ツバメといえば、昔から人間との関わりが深い。
「ツバメが家に巣を作ると縁起がいい」とされ、どちらかといえば良いイメージのある益鳥である。
昔から害虫を食べて農作物を守ってくれる益鳥として、また人通りの多い家の軒先に巣を作るので、お客の出入りが多い家=繁栄している家=「商売繁盛」の象徴として、昔から大切にされてきました。
肉食で主に昆虫を食べますが、その小さな体からは想像できないほど実は大食漢。
引用:鳥害タイムズ
1日に数百匹もの虫を食べます。
子育て中のヒナに与える虫も結構な数であり、ツバメが害虫駆除の益鳥として重宝される理由が分かります。
岡山にある伯母の古民家にも毎年のようにツバメがやってきて、軒先に巣を作って子育てする光景を私も目撃したものだ。
今月の岡山滞在中、つがいのツバメが頻繁に家の周りを飛び回るのに気づいたのは先週末のことだった。
縁側のすぐ外側を行ったり来たり、せわしく飛び回る様子を見て、きっと巣を作る場所を物色しているのだろうと感じた。
ツバメは春から夏にかけて日本にやってきて子育てをする習性がある。
その際、天敵であるカラスなどからヒナを守るため、人間の存在を利用してカラスを近づけないようにするのだという。
そして過去に安全に子育てできた場所をしっかり覚えていて、再び同じ場所に戻ってくることも多いのだそうだ。
あまりにバタバタと飛び交うので気になってその行動を観察していると、案の定、我が家の玄関が気に入ったらしく、そこに巣を作り始めた。
夫婦が代わる代わる巣の材料となる土や草をくわえてやってきては、玄関先の壁に塗りつけていく。
小さな口なので気の遠くなるような作業なのだが、ツバメにとっては何よりも重要な子孫を残すための営みである。
玄関という場所は考えものだが、私はそこまで潔癖症ではないので通常であればそこに巣を構えて子育てをするのを認めたかもしれない。
しかし、今年はいささか事情が異なる。
その場所に巣を造られては困るのだ。
ちょうどツバメが巣作りを始めた前日、この古民家の和室にエアコンの取り付けが可能かどうかヤマダ電機に下見に来てもらったばかりだった。
下見にきた職人さんとあれこれ検討した結果、玄関脇のデッドスペースに室外機を置き、玄関前の内壁にパイプを這わせ、縁側を通して和室に引き込むのが最も良い設置方法だという結論になり6月初めに工事をお願いすることになった。
ツバメが巣を作ろうとしているのは、そのパイプを設置する予定の玄関前の内壁だったのだ。
「おい、そこはダメだ」
そのメッセージを伝えようと、私は箒を持ち出してきてツバメが作り始めた巣を壊した。
「巣を作りたいのなら別の軒先に作れよ」と玄関先に居座ってツバメに伝えようとするのだが、ツバメは一向に理解しない。
私が畑から戻ってみると、また同じ場所に泥がついている。
私が玄関を出たり入ったりしている間は、電線に止まってこちらの様子を窺っている。
そしてピーピーけたたましく鳴いて、「またあいつが来たぞ」と仲間に危険を知らせているようだ。
そして私の姿が見えなくなると、すかさず巣作りを再開する。
本当にご苦労なことだが、いつまでもツバメと遊んでいるわけにはいかない。
岡山に滞在している間はこうしていたちごっこを続ければいいのだが、私が東京に戻った留守中にツバメは必ず目的の場所に巣を作るに違いない、そう思った。
もしもエアコンの取り付けをする時に、玄関先にツバメの巣ができていて子育てが始まっていたら・・・その巣を撤去してもいいのだろうか?
そんな疑問が浮かび調べてみた。
家にツバメが巣を作ってしまい、すでに巣にヒナや卵がいる場合、無断で撤去することは「鳥獣保護法」により禁止されています。卵を産んでからヒナが巣立つまでの期間(約1か月)を見守り、巣立ちを終えた後に巣を撤去しましょう。巣の中にヒナや卵がいない状態であれば、許可なく巣を撤去することが可能です。
引用:鳥害タイムズ
やはり一旦子育てを許すと工事に支障が出る。
かわいそうだが巣を作るのを阻止するより仕方がないということだ。
では、どうすればいいのか?
- 障害物を置く
- 壁をツルツルの素材にする
- 鳥よけネットを設置する
- テグスやテープを貼る・垂らす
- 光るものをぶら下げる
こんな方法を紹介するサイトもあり、ホームセンターで鳥よけネットを買ってこようかとも思ったが、納屋の中に伯母が使っていた古いすだれがあったのを思い出した。
ツバメのためにお金を使うのももったいないと思い、帰京する日の朝、すだれを引っ張り出して玄関先に釘で打ち付けてみた。
おお、サイズはピッタリ。
長さが少し足りないので、すだれの下から侵入されることはあるかもしれないが、これはかなり良い防御法になるんじゃないかと思った。
下からの侵入を防ぐために、農業用コンテナを積み上げてツバメの入り口を塞ぐ。
もしこれで巣を作られたなら、敵を「あっぱれ」と褒めるしかないだろう。
留守中に訪ねて来る人がいたら、この玄関を見てどう思うだろうと思うと自分でもちょっとおかしくなった。
田舎暮らしでは、都会では決して遭遇しない珍妙な問題が発生する。
それを楽しいと思えなければ、とても田舎暮らしなどできないということなのだろう。
<吉祥寺残日録>トイレの歳時記🌸七十二候「玄鳥至(つばめきたる)」、伯母の家にもツバメと医者がやってきた #210404

