妻の買い物につきあってベビー服を買いに出かけたついでに、久々の吉祥寺ランチ。
妻はまだ気が進まないらしいので、妻が行かなそうな店を選んでみた。

元町通りとプチロードの交差点にできた香港ヌードルのお店「譚仔三哥(タムジャイサムゴー) 吉祥寺店」。
今年4月にオープンした当時は、コロナ禍にもかかわらず長い行列ができていた。

今日は正午前に店にやってきたが、平日でもありもう行列はなかった。
いかにも異国情緒を感じる店構えだが、運営する親会社はあの丸亀製麺だそうだ。

この店で提供されるのは雲南省発祥の麺「米線(ミーシェン)」。
その名の通り、米と水だけで作られた麺だが、これを店独自の6種類のスープとお好みの具材とともにいただくスタイルで、香港市民の人気を集めるヌードルチェーンとなったという。

店内は、吉祥寺としてはまずまずの広さ。
ランチタイムなので次々に客が入ってくるが、回転はいいのですぐに案内してもらえる。

私が案内されたのはプチロードに面するテーブル席。
窓の外には私もよく利用する香港カフェ「香港贊記茶餐廳」が見え、ちょっと外国に来た気分だ。

店内のインテリアも少し日本離れしていて、いかにもアジアのファストフード店といった印象を受ける。
しばらく海外旅行に行けていないので、この空気感だけでちょっと嬉しい。

メニューを覗いてみる。
表紙には『まだ日本語に訳せないウマさ。香麻辛辣米線』と大きな文字で書いてあった。
「香麻辛辣(ヒョンマーサンラー)」とは、「香=香りたつ複雑なスパイス」「麻=鮮やかに痺れる感覚」「辛=舌も心も熱くなる刺激」「辣=ピリッと魅惑の辛さ」という意味だそうで、要するに一度食べたら忘れられない複雑な味覚体験ができるということらしい。

注文の手順としては・・・
① 6種類のスープから好みのものを選ぶ。
「麻辣(マーラー)」「番茄湯(トマト)」「煳辣(ウーラー)」の3つが定番で、他に「清湯(クリアスープ)」「酸辣(サンラー)」「三哥酸辣(サムゴーサンラー)」の計6種類が用意されている。
② 辛さを10段階から選ぶ。
全く辛くない「不辣」の次に6段階ある「小辣」が続き、さらに「中辣」「大辣」「特辣」とどんどん辛さを増していく。
③ トッピングする具材を選ぶ。
野菜としては椎茸やきくらげ、白菜やバクチーなど11種類、肉は豚バラチャーシューのほか、牛赤身肉、鶏むね肉、豚ひき肉炒めなど6種類、さらにホタテやイカといった海鮮やピータン、うずらの卵などお好みの具材を選ぶことができる。

ただ私のような初心者には何を選べばいいのかわからないため、平日限定でトッピングやドリンクもセットになった「得タムセット」が4種類用意されていた。
これでいい、いやこれがいい。
私は迷うことなく「一番人気これぞ王道」と書かれた「Aセット」(900円)を注文することにした。
「Aセット」は、定番の「麻辣スープの米線」に「豚バラチャーシュー」と「きくらげ」のトッピング、そして「香港レモンティー」がセットになっている。

注文するとすぐに「香港レモンティー」が運ばれてきた。
日本でよくあるセットのドリンクに比べ、グラスがかなりでかいが、単品で注文すると280円だった。
レモンスライスが4枚と甘いガムシロップが最初から入っていて、甘くて美味しい。
「お好みでレモンを搾って酸味を調整してください」と店員さん。
ドリンクは、レモンティー以外にミルクティーやコーヒーなどに変更も可能だ。

続いて麺の入った丼も運ばれてきた。
見た目、それほど辛そうには見えない。

まず目に飛び込んできたのは、黒々としたきくらげ。
あれっ?
豚バラチャーシューは?

スープの表面をまさぐると、予想外に薄く小さいチャーシューが何枚か入っていた。
ちなみに「豚バラチャーシュー」の単品は190円、「きくらげ」を単品で頼むと90円だそうだ。
物価高騰の折、セット料金が決まっている以上、チャーシューも小さくならざるを得ないのかもしれない。

そして肝心の麺。
米線というだけあって白く、太めの素麺といった具合だ。
うどんで世界展開する丸亀製麺がこの米線に目をつけたのもわかる気がする。
食べると表面がツルッとしていて、思った以上にモチモチ感があった。

スープは、麻辣スープの「3小辣(spicy)」を選んだ。
10段階の中ほどなので甘くみていたが、一口飲んでみるとこれが思いのほか辛い。
私もバンコク駐在時代、本場のタイ料理を食べまくり一般的な日本人よりも辛い料理は強いと思っていたが、もうすっかり辛さに対する耐性が衰えてしまったらしい。
一般的に暑い国では辛さの質が日本とは違うが、この店のスープは日本ではなく異国の辛さだと感じた。

それでも辛い麺を食べながら、甘いレモンティーを飲んで舌を癒し、ゆっくりと食べ進むといつの間にかスープも全部飲み干してしまった。
ということは、辛いだけではなく、旨味もしっかり感じたということだろう。
でもバンコク時代、美味しいタイ料理を食べた後には必ず辛い下痢をしたのを思い出し、このスープは間違いなく私に辛い下痢をもたらすだろうと覚悟した。

コロナ禍で今年日本に上陸した「譚仔三哥」は、ここ吉祥寺店のほかに新宿と恵比寿にもお店を展開しているという。
なかなか外国に行きにくい今だからこそ、本場の人気店が日本にやってきたのはありがたい。
これを機会に、徐々に食べ歩きの回数を増やして、東京都内に点在する見知らぬ異国の味をもっと食べてみたいと感じた今日の吉祥寺ランチだった。
食べログ評価3.23、私の評価は3.50。
「譚仔三哥 米線 吉祥寺店」 電話:0422-20-8070(予約不可) 営業時間:11:00~22:00 定休日:無休 https://www.tjsamgor.jp/