5月に転倒し、膝の怪我をした妻も時間の経過とともに、少しずつ歩けるようになった。
先月からリハビリも受けられる状態になり、コミュニティーバスに乗って時々離れたクリニックまで通い始めた。
というわけで、昼前にリハビリに出かけた妻を見送った後、私はひとり街にランチを食べに出かけた。

この日選んだ店は、我が家からほど近い御殿山にあるあんかけ焼きそばのお店「吉昇亭」。
コロナ禍の2022年にオープンし、当初はほとんどお客さんが入っていなかったので大丈夫だろうかと思って前を通り過ぎていたが、徐々に客も増えて軌道に乗ってきたように見える。
以前から一度行ってみようと思いながら、なかなか機会がなく初めての訪問となった。

この店の売りは何と言っても信州上田の県民食だというあんかけ焼きそば。
『蒸した後に焼く極細ちぢれ麺に、国産野菜を使用した旨トロたっぷりの特製あん。東京でここだけの、信州・上田の味をお楽しみください!』
と言われても、私には全く想像がつかないので、とにかくその県民食とやらを食べてみることにしよう。
店内はカウンター席のみ。
以前はバスク料理のダイニングバーだったので、基本的にはそのままの作りとなっていた。

入り口で食券を買い、空いている席に座ると、目の前の壁には赤い刀と六文銭の手拭いが飾られていた。
そう、信州上田といえば真田家のお膝元。
「日本一の兵 真田幸村公御気質」と題された手拭いには、『物事柔和 忍辱にして 強からず 言葉少なにして 怒り腹立つ事 無かりし』と書かれていた。
きっと物静かな穏やかな武将だったのだろう。

この日私が注文したのは定番の「餡かけ焼きそば 並盛」(1000円)。
てっぺんに乗った錦糸卵とグリーンピースが目を惹く。
カウンターに置かれた説明書きに、信州あんかけ焼きそばの由来が書かれていた。
『横浜で働いていた料理人が、錦糸卵・グリーンピースを乗せるという餡掛け焼きそばのスタイルを大正13年長野市の権堂で始めた事が、信州の餡掛け焼きそばの発祥と言われている。長野県上田市では、当時のスタイルが現存しソウルフードとして地元で愛され続けている。』
なるほど。

錦糸卵とグリーンピースには特別驚きはしなかったけれど、餡の下に潜む麺を食べると、これまで食べたことのない食感に口の中が踊った。
ホワホワっと柔らかく、それでいて餡でジトっと湿ってはおらず、サラッとしているのだ。
『当店の焼きそばは蒸してから焼き上げた特注の極細縮れ麺にキャベツを使った塩味ベースの甘めの餡。独特の食感の麺と野菜たっぷりの優しい味をお楽しみください』
ご指摘の通り、確かに独特の食感、これは麺だけ食べても美味しいと思う。

そんな独特の麺にかかる餡はかなりの甘口だ。
お店のオススメの食べ方は、最初はそのまま味わってから、お好みでカウンターに用意された「焼きそば用酢からし」を加え味変をすることだという。

こちらがその「酢からし」。
一見ドレッシングのようだが、中身は間違いなく酢と辛子を混ぜたものらしい。
かけると確かに味が引き締まる。
さらに辛さや酸っぱさが欲しければ、からしと酢も別に用意されていた。

個人的にはパリパリの皿うどんの方が好みではあるが、信州あんかけ焼きそばも悪くない。
とはいえ、武蔵野のソウルフード「油そば」に比べるとインパクトが少ないため、リピーターになるかどうかは微妙なところかもしれない。
食べログ評価3.40、私の評価は3.50。
「吉昇亭」
電話:0422-24-8048(予約不可)
営業時間:11:00 - 15:00 / 17:00 - 20:30
定休日:火曜日
https://www.instagram.com/kisshoutei_kichijoji/