお好み焼き、私もかつて広島のテレビ局の人に連れられて新天地にある「お好み村」という屋台村に行ったことがあったが、こんな駅近くにも似たような場所があるとは知らなかった。
普段粉物は食べない妻も、この日はお好み焼きを食べると言って、自ら率先してずらりと並ぶ13店のお店を品定めする。

最終的に決めたのは、エレベーターからすぐのこのお店。
「焼くんじゃ」
客もたくさん入っていて、焼いているお兄さんもいい感じだ。
それ以上に決め手となったのはその店名。
学生時代、深作欣二監督の任侠映画「仁義なき戦い」にハマった私にとって、広島弁の響きはどこかヤクザな印象に直結しているのだが、実はこの「じゃ」という語尾は私が育った岡山弁にも共通する。

メニューを見ると、店の一番人気も「焼くんじゃ」だった。
通常の肉玉のお好み焼きに、ネギ、イカ天、大葉が入っているものらしい。
もちろん広島なので、お好み焼きにはそばかうどんが入っている。
私は迷うことなく、その「焼くんじゃ」を、そして妻はオーソドックスな「肉玉」(980円)を注文した。

店内を見回すと、壁には当然の如く、広島カープ関連のポスターが貼られ・・・

お好みソースもやはり「カープ」だった。
この「カープソース」、広島県北部の三次市にある小さな醸造所で製造されているそうで、鯉の滝登りにあやかって命名したところ広島カープの活躍とともに有名になってしまったとのこと。
お好み焼きソースといえば「おたふくソース」だと思っていた私には、ちょっとした発見だった。

お好み焼きを焼く店員さんとお客さんの会話も当然の如く広島カープの話題。
近頃プロ野球を見ることがほとんどなくなった私には、いささか付いていけない話だったが、地上波テレビでプロ野球中継がなくなり、スポーツニュースでもメジャーリーグの話題が中心の昨今でも、広島に来れば昔さながらプロ野球の人気は未だ変わらないことを知る。

そうこうしているうちに、鉄板の上では私たちが注文したお好み焼きが出来上がっていく。
お好み焼きの生地の上でそばが焼かれ、さらにその上をたっぷりの「カープソース」が覆い尽くす。
高校時代、授業をサボって友人と学校裏のお好み焼き屋に通っていたことを思い出す。
あの頃のお好み焼きといえば、高校生でも気軽に食べられる値段。
確か数十円だったような気がする。

まず最初に、妻が注文した「肉玉」がカウンター上に貼られた狭い鉄板の上に置かれる。
見た目は王道の広島風お好み焼きだ。

続いて私がオーダーした一番人気の「焼くんじゃ」。
値段は500円以上違うのだが、サイズや厚みはほとんど変わりなく、見た目の違いといえば上に載ったたっぷりの刻みネギだけに見える。
それでも、ネギの緑が加わるだけで、どことなく高級感を感じるから不思議なものである。

一口食べると、甘いのソースの味が口の中に広がった。
「カープソース」はちょっと甘口なのかもしれない。
残念ながら、イカ天や大葉の風味も濃厚なソースの味にかき消されて、私の鈍感な舌ではほとんど感じることができなかった。

ヘラでお好み焼きを切ろうとすると、底の部分が妙に切りにくい。
何か紙でも敷いてあるのだろうかと引っ張り出してみると、クレープのような円盤が出てきた。
小麦粉を溶いた焼いた生地のようだが、岡山で食べていたものに比べて硬さがあるように感じる。

宮島見物の途中で立ち寄った「ひろしまお好み物語駅前ひろば」。
結論から言えば、場所の雰囲気は面白いけれど、特別美味しいお好み焼きが食べられるというわけではないようだ。
そもそも庶民の味だったお好み焼きに1500円も払うのには未だかなりの抵抗がある。
とはいえ、広島駅で時間があれば、立ち寄ってみたいスポットであることは間違いない。
広島に来たことを実感するには最高の場所、予約も可能らしい。
食べログ評価3.48、私の評価は3.40。
「お好み食洞 焼くんじゃ」
電話:082-568-7842
営業時間:11:00 - 23:00
定休日:無休
https://www.instagram.com/yakunja_ekimaehiroba/