<きちたび>奈良の旅 2019〜ふるさと納税でゲットした名門「奈良ホテル」に夫婦で一泊してみた

🔶「旅したい.com」から転載

<奈良>ふるさと納税でゲットした名門「奈良ホテル」に、夫婦で一泊してみた

🇯🇵奈良 2019年11月30日~12月1日

ふるさと納税の返礼品には、旅行関連のものが結構あります。

宿泊券や旅行券、中には飛行機とホテルがセットになった高額のものまであるのですが、今回目についたのが奈良市の返礼品。東大寺や春日大社にもほど近い名門ホテル「奈良ホテル」のペア宿泊券、朝食付きです。

この宿泊券を手に入れるためには奈良市に10万円納税する必要がありますが、ふるさと納税の場合、後からほぼ全額還付されるので事実上タダで利用できます。

ふるさと納税でゲットした「奈良ホテル」での宿泊についてまとめてみました。

創業110年の老舗ホテル

この週末、奈良は快晴に恵まれました。

京都駅から近鉄で奈良へ。

近鉄奈良駅からぶらぶらと歩いてホテルに向かいます。

途中、興福寺の五重塔を横目に眺めながらの気持ちのいいお散歩です。紅葉の季節なので観光客がすごいかなと思っていたのですが、京都に比べればずっと落ち着いた雰囲気です。

近鉄のコピーではないですが、「わたしは、奈良派。」だと確信しました。

荒池越しに丘の上に奈良ホテルが見えてきました。

ちょうどお昼時なので逆光ですが、なかなかの佇まいです。

「奈良ホテル」のプレートがかかる門を抜け、だらだらとした坂道を少し登っていくと・・・

奈良ホテルの「和モダン」な建物が姿を現します。

明治42年(1909年)10月に営業を開始したので、今年でちょうど創業110年を迎えたところです。

瓦葺きの本館は桃山御殿風の檜作り。

和洋折衷の客室からは奈良公園も望めるそうですが、こちらはお値段も高めで、ふるさと納税の私たちが泊まるのは棟続きの新館でした。

それでも、受付は本館の正面玄関から。

板張りのクラシカルなエントランスには、赤絨毯が敷かれています。

昭和59年築の新館

館内に入ると、明治時代の和洋折衷文化に包まれます。

ホテルロビーの上部は吹き抜けになっていて、ロビーを見下ろすように廊下が配してあります。

格天井と和モダンな照明器具。建物全体が文化財といった趣です。

チェックインは通常午後3時。

私たちは午後1時すぎにホテルに到着したのですが、幸い部屋の準備ができているということで早めに部屋に入ることができました。

私たちが案内されたのは、昭和59年(1982年)に建設された新館。

新館といっても、カーペットが敷かれた客室はとても落ち着いた雰囲気でした。

フロントがある本館1階が新館の5階にあたり、私たちが宿泊した1階の部屋にはエレベーターで下に降りていきます。

窓辺に置かれたテーブルと椅子・・・。

レースのカーテンから柔らかい日差しが差し込みます。

壁紙もシック。

新館のお部屋には、吉野地方の建築様式「吉野建て」が採用されているそうです。

ゆったりとしたベッドは、少し硬めで寝心地がとても良かったです。

引き出しには、浴衣とバスローブが収まっていました。

デスクの上に置かれた箱は、牛乳石鹸と奈良ホテルがコラボした創業110周年の記念品。

牛のイラストが特別に鹿に変わっています。

宿泊客は記念に持ち帰ることができるというので、いただいて帰りました。

バスルームは、ちょっと昔風のユニットバス。

洗面台の人工大理石が、昭和の香りを残しています。

トイレの水を流すこんな棒も最近ではすっかり見なくなりました。

極め付きは、こちら。

洗面台の側面に取り付けられていた金具、これって栓抜きじゃないですか?

昔はこんな金具でビールやコーラの栓を抜きましたが、今では完全に姿を消しました。

昭和にタイムスリップしたような懐かしさが味わえます。

レースのカーテンを開けると、庭の木立が目の前に広がります。

サッシを開けて、小さなベランダに出られました。

身を乗り出すと、新館のベランダが見えますが、まったく他人の視線は気になりません。

奈良市内を見下ろす本館もいいかもしれませんが、森の静寂に包まれた新館も素敵でした。

皇室と「関西の迎賓館」

部屋に荷物を置いて、少しホテルの中を探検します。

まず目についたのは、本館廊下に飾られた写真。

若き日の天皇皇后両陛下。

秋篠宮家の写真もたくさんあり、真子さんの写真は最近のもののようです。

そして、上皇と美智子さんの写真もいくつもあります。

奈良ホテルは創業当時から「西の迎賓館」と呼ばれ、皇室のみなさんを数多くお迎えしてきました。

日露戦争後の訪日客急増を受けて、古都奈良にも本格的な西洋ホテルを作ろうと鉄道院が鹿鳴館の2倍の巨費を投じて建設した事実上の「国営ホテル」だったのです。

設計を担当したのは、東京駅の駅舎も作った辰野金吾と片岡安のコンビでした。

もともと鉄道と関係が深かったこのホテル。

現在はJR西日本の完全子会社となっているそうです。

ロビーに展示されていた当時の食器にも鉄道との縁が表れています。

説明書きには・・・

「金縁には鉄道省のロゴマークである「動輪」が「金蝕」(エッチングの事)で施されています。」

この食器の上には、こんな写真が飾られていました。

右から二人目の女性は、女優のオードリー・ヘップバーンです。

このホテルには、実に様々な外国の要人が宿泊しています。

アインシュタインやリンドバーグ、満州国最後の皇帝・愛新覚羅溥儀、ヘレン・ケラー、鄧小平、ダライ・ラマ14世も・・・。

そして、終戦後の数年間、連合軍に接収された時期もありました。

文字通り、このホテルは歴史の一部として生きてきたのです。

エントランスロビーの一画にある控え室「桜の間」。

ここには宿泊者以外でも自由に休むことができますが、白い布がかけられたソファーや天井の扇風機、なんだか首脳会議が行われる部屋のようです。

そしてこちらは世界の銘酒を取り揃えた「ザ・バー」。

それを取り囲むように「ティー・ラウンジ」が配置されています。

ティーラウンジでは午後1時から6時限定で、豪華な「アフタヌーンティー」をいただくことができるようで、それを目当てにホテルを訪れるマダムたちも多いそうです。

そして、玄関を出たところにある一本の木。

石碑には、皇太子のご成婚記念と彫られていました。

木の大きさから判断すると、現在の天皇皇后のご成婚記念なんでしょう。

「花菊」でちょっと変則の和朝食

今年10月よりホテルのメインダイニング「三笠」が耐震工事中で閉鎖されているため、朝食は宴会場「金剛の間」に会場を変えビュッフェスタイルの変則的な営業となっています。

時間は朝6時30分から10時まで。

でも数に限りがあるものの、ホテル内にある日本料理店「花菊」で和朝食もいただけるというので、早起きしてそちらに行ってみることにしました。

「花菊」は広々とした窓に覆われて、市内を一望できる開放感のあるお店でした。

客層は私たち同様、中高年のご夫婦が多いようです。

窓際の席に案内されました。

時間はまだ6時45分。ようやく朝日がのぼり、奈良の町に光が届き始めたところでした。

テーブルの上には、奈良盆地を取り囲む山々の名前が書いた紙が置かれていました。

窓から正面に見える南側の小高い山が「金剛山」、西の方角に見えるのが「生駒山」のようです。

奈良初心者の私には、ありがたい案内書できた。

そうして窓の外を眺めているうちに、朝食が運ばれてきました。

「月替わりの取り肴五種盛り」。

オカラ、ポテトサラダ、貝、お浸し、そしてデザートの葛きりでした。

猪口は、「奈良ホテル自家製の胡麻豆腐」。

蒸物は、「湯葉と餅 生姜風味のあん」。

煮物は「日替わりの炊き合わせ」。

そして焼物は、日替わりの焼き魚、この日はさわらでした。

付け合わせは、豆や野菜が入った硬い玉子焼きです。

ご飯は白米と奈良ホテル伝統の茶粥が選べます。

本来なら茶粥なのですが、前の夜に茶粥をいただいたばかりだったのでここでは白いご飯を選びました。

それに味噌汁と香の物が付いた朝ご飯。

香の物は、奈良漬けと月ヶ瀬の小梅という奈良づくしでした。

ビュッフェもおそらく美味しいのでしょうが、こうした老舗ホテルだとやはりこんな朝ご飯の方が似合います。

メインダイニング「三笠」の耐震工事は来年3月には終わるそうで、奈良ホテル伝統の朝食が復活する日も遠くはなさそうです。

でも、「花菊」での和朝食も十分満足のいくものでした。

帰りは駅まで送迎バス

朝食後、前日に歩き疲れたという妻を部屋に残し、私は一人で興福寺や二月堂を巡りました。

その話は改めて別の記事に書くつもりです。

ふるさと納税で利用させてもらった伝統ある「奈良ホテル」。

泊まるだけで思い出に残る素敵なホテルですが、一歩出れば鹿たちが悠然と歩く奈良公園。主要な観光地を歩いて廻ることができる最高の立地でした。

幸い2日とも晴天に恵まれ、高台のホテルからはきれいな夕日も見ることができました。

裏口から出れば、飲食店やおみやげ屋さんが軒を連ねる人気の「ならまち」にも歩いてすぐです。

チェックアウトは午前11時。

ホテルからは、近鉄奈良駅とJR奈良駅への無料シャトルバスが定期的に出ているので、帰りはそれを利用することにします。

何から何まで大満足な奈良ホテルでの休日でした。

さらに詳しい情報は、奈良ホテルの公式サイトをご覧ください。

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