吉祥寺の中古マンションを購入した時から使っているキッチンはナショナル製である。
パナソニックの前身「ナショナル」ブランドのシステムキッチンがいつ取り付けられたのかは知らないが、少なくとも20年以上前、おそらくは30年以上前のものと考えられる。
食洗機は動かず、扉もガタガタするのを直しつつ使っていたが、ついにシンクのステンレスに亀裂が入るようになったので、取り替えを決断する。

昨日は、リフォーム業者の担当者にも同行してもらい西新宿にある「INAX」のショールームに行ってきた。
一度下見をしているので、この日は妻と2人でシステムキッチンの細かな仕様を決めていく。
妻の身長に合った高さ、電子レンジ・炊飯器・オーブントースターが並ぶカウンター、引き出しの位置や内部の構造、天板や扉の色やデザイン、レンジや水洗の種類など選ぶものがたくさんあるが、私たち夫婦の間ではある程度の合意ができていたため、比較的テキパキと決めることができた。
それでも打ち合わせには3時間を要し、ショールームを出た時にはもう午後1時になっていた。

この日の東京は快晴で、比較的風も弱かったので、久しぶりに新宿の東口まで散歩して昼ごはんを食べて帰ることになった。
西武新宿駅の横を通り過ぎながら、去年開業した「東急歌舞伎町タワー」を眺める。
あまり変わらないように見える新宿もよく見ると少しずつ変わっている。
とりあえずカレーでも食べようかということになって、ネットで調べた有名店に行ってみることにした。

新宿三丁目の路地裏にある「カレーの店 ガンジー」。
1972年創業、昭和の欧風カレーが食べられる店とネットには紹介されていた。

少し急な階段を上がると、2階にいかにも昭和を感じさせる入り口があった。
今話題のドラマ「不適切にもほどがある」に影響されたわけではないが、どういうわけかついついこの手のお店を選んでしまう。

店内は思ったよりも狭く、ステンドグラスの照明がどこか懐かしさを感じさせる。
窓際のカウンター席がいいなと思ったが、そこはどうやらおひとり様用の席のようで、入り口近くのテーブル席に収まった。

目の前に貼られたポスターは、チャップリンの名作「キッド」。
他のポスターも昭和のまんまで、タイムスリップした気分を味わえるお店である。

メニューには5種類のカレーが並んでいた。
よく見るとこんな注意書きが・・・。
『カレーは全て同じルー(辛口)を使用、具の内容とボリュームが違います』
『甘口にはできません』
客に媚びない昭和の気概を感じさせる店のようだ。

店内を見回すと、こんなオブジェが置いてあった。
スピーカーだろうか?
昭和のお店にはこうした店主こだわりの謎の品物がよく置いてあったことを思い出す。

カレーは驚くほど早く、注文してすぐに運ばれてきた。
私が注文したのは「牛スジ煮込みカレー」(1320円)。
『柔らかく煮込んだ牛スジ肉を具にしたコクのあるスパイシーカレー。初めてのお客様にも人気メニュー』という説明が添えられていた。
福神漬けが添えられたライスと鍋のような容器に入れられたカレー。
見た目は悪くない。

色の深いカレーは私の好きな欧風カレーをイメージさせる。
ただ具は全てカレーの中に沈んでいて、掬い上げるまで何のカレーであるか見た目ではわからない。

こちらが牛スジ肉の煮込みである。
量はさほど多くはない。
そして欧風カレーという前評判からはかけ離れたとてもスパイシーなカレーであった。
そう言えば、昭和には「ジャワカレー」のような辛いカレーがもてはやされたことを思い出す。

妻は「エビカレー」(1220円)を注文した。
『炒めた剥きエビとマッシュルームの香ばしいカレー。炒めに使ったバターの甘みが溶け込むので舌触りがまろやか』と書いてある。
気のせいか同じルーなのに少し色が茶色っぽく見える。

エビと言っても小エビがいくつか入っている程度。
食べた妻は「辛い」と言って何杯もお水を飲んだ。
私も一口もらったが、マイルドと言っても確かに辛い。
要するにどのカレーを選んでもルーは同じなので、パンチのあるスパイスが口の中を激しく刺激するのだ。

いやはや、欧風カレーと思って舐めて訪れると痛い目に遭う、そんなお店だ。
マイルドなカレーが食べたければ別のお店を選んだ方がいい。
でも、「大人」というジャンルがちょっと憧れでもあった昭和を感じられる老舗のカレー店である。
食べログ評価3.74、私の評価は3.40。
「カレーの店 ガンジー」 電話: 03-3352-8055(予約不可) 営業時間:11:30 - 21:00 定休日:無休