まずは負けるべくして負けたということに尽きる。文字通り「奢れる者久からず」である。
きのう投票が行われた東京都議会議員選挙は、予想どおり小池知事率いる「都民ファーストの会」が圧勝し、自民党は獲得議席数23という過去最低の歴史的大敗を喫した。
各党の獲得議席を記録しておく。( )内は改選前の議席数。
都民ファーストの会 55(6)
自民党 23(57)
公明党 23(22)
共産党 19(17)
民進党 5(7)
東京生活者ネットワーク 1(3)
日本維新の会 1(1)
Embed from Getty Images自民党は厳しい選挙結果を予想し、下手をすると過去最低の38議席を割り込むかもと心配していた。しかし、結果はそれをさらに大きく下回った。
これぞ民主主義なのだ。
権力に溺れ傲慢になった政治家に鉄ついを下す。これこそが民主主義という非効率な制度の唯一絶対的な効能なのだ。
自民党内では選挙の敗因として「THIS is 敗因」というワードが登場した。
T=豊田真由子、H=萩生田光一、I=稲田朋美、S=下村博文。選挙直前の失言や暴言、加計学園との疑惑でメディアを騒がせた張本人たち4人の頭文字を並べて「THIS」というワードにまとめた。永田町の住民というのはこうした造語が得意だ。
しかし最大の問題は「THIS」ではなく「A」であるともささやかれた。「A」とはもちろん安倍首相である。
「THIS is A 敗因」これが正しいのだのは、間違いない。
ただ負けたのは自民党だけではない。民進党も完全に小池さんに食われた。改選前は7議席だったが、実は前回の選挙では15議席を獲得している。小池新党が立ち上がるのを知って民進党から立候補する予定だった多くの候補者が都民ファーストに逃げた。現役の都議もかなり含まれていた。選挙の前から負けていたのだ。
自民と民進が負けて、新党が圧勝する。この現象、まるでフランスのマクロン現象を見るようだ。世界的に既存政党への失望が大きくなっているのだろう。トランプ現象も方向性は異なるが同じ文脈で捉えることも可能だ。
すべてが流動化する世界を私たちは生きている。
それにしてもきょうも株式市場は堅調だった。また日銀が大量の買いを入れたのかもしれない。日経平均株価は今や日銀によって支えられている。これは市場と言えるのだろうか。
ブルームバーグの記事によると、このままの方針で日銀がETFを買い続けると、今年末には日経平均で使われる225社のうち55社で日銀が筆頭株主になるのだという。4社に1社である。日本は社会主義国家であると海外からみなされても文句が言えない異常な事態だ。
これで世界的な株の暴落が起きたら・・・。
私たちの税金は、株の暴落とともにどこかに消えてなくなってしまうのだ。
そんな心配をよそに、きょう発表された路線価で、銀座鳩居堂前の地価がバブル期を大幅に上回る史上最高値を記録した。
何かがおかしい・・・。