多磨霊園に行った帰り、妻が武蔵境のイトーヨーカ堂でコーヒーを買いたいというので、ついでに蕎麦でも食べて帰ろうという話になった。
長年、武蔵境近くに住んでいたにも関わらず、蕎麦を食べたくなると深大寺周辺に行くことが多く、武蔵境駅の近くの蕎麦屋を知らない。

そこでネットで調べて訪れたのが、駅の北口にある「蕎麦処 ささい」である。
このお店は1965年創業の老舗。
当初は練馬の方にお店があったそうだが、武蔵境に移転してからもう長い年月が経ったという。
私たちが訪れたのは午後1時をすでに回っていたが、店の前には行列ができていた。

10分ほど店の前に並んでいたのだが、その時に目についたのがこちらの「蕎麦屋の天丼」。
タレがしみしみで実に美味そうな写真だ。
お墓帰りに軽く蕎麦でもと思った気持ちがすっかり吹っ飛び、この天丼を食べることに心が決した。

10分ほど待って窓際の席に案内される。
かなりゆったりとした店内、奥には仕切られた個室のようなスペースもある。
ちょうど食べ終わった客が多く、パラパラと席が空いていく。

メニューを開く。
限定20食だという手打ちの「二八そば」はもう売り切れだったが、私の心はもはや天丼で決まっていた。
ところが、メニューの中に「天丼セット」(1265円)というのを見つけ、迷わずこれを注文した。
小さめの天丼に、せいろまたは温かいたぬきがセットになるという。

注文を済ませ、店内を眺めていると、テーブルの上に「武蔵境カレーうどん」の文字を見つけた。
『武蔵境産唐辛子・豚肉・ねぎ・人参・なす・キャベツのカレーうどん』
ちょっと気になる。
そういえば、店の入り口には「武蔵野地粉うどん」というラベルも貼られていた。
『地元武蔵野に伝わる昔ながら食べ方で、茹でたうどんと野菜を濃いめの肉汁につけてお召し上がりください』
これも気になる。

あまり待つこともなく、私が注文した「天丼セット」が運ばれてきた。
確かに、天丼もせいろもどちらも小ぶりだ。

しかし、天丼は写真の通り、かなり魅惑的な色をしている。
衣もサクサクな感じで、これは美味そうだ。
早速、海老天にかぶりつく。
予想したよりも味が濃くない。
衣は見た目通りサクサクで、悪くはない。
ただ期待値が相当上がっていたので、私の好みにドンピシャとはいかなかった。

代わって、せいろを食べる。
見た目は特別印象的ではなかったのだが、食べてみるとこれがどうして美味い蕎麦である。
やっぱり蕎麦が食べたいと思っていたので特にそう感じたのかもしれないが、手打ちの「二八」が売り切れでも私にはこの普通のせいろで十分に満足できる。
天丼の物足りなさを、せいろが完全に埋めてくれた。
やはり地元で評判のお蕎麦屋さんだけのことはある。

そばつゆが濃いめでたっぷり入っているので、そば湯を足してもまだ結構味が濃い。
その意味でも私好みのお蕎麦だった。
武蔵境に来たら、また立ち寄りそうないいお店である。
食べログ評価3.47、私の評価は3.50。
「蕎麦処 ささい」 電話:0422-51-4366 営業時間:11:00~15:00/17:00~21:00 定休日:木曜 https://www.sobadokoro-sasai.com/