<吉祥寺残日録>コロナ時代の子供たち #200505

今日は、こどもの日。

吉祥寺の街を歩くと、ケーキ屋さんの前に行列ができていた。

お弁当の行列かと思ったら、どうやらケーキを買い求めている人が多いのに気づく。

「そうか、今日はこどもの日か」

かしわ餅を扱う和菓子屋さんの前にも行列ができている。

緊急事態宣言の延長を発表した昨日の記者会見で、安倍総理が「外出はいいんです」と発言したからかもしれないが、今日は人出が増えた気がする。

そして、街にやってきた人たちの多くが、家に閉じこもっている子供たちのためにケーキやかしわ餅を買っているのだろうと思った。

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子供たちが学校に行けなくなるなんて事態が、今の日本で起きるとは誰も想像しなかっただろう?

コロナは、子供たちにどんな影響を与えるのか?

コロナの時代を経験した子供たちにどんな未来をもたらすのだろうか?

我が家の孫たちは、親が頑張ってなんとか自宅で楽しく暮らしているようだ。

今日も、みんなでイチゴのケーキを作ってこどもの日をお祝いしたという。

しかし、恵まれた子供ばかりではないだろう。

学ぶ権利を制限されて、外で遊ぶことも許されず、友達とも会えない。

それでなくても、感受性の強い世代である。

人格形成にどんな影響を及ぼすのか、とても心配である。

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昨日の会見で安倍総理は、9月入学に一切言及しなかった。

緊急事態宣言は延長するものの、学校は再開する方向のようだ。

でも、小池都知事は東京では学校の休校を5月末まで続けることを決めた。その代わり、すべての子どもたちがオンライン授業が受けられるよう、パソコンなどの支給するための予算を計上するという。

地域によって学校再開やオンライン授業の方針に大きな差がつきそうだ。

これが何をもたらすのか、私には想像がつかない。

ただ、私の直感で言えば、来年からの9月入学を導入して第2波によって再び休校を強いられることも想定しながら、十分が授業期間を設けたほうが良いと思う。

オンライン授業については、生徒のためにも先生のためにも、さっさと始めるべきだと思う。これは単に授業の遅れを取り戻すだけでなく、世界中で一気に進むであろうITリテラシーに日本の子どもたちが乗り遅れないために絶対に必要な取り組みである。

自宅での有り余る時間を使って、昔撮影した家族写真の整理を始めた。

フランス南西部にあるヨーロッパ最大の砂丘で遊ぶ次男の写真。

すっかり忘れていた子どもたちの写真に触れて、過ぎ去った子育ての日々を思い出した。

妻に任せきりで、決していい父親ではなかったと思うが、子どもたちをいろんな場所に連れて行ったこと、三人の子供にえこひいきをしなかったこと、子どもに過剰に干渉せず子どもたちに自分の生き方を決めさせたこと、高校を卒業したら強制的に一人暮らしをさせたことは、自分では良かったと思っている。

その結果、三人の息子たちは無事に成長し、自分たちの力で立派な家庭を築いてくれた。

子育てを終えた今となっては、そのことが何より嬉しい。

突き詰めて言えば、人間にとって最も大事な仕事とは、会社などではなく、子育てなんじゃないかとつくづく思うのだ。

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こどもの日に合わせて、いくつかの数字が発表された。

14歳以下の日本の子供の数は、39年連続で減少し、1512万人になった。

一方で、ユニセフによると、紛争で家を追われた子供の数は世界で1900万人と過去最多となったそうだ。

新型コロナウィルスがもたらすであろう世界大恐慌は、こうした子供たちの環境をさらに厳しいものに変えるかもしれない。

このピンチの中で、子供たちをどう守るのか、どのように育てるのか、子供たちにどんな未来を残すのか?

大人たちに課された大きな問題である。

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