テレビのケーブルを買いにヨドバシカメラに行ったついでに、妻が以前から欲しがっていた部屋の照明器具を探してみる。

年のせいか妻は蛍光灯の白い光が嫌になったらしく、暖色の暗めな照明器具に変えたいという。
ヨーロッパで暮らしていた頃には、町中がオレンジ色の街灯で照らされ、部屋の照明も暗めだった。
確かに日本の灯りは明るすぎるかもしれない。
そして、夕暮れにお出かけしたついでに、鰻でも食べて帰ろうということになった。
もうすぐ中央アジアへの旅行に出かけることになっていて、この夏まだ食べてない鰻をここらで一発食べておこうと思ったのだ。

選んだお店はラーメン屋の路地を入ったところにある「うな鐡」。
吉祥寺にある鰻屋さんとしてはリーズナブルで、鰻だけでなく焼き鳥などもあってお酒が飲めるため人気が高い。
この日も路地の奥に入店を待つ人たちがいた。

店内はコロナ禍の最中にリフォームされ、すっかり綺麗になっている。
新しくなってから一度テイクアウトしたことはあったけれど、妻を連れて訪れるのは初めてで、妻は綺麗になった店内を見てすっかり気に入ったらしい。
以前は大衆食堂といった雰囲気だったが、今はジャズが流れてすっかり様子が変わっている。
一人で食べられるカウンター席も作ってあって、ふらっと鰻を食いたくなった時には手頃なお店だろう。

お酒が進みそうな「おすすめメニュー」にも惹かれるが、この日は鰻を食べにきたので私は迷わず「うな重 松」(3800円)を注文する。
何もかにも値上がりするこのご時世、鰻の値段も随分高くなって、吉祥寺では3000円台で食べられる店も少なくなっているように思える。
妻もうな重を頼むのかと思っていたら、メニューにあった「うなぎ御膳」(3650円)が気になったようで店員さんに質問した。
すると、「ご飯も鰻も少なめで、他にいろいろ料理がつきます」との説明。
妻は「それお願いします」と初めての「うなぎ御膳」に挑戦することになった。

まずは私の「うな重 松」が運ばれてきた。
うな重というものはどこの店でも見た目は大差はないもので、お吸い物とお新香がついてくる。
鰻の大きさは1匹分だが、ご飯を覆い尽くすという感じではなく、見た目の照りも今ひとつに見える。

食べてみると、あっさりとした味付けで、私にはやや物足りない感じがした。
鰻を口に入れた時の幸福感があまりない。
やはりこの界隈では「志乃ざき」か「八つ浜」かなと思いながら鰻を頬張った。

お吸い物もちょっと私には薄味すぎて物足りない。
お新香はとても美味しかったが、頭の中に残っていた「うな鐡」の鰻のイメージとはやはりどこかギャップを感じたのだ。

続いて、妻が注文した「うなぎ御膳」が運ばれてきた。
これまたすごいボリューム。
二段になった細長い重箱には、鰻の蒲焼やう巻きのほかに刺身や煮物、サラダや酢の物が詰められていた。

久しぶりに「う巻き」をいただく。
これまたあっさりとした味付け。
う巻きはもっと甘めな方が好みだ。

それでも妻はちょうどいい量だと言って、ご飯の上に蒲焼を乗せて自分で鰻丼を作って食べていた。
確かに、これで「うな重 松」よりも安いのだから、こういう選択もありかもしれない。
他のお客さんたちは、みんなおつまみを注文して酒を飲んでいる。
やっぱりここは「飲んだ最後に鰻」、そういう時に利用した方がよさそうである。
食べログ評価3.48、私の評価は3.40。
「うな鐡」 電話:0422-21-4522(予約不可) 営業時間:11:00~22:00 定休日:年末年始