<吉祥寺残日録>志村けんさんコロナで死す #200330

新型コロナウィルスに感染して、人工心肺装置ECNOでの治療を受けていたタレントの志村けんさんが昨夜亡くなった。

現在日本で最も高度な装置であるECMOでの治療を受けられたのに、命を救うことができなかった。ECMOによる治療には12−13人のスタッフが必要とされ、志村さんはむしろ恵まれた患者だったとも言える。

だから、志村さんはおそらく回復するのだろうとなんとなく考えていた。

しかし、新型コロナは我々が想像する以上に手強いのだ。

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東京では感染者数が連日増え続け、すでに感染症指定医療機関のベッドは一杯になっているという。政府や都の対応が遅れ、いまだに軽症者や無症状の人たちがこうした病床を塞いでいるという。

今頃になって西村担当相が人工呼吸器の増産に動き始めた。

「感染スピードを遅らせ、その間に医療態勢を整備する」と言っていたのに、この2ヶ月間何の準備もしていなかったことが明らかになった。

本当に愕然とせざるを得ない。

習近平さんやオリンピックに気を使い表面に出る感染者数を抑える判断はまだ理解できるとしても、当初から心配された医療崩壊を防ぐための対策がまったく進んでいないというのは政権の明らかな失態である。

ちゃんとした医療を受けるためには早めに感染する方がいいのかもしれない。

数週間後に感染した人は、欧米のように廊下に放置され、年齢の高い人はトリアージ=命の選別によって人工呼吸器を使うこともできずに死んでいくのだろうか?

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志村さんの死は、改めてこのウィルスの恐ろしさ、日本人の間にまだ残る認識の甘さを浮き彫りにした。

その死を無駄にしてはならない。

今年70歳の志村さんは、今年初めてNHKの朝ドラや映画の主役に挑戦する予定だった。お年寄りから若者まで、志村さんほど幅広い日本人に愛された芸能人は少ない。

ご冥福をお願いしたい。

志村さんは東京・武蔵村山市の出身で、現在のご自宅は我が家からも近い三鷹市だった。いよいよウィルスが身近に迫ってきた印象がある。

ただずっと自宅にこもってコロナのニュースばかり見ていると、どうも足腰が弱り、体調が悪くなってくる。

在宅勤務の手を休め、銀行の用事を済ませた後、井の頭公園を一回りしてきた。

今日は、武蔵野の面影が色濃く残る西園方面に歩く。

昨日降った雪がまだ溶けずに残っていた。

吉祥寺の街中や桜が咲き誇る井の頭池の周辺と違って、西園へと繋がる雑木林は人影もまばらだった。

多くの人たちが自宅待機していることがわかる。

西園の400mトラックもいつものようにランニングする人の姿は見られない。

代わりに、誰かが作ったのであろう雪だるまが、半分溶けた状態で残されていた。

こんな井の頭公園、見たことがない。

さらに先に歩いていくと、ソメイヨシノとオオシマザクラが綺麗に咲いた広場がある。

普段なら平日でも多くの人が憩う花見の穴場だが、恐ろしいぐらいに人がいなかった。

西園の南端にある人気スポット「三鷹の森ジブリ美術館」もひっそりとしていた。

世界中から多くのジブリファンが訪れるこの美術館は、2月25日から臨時休館したままだ。

門にかけられた案内によると、休館は4月28日まで続くようだ。

果たして、ゴールデンウィークに再開することができるのか?

今の世界の状況とこのウィルスの性質を考えると、難しいかもしれない。

ジブリ美術館をぐるりと回り、公園通りを通って吉祥寺方面に戻る。

学生から高齢者まで常にフル活用されているテニスコートも4月12日まで使用中止となっていた。

そういえば、ここも東京都が管理する井の頭公園に付属する施設なのだ。

オリンピックの延期が決まり、小池都知事が遅まきながら号令をかけた影響は確実に都民の間に広がっている。

志村さんの死を無駄にしないよう、感染のピークが過ぎ去るまで、私たちはひたすら病院のお世話にならないような健康管理と責任ある行動を心がけたいものだ。

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