新型コロナウィルスの感染者数が、全世界で4000万人を超えたという。
今更、特に驚くこともないが、ヨーロッパやロシアでの感染が急増しているらしい。
日本より一足早く寒くなる北半球の国々で、本格的な冬の感染が始まったのかもしれない。
それでも、この人は何も変わらない。
劣勢を伝えられるトランプ大統領だが、コロナ感染からは完全に復活したようで、連日精力的に全米を駆け回っている。
自らを「スーパーマン」と呼び相変わらず異常なほどの自己肯定感の高さを見せているが、74歳にしては異常に元気だということは素直に認めざるを得ないだろう。

一方、菅総理は初の外遊先であるベトナムとインドネシアを訪問中だ。
安倍前総理のような派手なパフォーマンスは一切なく、今回が外交デビューとなる真理子夫人も常に低姿勢、静かに夫に従っている。
個人的には好感を持って眺めているが、こうした夫唱婦随のスタイルは、アジアでは受けそうだが、果たして欧米ではどうなのだろう?
まずは、ベトナムから安定的にマスクを輸入できるサプライチェーンの確保に期待したいと思う。

そんな火曜日、久しぶりに朝6時前に目が覚めると、雲の切れ間から神々しい光の帯が伸びていた。
天気予報士たちは、今日は東京でも久々の青空が広がると言っていたが、ようやく午後になって青空は広がってきたようだ。
さて、昨日の続きを書こうと思う。
東京・調布市で起きた住宅街での陥没事故。
地下深くで行われた外環道の工事との関連が疑われていて、トンネル工事に携わった専門家も会見で「工事との因果関係がないとは言い切れない」との認識を示し、地下の工事は一旦止めて現場周辺の調査を徹底する考えを明らかにした。

昨日のブログに書いた通り、私は自転車で武蔵野・三鷹・調布の外環道予定ルートを辿って、東つつじヶ丘の陥没現場まで行ってみた。
果たして、陥没は外環道の工事によって引き起こされたものなのか?
現場となった土地の特殊性が大きく影響しているようだというのが、現場を見た私の印象である。

そう思う最大の理由は地形。
陥没地点のすぐ脇を小さな川が流れていることから分かる通り、陥没事故が起きた現場は周囲に比べて土地が低い。
大雨や長雨が降ると、自然に広範囲から水が流れ込んでくる構造になっている。
単に川の流量が増えるだけではなく、アスファルトの下では地下水も溜まりやすく、自ずと地盤は緩くなっているはずだ。
今年の10月は例年よりも雨が多い。

おまけに、近くの公園でこんな案内板を見つけた。
「入間川分水路」
現場近くを流れる入間川の水位が上がって氾濫が起きそうな時に、流れの一部を別ルートで流すために人工的に設けられた排水路である。
その分岐点が現場のすぐ上流にあるのだ。
この事実は、現場周辺が過去にたびたび洪水を経験したことを想像させる。
アスファルトで覆い隠された道路の地下に、長い年月をかけて空洞ができていたとしても何の不思議もない。
一番考えられるのは、長雨によって水分を大量に含んだ軟弱な地盤が、外環道の地下工事による細かな振動で揺さぶられ液状化した、これが私が考えるメインシナリオである。
そして、さらなる疑いが私の心の中にはある。

工事関係者たちは、このエリアが最も危険だということを事前に知っていたのではないか?
そんな疑いだ。
分水路の案内板が立っていた公園のフェンスには、こんな紙が貼られていた。
「東京外かく環状道路本線トンネル工事のお知らせ」「家屋調査(事前調査)範囲にお住まいの皆さまへ」というタイトルがつけられた2枚の張り紙。
武蔵野・三鷹と辿っていた外環道ルートを自転車で走ったが、他の住宅地ではそんな張り紙は見かけなかった。
ひょっとすると、他の住宅地でも同様の紙が貼られているのかもしれないが、その内容は地盤の弱いこのエリアに向けられたような内容だと私は感じたのだ。
まずは、「トンネル工事のお知らせ」から。
その張り紙には、こう書かれていた。
『シールド機通過の際は振動を感じる場合があります。…また、地上部ではシールド機の通過前・中・後に地表面高さを測量するとともに、掘進工事箇所周辺で異常が生じていないか確認するため、警戒車両等で巡回します。振動に関する調査も行ってまいります。』
工事の振動が地上に影響を与えるリスクをあらかじめ予想していたような内容である。
もう一枚の「事前調査」に関する張り紙には、もっと刺激的なことが書いてあった。
『地下のシールドトンネル工事に伴い、トンネル工事で使う空気の一部が、地中の人工的な孔を通じて地上に漏れる事象が発生しました。…今後は漏気を抑制してトンネル工事を進めてまいりますが、安心確保のためのモニタリングを実施してまいります。
- 本線トンネル工事の通過前〜後におて、地下室・井戸を所有されているお宅にて、皆様の安心確保のための酸素濃度調査をさせていただきますのでご協力をお願いいたします。なお、地下室・井戸を所有し家屋調査(事前調査)をされていない方は、表面のお問い合わせ先にご連絡をお願いいたします。
- 本線トンネル沿線で過去に宅地開発や井戸・温泉発掘などで発掘調査等を行っていたという情報をお持ちの場合、情報をお寄せください。
なお、本線トンネル工事はシールド工法により安全に進めてまいりますが、工事に伴い、万が一建物等の損害等が生じた場合は、事前の家屋調査を実施した問合せ先にご連絡下さい。』
「地下の空気が地上に漏れる事象」「建物等の損害等が生じた場合」とは穏やかではない。
そして、「モニタリング」や「事前調査」というのは何を調べるのだろう?
この紙を見た住民たちが心配して、インタビューに対して「やはり起きたか」と語っていたのも納得ができる。

大深度地下を掘り進むシールド工法は、過密状態の東京で新たな交通網を作る際の唯一実現可能な方策である。
今回の事故の影響で、工法の危険性がクローズアップされすぎると、リニア新幹線の工事もストップし、東京の新陳代謝は大きく損なわれるだろう。
1000万以上の人たちが暮らす東京の地下には、様々な時限爆弾が眠っている。
昔、海や川だったところを誰かが埋め立てて、地盤改良もまともにせずに売り出された土地もたくさんあるのだ。
その土地を買った人は、過去の経緯は知らず、自宅の地下がどうなっているのかなど考えることもなく暮らしている。
地下にトンネルを掘り進むことによって、秘められていた地盤の過去が白日のもとに晒されることもある。
理想論で言えば、危険な土地はすべて政府が買い上げて公園や道路にし、住民たちには安全な集合住宅などに移ってもらう方がいい。
そうすれば、東京はもっと安全で緑の多い未来都市に生まれ変わるだろう。
しかし、日本社会には今でも土地神話が残っている。
ゴミ屋敷でも壊れかけた空き家であっても、行政が私有財産に手をつけることは容易にはできないのだ。
本当にそれが良い社会なのか?
私たちみんなが考えるべき問題だろう。
合理的な理由があれば、私権をも制限できる透明性の高い法整備をしなければ、今回のような事故は今後ますます増えるだろう。
現場を回りながら、私はそんなことを考えた。

日本の商習慣で長年不動の地位を維持していた「はんこ」でさえ、菅総理の鶴の一声で一気に見直しが進もうとしている。
不動産に関する不合理なルールも、この辺りで見直してみたらどうか?
テレビで度々取り上げられるゴミ屋敷や空き家問題、さらには地震や洪水の危険性が明らかな東京下町の防災問題、対策が進まない大きな原因には不動産をめぐる法の不備がある。
政治家たちが、こうした問題に本気で手をつけようとしない現実は、私には全く理解できない。
おそらく不動産で利益を得ている支援者たちの存在があるのだろう。
今回の陥没事故とは直接関係はない話ではあるが、本質的には同根の問題だと私は思うのだ。