中国の全人代が閉幕した。
後世の歴史家から見れば、中国の、いや世界の歴史を大きく変える全人代だったかもしれない。
最高権力者の地位に無期限で居座ることを宣言した習近平氏は、「中華民族の偉大なる復興」という言葉を使ったという。
日経新聞の記事を引用する。
Embed from Getty Images『 中国の第13期全国人民代表大会(全人代、国会に相当)第1回会議が20日、閉幕した。閉幕式で演説した習近平(シー・ジンピン)国家主席は「『中華民族の偉大なる復興』に最も近づいた」と功績を強調。台湾を念頭に「一寸の領土も分割させない」と強い口調で警告、祖国統一に向けた意欲を前面に打ち出した。
習氏は「祖国を分裂するたくらみはすべて失敗する」と指摘。中国大陸と台湾が一つの国に属するという「一つの中国」原則を中台が認め合ったとする「92年コンセンサス」を堅持すると述べた。11日の憲法改正では国家主席の任期制限を撤廃。長期政権を視野に入れる習氏は、台湾統一を目標とする考えを強くにじませた。
さらに「台湾の同胞と大陸発展の機会を共有する」と指摘、経済面で台湾を取り込む考えを示した。一方、香港に対しては5日の政府活動報告で削除した「高度な自治」や「港人治港(香港人による香港統治)」の表現を復活。一定の配慮をみせた。
習氏は「立ち上がり豊かになる段階から、強くなる偉大な飛躍を迎えている」とも強調。中華人民共和国の建国を導いた毛沢東氏、改革開放を進めた鄧小平氏に並ぶ指導者に自らを位置づけた。
20日の会議では政府活動報告案を採択、汚職摘発を目的とする新機関の設置法案も可決した。新機関「国家監察委員会」には、あらゆる公職者を対象とする強力な調査権を与える。反腐敗運動をテコに権力集中を進めてきた習氏にとり、共産党員の不正を摘発する規律検査委員会と並ぶ重要な位置づけになる。
同様に前年度比で8.1%増となる国防費を計上した予算案も採択。習氏は「世界一流の武装兵力の形成を加速する」とも述べており、軍事強国を目指す意向も鮮明にした。』
Embed from Getty Images長期政権を見据えた習近平氏が確実に目指すのが、台湾の統一だろう。台湾の人たちは今回の全人代をどのような思いで見たのか?
表面的に直ちに軍事的な脅しはかけないだろうが、海軍力の増強は無言のプレッシャーになる。同時に、巨大な中国市場に台湾企業を引き込み麻薬中毒のような抜けられない状況を作る意図も感じられる。私が台湾人だったら底知れない恐怖を感じるだろう。
こうした中国の姿勢に、日本でも軍事力強化の動きが表面化してきた。
『艦載機F35B導入 政府・自民「いずも」は空母化検討』という日経新聞の記事を引用しておく。
Embed from Getty Images『 政府・自民党は短い滑走で離陸し垂直着陸できるステルス戦闘機「F35B」を導入する方針を固めた。年末に改定する防衛大綱や中期防衛力整備計画(中期防)に盛り込む。護衛艦「いずも」をF35Bなどの戦闘機が離着陸できるよう、事実上の空母として改修することも検討する。離島防衛強化を狙うが、日本が掲げてきた「専守防衛」との整合性が課題になる。
自民党安全保障調査会は20日の会合で、大綱見直しに向けた提言の骨子案を示す。骨子案ではF35Bの導入を念頭に「STOVL機(短距離離陸垂直着陸機)取得」と明記。「DDH(ヘリ搭載型護衛艦)のプラットフォーム(基盤)化」との表現で、いずもを戦闘機など航空戦力の拠点にするよう促す。自民党が5月中にまとめる提言を踏まえ、政府は議論を本格化する。
F35Bは短距離での離陸と垂直着陸ができるため、滑走路が短い離島の空港でも使うことができ「離島防衛の強化につながる」(政府関係者)との期待がある。北朝鮮情勢の緊迫や中国の軍備増強を踏まえ、抑止力を高める狙いだ。自衛隊はいまは空母を持っていないが、空母での運用もしやすい。
いずもはヘリを搭載できる海上自衛隊の護衛艦で、空母のように甲板が平らな構造が特徴だ。防衛省はF35Bの発着が可能か調査を始めている。日本が導入するF35Bの運用を想定するほか、米軍のF35Bが離着陸できるようにする案もある。野党は「事実上の空母化で専守防衛のあり方が変わる」と批判している。
F35Bを取得する場合、20機程度を導入する案がある。すでに自衛隊が導入しているF35Aは1機150億円前後で、F35Bはさらに高額とされる。政府内にはコスト増加への懸念も漂う。
自民党の骨子案は「敵基地反撃能力」の保有検討も求める。憲法9条にもとづく「専守防衛」を逸脱するとの指摘も出そうだ。』
Embed from Getty Images朝鮮半島の緊張が一時的に緩和しているのとは対照的に、中国やロシアでの権力強化と軍備拡張が進む。私ですら将来に不安を感じるのだから、多くの日本人は「中華民族の偉大な復興」に恐怖を覚えるのは当然だろう。
隣国への恐怖は、常に軍拡を推し進める口実となってきた。歴史を見れば、同じことの繰り返しである。日本が中国やロシアを恐れるように、彼らも日本を恐れる。過去に日本に侵略されたことがあるからだ。日本は元寇ぐらいしか他国に武力侵略されたことがない珍しい国にも関わらず、警戒心は人並みに強い。それが明治維新を産んだ。朝鮮半島の植民地化や中国やアジア諸国への侵略も「日本の防衛のため」というのが理由だった。
世界の保安官を自認してきたらアメリカは、トランプ政権の下、世界の平和よりも武器の売却に熱心だ。日本にもアメリカ製の兵器を大量に売り込もうとしている。
どいつもこいつも、寄ってたかって、先人が苦労して築いてきた平和の知恵を台なしにしようとしている。
人間はどこまで愚かなのか?
権力者が競う際限のない国威発揚の先にどんな世界が待っているのか?
歴史の巻き戻しがどんどん加速している。