<吉祥寺残日録>初めて発令された「南海トラフ地震臨時情報」!お盆休みを直撃するも巨大地震は起きずに1週間で終了 #240816

騒動のきっかけは、8日午後4時43分ごろに宮崎県沖の日向灘で発生した地震だった。

最大震度は6弱。

震源の深さは約30キロ、地震の規模はマグニチュード7.1という比較的大きな地震で、近年その規模の地震を経験していなかった南九州の人たちを驚かせた。

とはいうものの、これだけならば日本各地で起きる「よくある地震」として片付けられたはずだった。

ところが、震源の位置が問題だった。

近いうちに発生すると予想される「南海トラフ巨大地震」の想定震源域の西端にあたり、専門家が調べたところ、フィリピン海プレートがユーラシアプレートに沈み込むプレートの境界面で起きた地震であることがわかった。

まさに心配されている南海トラフ地震のメカニズムそのものである。

気象庁は直ちに「南海トラフ地震臨時情報(調査中)」を発表し、専門家らによる検討会を招集した。

そして数時間の検討の後、気象庁は今後1週間以内に大規模地震が発生する可能性が平時より高まっているとして南海トラフ臨時情報の「巨大地震注意」を初めて発表した。

臨時情報には防災対応に応じて「警戒」「注意」「調査終了」の3段階があるが、今回は真ん中の「注意」レベルと判断されたのだ。

「南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会」の平田直会長は記者会見の中で、今回の地震は南海トラフ地震が想定している「一部割れ」と評価したうえで、国や対象地域の自治体、住民に必要な対策を取るよう呼びかけた。

「巨大地震注意」の対象地域は九州にとどまらず、茨城から沖縄までの29都府県707市町村に及んだ。

初めての事態に対象となる自治体では海水浴場を閉鎖するなど対応に追われた。

東海道新幹線も一部区間で徐行する措置をとり、岸田総理も予定していた中央アジア歴訪を中止して地震対応に備えた。

注意情報の期間は1週間とされたが、これは科学的根拠に基づいたものではなく、社会学的に捉えた「受任限度」によって政治的に決められたものだと気象庁は説明した。

タイミング悪く、この1週間は多くの国民が移動するお盆休みに重なった。

実際に地震が起きた九州だけでなく、太平洋に面する広範囲で旅行のキャンセルなどが多発して宿泊業などには大きなダメージが出たようだ。

我が家でも、改めて地震の対策をチェックしてみた。

築100年の古民家の耐震はどうしようもないので、万一倒壊したら運がなかったと諦めるとして、緊急時の持ち出し袋を枕元に置き、冬服が入っていた中身も夏バージョンに入れ替えた。

非常食も新しくしようとスーパーに買い物に行くと、すでにお米の棚は空っぽで、ミネラルウォーターの箱も売り切れていた。

みんな考えることは同じであり、南海トラフ地震の場合には日本人の半数以上が対象となるため、必要な物資が瞬時に店から消えることを改めて意識する。

もし本当に広域で巨大地震の被害が出れば、東日本大震災以上の大混乱となることは間違いない。

家に戻り、畑の水やりのために保有している4つのポリタンクに水道水を満タンにして、常時納屋の中に置いておくことにした。

缶詰など数日間食い繋ぐものは確保してあるし、いざとなれば畑に食べられるものはある。

重要なのは飲料水を確保することだと考えたのだ。

地域のハザードマップもチェックして、小学校が避難場所になっていることも確認した。

もしも夜中寝ている間に揺れたら、すぐに縁側から庭に飛び出すことを妻と話し合った。

いずれにせよ、多くの日本人が地震について考えるきっかけにはなっただろう。

しかし幸いなことに、臨時情報が出されていたこの1週間、小さな余震はあったものの想定震源域に目立った異変は観測されず、政府は15日の夕方、「注意」の呼びかけを終了した。

もちろん地震の危険性がなくなったわけではないが、いつまでも心配していても始まらない。

みんなが日常生活に戻る指針は必要なのだ。

我が家でも緊張感を少し緩め、宮崎の地震発生前の日常生活に戻ったのだが、一応来週東京に戻るまでは非常持ち出し袋を枕元に置き、ポリタンクに水を汲み置きする習慣は維持するつもりである。

100年から150年の周期でマグニチュード8以上の巨大地震が起きるとされる南海トラフ地震。

前回の震災はちょうど敗戦前後の混乱期だったため、軍による情報統制もあって詳細な映像や資料が残っていない。

三陸沖の巨大地震の実態を東日本大震災によって初めて理解したように、日本人が南海トラフ地震の真の恐ろしさを知るのは、次の巨大地震を経験した時なのだろう。

その時には膨大な映像が各地で撮影され、未来への貴重な資料となるはずだ。

今私たちにできることは、想像力を大きく広げて最悪の事態を想定し、その日が来た時にどのように行動するのか、複数のシミュレーションをしておくことである。

まだ、私たちには考える時間が残されているのだから。

<吉祥寺残日録>日向灘で発生した震度5強の地震は南海トラフ巨大地震の前兆か #220122

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