<きちシネ>#05「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」(2017年/イギリス映画)

60歳を超えると、いい事もある。映画のシニア割引が適用になるのだ。

TOHOシネマズでは1100円、本日利用した「吉祥寺オデオン」では何と1000円だ。これまで夫婦夫婦50割引は何度か使ったが、シニア割引については意識した事もなかった。

ということで、妻と二人で映画を観に出かけた。

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イギリス映画「ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男」。

日本人の辻一弘氏がアカデミー賞のメイクアップ・ヘアスタイリング賞を受賞したことで注目された作品だが、私は単純に第二次大戦の英雄チャーチルに興味があった。

ナチスドイツがオランダ・ベルギーへと電撃的に侵攻した1940年5月10日、65歳でイギリスの首相に就任したチャーチル。その22年前の5月にチャーチルが置かれた厳しい決断の日々を描いた映画だった。

ドイツの快進撃によって、30万人のイギリス陸軍はダンケルクに追い詰められる。絶体絶命の状況の中で彼は首相として徹底抗戦を主張する。しかし与党からの支持もなかなか得られなかった。

戦線はフランスにも拡大し日に日に悪化する。イギリス政界では和平交渉派が優勢となり、チャーチルは孤立、厳しい日々が続いた。

一旦は和平交渉を受け入れそうになるチャーチルに力を与えたのは、人生で初めて乗る地下鉄車内での国民との会話だった。これが史実なのかフィクションなのかは知らないが、いずれにせよファシストに屈することを拒否する国民の声がチャーチルを決断させる。

強いチャーチル像はこれまでもよく見聞きしたが、首相就任直後の権力基盤が弱かった時期のチャーチルの苦悩を知ることができるという意味で見る価値がある映画である。

誰も最初から英雄にはなれない。

政敵との対立、「お手並み拝見」と様子見を決め込む冷めた観衆、そして何より正しい選択が何なのかその時点では誰にもわからない難しさ。リーダーは孤独の中で、自ら決断し、周囲を動かしていかなければならない。

チャーチルは結果的に成功した。しかし、同じ決断をしても失敗していたかも知れない。もし失敗していれば、彼は歴史に名前を残してはいない。すべては結果なのだ。

もしダンケルクの救出作戦が失敗していたら、彼は責任を問われ直ちに失脚していただろう。

もしチャーチルがあの時、ドイツに妥協する決断をしていたら、ヨーロッパの歴史はまったく違うものになっただろう。

もし私たちがあの時代に生きていたとしたら、好戦的で強権的なチャーチルを支持しただろうか? マスコミの論調ももっと厳しいものだっただろう。

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私は平和主義者だ。平和こそが尊いと考えている。

しかし、現代社会にヒトラーのような狂信的な指導者が現れ隣国に一方的に攻撃を仕掛けたとしたらどうだろう。

そうしたリスクはいつの時代でも突然発生する。

本当に危険な勢力が台頭した時、どんな犠牲を払っても戦い抜く。

それこそが後世の人々から評価される決断であることをチャーチルの例は示している。

映画の冒頭はちょっとかったるいが、政治論、リーダー論として興味深い作品だった。

Yohoo!映画の評価は4.04、私の評価は3.70。

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