<吉祥寺残日録>歴史に残る3月 #200331

今日で3月が終わる。

ペストやスペイン風邪と並ぶ歴史的な1ヶ月として、世界史に残るのだろう。

果たして1ヶ月前はどんな状況だったのかと思い、ブログを読み返してみた。

2月28日のブログ。タイトルは、「NYダウ過去最大の下げ幅!日経平均も暴落!街から高齢者が消え、店頭から物が消えた!突然の全国一斉休校でドタバタの日本列島」だった。

そこに書かれていたのは、まず株価の話。前日27日にダウが1197ドル下げ、過去最大の下落幅となったことだった。しかし、3月に入ると世界中の株価はさらに大幅に乱高下を繰り返したことはご存知の通りだ。

では2月27日のダウの終値はいくらだったかと思って調べてみると、2万5766ドル。今から考えると、嘘のような高値である。昨日3月30日の終値が2万2327ドル、一時は1万9000ドルを割り込むところまでパニック売りが広がった。

日本やヨーロッパの株価も一時30%以上下落し、各国の中央銀行は前例のない政策を次々に打ち出し、大量の資金で株を買い支えた。先週1週間の値上がり幅は過去最大らしい。

私は頭の体操も兼ねて、日経平均の信用取引を行なっているのだが、先週の爆上げは想像をはるかに超えていて、またしても大損をしてしまった。

やはり、投資の才能がないのだ。

1ヶ月前のブログで私が書いたことの2番目は、安倍総理による学校一斉休校とイベント自粛要請についてである。

スーパーの棚からトイレットペーパーが消えたのも、ちょうどこの頃だったようだ。

「後手後手」と批判された安倍総理がいよいよ動き出したと期待したが、その後もどうも政府の動きが遅い。この時のブログでも、自粛要請に合わせて政策パッケージを打ち出すべきだと書いているが、いまだに発表されていないとは正直驚きである。

海外の状況も、この1ヶ月で信じられないほど変わった。

2月末頃は、イタリアを中心にヨーロッパでの感染が広がり始めた段階で、トランプ大統領はまだ「アメリカは大丈夫だ」と楽観的な姿勢を崩していなかった。

あれから1ヶ月、アメリカの感染者数は16万人を超え、世界一の感染国となった。ニューヨークに続き首都ワシントンでも外出禁止令が出され、あれほど楽観的だったトランプさんも「何もしなければ220万人の死者が出るのだから、死者が10万人に抑えられれば成功だ」などと言い始めている。

自分自身の過去の発言を恥じる様子もなく、連日記者会見を開いて「やってる感」を演じるトランプさんのハートの強さには驚くしかない。政治家という商売は自らの過ちを決して認めてはいけないのだろう。

韓国にドライブスルー方式の検査が登場したのもこの頃である。

私も「これはいい」と思ってブログに書いたが、この1ヶ月で韓国のドライブスルー方式は世界中で採用され、欧米での検査数を飛躍的に増やした。今や1日数万件の検査を行うのが、先進国のスタンダードになっている。

ところが、日本だけは我が道を行き、検査の件数は1日1000件程度に止まっている。安倍総理も「医師が必要と認めた検査はするように」と厚労省に指示しているというのだが、なぜか一向に検査数が増えない。

メディアの取材力のなさにも助けられて、今もって何が原因で、誰がストップをかけているのかも明らかになっていない。厚労大臣も与党の政策責任者もどこにボトルネックがあるのかわからないと言うのだ。

誰かが理由があって止めているのなら、それをはっきり打ち出せばいい。

もし本当に政府指導者が必要な検査を行うよう指示しているにも関わらず、検査が滞っているのなら、この国の仕組みは本当に大丈夫かと疑わざるを得ないだろう。

一方で、この1ヶ月で私の予想が外れた点もあった。

感染者数や死者数が予想したほど増えていないことだ。

検査が少ないからという理由もあるだろうが、本当にどこかで感染爆発が起きていればSNSなどでその兆候は必ずわかる。専門家会議の中に設けられた「クラスター対策班」が必死でその兆候を追っているようだが、日本では欧米のような感染爆発は起きていないと明言している。

それは一体、どういう理由なのだろう?

「ダイヤモンド・プリンセス」騒動で、中国に次ぐ感染国だった日本は、この1ヶ月の間に多くの国に抜かれ、先進国の中ではむしろ感染が広がっていない国という位置付けに変わった。もちろん「日本は検査を行わずデータを隠している」との疑いの目も向けられているが、同時に欧米とは全く違う日本の対策に海外の関心が寄せられるようにもなった。

でも、そうして「ギリギリ持ちこたえてきた」日本でも、もうすぐ緊急事態宣言が出されようとしている。

今日午後、小池都知事が安倍総理と会談を行った。

4月になれば、欧米のピークが過ぎ、変わって日本や途上国での感染爆発が始まるような気がしている。

日本政府は今日、アメリカ、中国、韓国の全土とヨーロッパのほぼ全域から訪れる外国人の入国拒否を決めた。これで入国拒否の対象は73カ国となった。同時に日本人に対しても、これらの国への渡航中止を勧告し、それ以外の国への不要不急の海外旅行もやめるよう求めた。

海外では一足早く始まっている国境封鎖だが、これで日本も「鎖国」状態に入ることになった。

今年は旅行の年と決めて早くから予約を入れていた私だが、全部キャンセルする羽目になり、戻ってこない金も少なくない。

国内の感染がほとんど治ったと伝えられる中国でも、海外からウィルスが再び持ち込まれることを恐れて国境が開かれる気配はない。

欧米諸国の感染が一段落しても、世界は元通りには戻りそうにない。

3月はじめに書き始めた<吉祥寺残日録>だが、人類の歴史に残るであろうパンデミックの推移を日々記録することになり、私にとっては将来読み返した時に貴重な資料となりそうだ。

ちなみに、私事としては、妻の母親が3月11日に入院した。

新型コロナではなく、自宅で転んで骨盤を骨折したのだ。年齢はもう87歳なので、退院までは3ヶ月かかると言う。

よりによってコロナ騒動の最中に入院するとは、院内感染も心配だし、医療崩壊も心配である。妻の兄弟が交代で自宅に残った父親の世話に通っているが、首都封鎖となると、移動もままならない。

いつもとは明らかに違う春。

さて、4月はどんな月になるのだろうか?

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