今年の梅雨は短かった。
岡山では、私が中国旅行に出かけていた6月27日に梅雨が明け、7月4日に岡山に来てからはほとんど雨が降っていない。
おかげで畑の水やりが大変で、数日に一度は車で水を畑に運び、カラカラの作物に最低限の水やりをしている。
朝晩少し働いて、昼間は家でゴロゴロ。
しかしどうもブログを書く気力が湧かない。
そんなことで、3ヶ月ごとに記録してきたテレビドラマのまとめも先延ばしになり、気がつけば7月も中旬になってしまった。

ということで、おっとり刀で2025年春ドラマ、私のお気に入りについて簡単にまとめておくことにする。
このクールの印象を一言で言えば、去年からお家騒動で大混乱に陥っていたフジテレビにようやく復調の兆しが見えたということだろう。
その目玉となったのが私が大好きなシリーズの第三弾「続・続・最後から二番目の恋」である。
岡田惠和さんの秀逸な脚本をもとに展開される主人公たちのセリフの数々が今回も私の心を撃ち抜いた。

このドラマでたびたび登場する言葉がある。
『寂しくない大人なんていない』
2012年の第一シリーズから13年が経ち、小泉今日子と中井貴一演じる主人公2人も60歳の定年を迎える。
それまでがむしゃらに頑張ってきた生活環境がガラリと変わり、周囲の視線も求められる役割も突然変わってしまう。
そんな変化に戸惑いながら、なんとか自分の心をコントロールしようと格闘するのがこの年代である。
岡田敬和さんは私とほぼ同年代、だからこのドラマに登場するエピソードやセリフの一つ一つが私の胸にしみ込んでくるのだ。

内田有紀をはじめ個性的な長倉家の面々は13年前から変わることなく、賑やかな朝食シーンはもはや一つの芸術品だ。
そして今回新たに加わった三浦友和と石田ひかりの二人もとても上手く主人公たちに絡んできて、ドラマに厚みを付け加えた。
キョンキョンが演じる主人公・吉野千明の職業はテレビプロデューサーということで、定年間近のテレビ局での出来事がかなりリアルに描かれていることも個人的には懐かしかった。

そしてフジテレビといえばもう一本。
木曜10時から放送された「波うららかに、めおと日和」も前評判は高くなかったものの、放送が始まるとネットで話題を呼んだ。
漫画原作の作品だが、日中戦争開戦前の昭和10年ごろの東京を舞台に海軍士官とその妻の純愛を描いた微笑ましいラブストーリーである。

現代と違って男女の役割が決められていた時代。
親が決めた相手に嫁ぐ主人公、しかし初対面となるはずの結婚式に新郎は任務のために来なかった。
こうして始まる不自然な新婚生活の中で、恋愛経験のない二人のぎこちないやりとりが可愛らしく、次第に愛を深めていく二人を応援したくなる胸キュンストーリーだった。

そして、当時としてはかなり進歩的な考えを持つもう1組のカップルの恋愛事情も絡み、視聴者は毎回ヤキモキしながら昭和の恋人たちを見つめることになる。
私も全く期待せずに初回を見たのだが、すぐにハマり妻に勧めると妻も完全にどハマりした。
主役の芳根京子を含めてギャラの高そうなキャストがあまり出演しておらず、明らかな低予算ドラマだと思うが、この原作を選んだプロデューサーの選球眼、それを愛らしいドラマに仕上げたスタッフの力量には感服する。
CMは相変わらずAC広告ばかりで見るのが辛い状況ではあるが、フジテレビの復活はこうした良質な番組を一つ一つ積み上げていく以外にはないのだと思う。

こうしてフジテレビに一筋の光明が見えたのとは対照的だったのがTBS。
野心的だった前クールの「御上先生」に続き、今クール私が一番楽しみにしていた日曜劇場「キャスター」は残念ながら大いなる駄作だった。
私が好きな阿部寛と永野芽郁が主演、私が生きてきたテレビ報道の世界が舞台ということで大いに期待したのだが、初回でその期待は呆気なく崩れ最後まで陳腐な物語で終わってしまった。
自分が知っている世界だからこそ楽しめないという側面もあるかもしれないけれど、脚本家たちがやはり報道の醍醐味を理解していないことが一番な問題だと思った。
マスメディアの存在意義が問われる今、メディアの本質を問うようなドラマを見てみたい。

そんなTBSで今年の春面白かったのは火曜の「対岸の家事」。
共働きが当たり前の今の時代「贅沢」と見なされる専業主婦を真正面から取り上げた作品だ。
私たちの時代にはまだキャリアウーマンは少数派で、女性は結婚すると仕事を辞めて専業主婦になるのが普通だった。
だから私は専業主婦のいい点もありがたさも知っているつもりだけれど、それは女性が選ぶ時代。
女性の社会進出、仕事と家庭の両立が求められる今、若い女性や夫婦が抱える葛藤が複数の視点から描かれていて、昭和オヤジの私には少し新鮮だった。
テレビ局にもたくさん働く女性たちがいて、管理職として彼女たちの悩みにも耳を傾けてきたつもりだが、どこまで彼女たちの本当の悩みを理解できていたか、ドラマを見ながら反省したりもした。

「対岸の家事」の真裏、NHK総合で放送されたのが「しあわせは食べて寝て待て」。
病で仕事を辞め団地に引っ越した女性が、薬膳との出会いと団地の人々との交流を通して新たな生き方を見つける物語だ。
同じNHKで放送された「団地の二人」も名作だったけれど、令和の時代になって昭和のシンボルである団地が見直されているのかもしれない。
気の強い役が多い桜井ユキが演じる病気に悩む自信のない女性というのも新鮮だった。

今年の春ドラマでもう一本私好みだった作品といえば、日本テレビの土曜ドラマ「なんで私が神説教」である。
コメディエンヌとしての才能を買っている広瀬アリスが全くやる気のない高校教師に扮し、毎回さまざまなトラブルに巻き込まれながら、最後には本音をぶつける神説教で生徒たちの信頼を獲得していく学園ものだ。
このドラマの魅力はなんといってもやる気と自信のない主人公の設定。
広瀬にはこうした役がよく似合う。

最後に深夜ドラマから気になって最後まで見た作品を3つ。
一番ハマったのはテレ朝で放送された「魔物」。
最近流行りの韓国のプロダクションとの共同制作もので、韓国ドラマっぽい極端でスピーディーなストーリーが初回から展開される。
ミステリアスな魅力で麻生久美子演じる女性弁護士を虜にする「魔物」を塩野瑛久が好演、優しさと暴力で女性を支配していく。
DVという重い社会テーマを扱いながら映像は美しく耽美で、私はほとんど見ない韓国ドラマの世界を垣間見たような気がした。

その塩野瑛久と「天狗の台所」で共演したもう一人のイケメン俳優・駒木根葵汰が出演するテレビ東京の「やぶさかではございません」は、実にたわいのないラブストーリーなのだが結局最終回まで見てしまった。
主役は乃木坂46の元メンバー松村沙友理。
アイドル好きではない私は彼女のことを全く知らなかったけれど、彼女の下手な演技が妙にツボにハマりついダラダラと録画を続けたのだ。
私がハマるドラマは基本的には脚本の面白さなのだが、なぜこのドラマを最後まで見たのか自分でも謎である。

そしてもう一本、テレ東の深夜ドラマ「ジョフウ ~女性にxxxxって必要ですか?~」も最後まで見た。
こちらは漫画原作のドラマだが、女性向けの風俗という私が知らない世界が描かれた作品で、ドラマの面白さというよりもテーマに対する好奇心から惹きつけられた作品だった。
と、なかなかバラエティに富んでいた2025年の春ドラマ。
フジテレビもようやく新体制が固まってスポンサーもの戻り始めたという。
「最後から二番目の恋」シリーズのような珠玉のドラマを今後も期待したいものである。