🇯🇵羽田空港~🇨🇳北京~🇫🇷パリ 2024年10月22日
家を出たのは、まだ夜も明けぬ午前4時半だった。
羽田空港行きの始発バスに乗るためだ。

午前4時45分吉祥寺発のバスは、思いのほか混んでいて、ほぼ満席だった。
早朝から空港を利用する客がこんなにいるとは。
いささか、驚きではある。

羽田の第3ターミナルに到着したのは午前5時半すぎ、もう中国国際航空のチェックインカウンターの前には行列ができている。
私がわざわざこのフライトを予約したのは、料金が格安だったからだ。
パリ往復エコノミークラスで12万円。
大手キャリアの半額以下だ。
そのせいか並んでいたのは、私と同じように値段に釣られたと思われる欧米の旅行者が大半で、意外なことに中国人の姿はほとんどなかった。
預け入れ荷物のない私は、近頃スマホで事前にオンラインチェックインを済ませることが普通なので、今回も中国国際航空のアプリをダウンロードしてチェックインを試みるもうまくいかず、電話で問い合わせたところ、当日カウンターで手続きしてくださいと言われてしまった。
やっぱり中国のキャリアは面倒臭いと、トラブル覚悟で早めに空港に来たのだが、午前6時にいざカウンターが開くと流暢な日本語を話す中国人のスタッフが実にテキパキとさばいてくれて、あっという間に北京経由パリ行きの搭乗手続きが終わった。
やるな、中国国際航空!

予想外に早くチェックインが終わったので、プライオリティパスを使ってラウンジで時間をつぶす。
朝カレーがあるのが嬉しくておかわりしようと思ったら、「ご飯は今あるだけです」と空になった炊飯器はすぐに持ち去られてしまった。
まあ、飛行機に乗る前に食い過ぎもよくないので、これでやめとけということだろう。

初めて搭乗した中国国際航空機はちょっと年季の入った機体で、座席にモニターはおろか電源も付いていなかった。
まあ、北京までは4時間のフライトなので、大きな問題ではない。

むしろ問題だったのは機内食。
中国だからと少し期待したが、見事なほどに不味かった。
まあ、機内食というものはもともと美味しくないものだし、中国の飲食店で食べてもハズレに当たる可能性は高いので特段驚きはしないが、メインの牛丼は少し食べただけで半分以上を残した。

その代わり、飛行機は順調に飛行し、ほぼ定刻に北京の首都空港第3ターミナルに到着した。
ここは、やはり中国。
モダンで立派な空港ではあるが、不必要にデカすぎて、無駄に歩かなければならない。

Transfer の案内板を頼りに乗り換え口に向かうと、長い行列ができている。
やはり中国が目的地ではなく、乗り換えのために利用する外国人が多いようだ。
列の最後尾に並んだ途端、一人の男性が「乗り換え客はこっちに来て」と大声で叫ぶ。
どうやら空いている乗り換え口に誘導してくれるらしい。
多くの乗客と一緒に私も彼の後をついていく。
確かに彼が案内してくれたゲートは空いてはいたが、パスポートを読み込む機械の調子が悪く、そこでもたちまち長い行列ができてしまった。
このあたり、中国もまだまだだなあと感じるものの、少し前までサービスという概念が全く存在しなかった国だ。
これでもマシになったということだろう。

およそ30分ほどかかってようやく乗り換えゲートを通貨できた。
中国で乗り換える場合は2時間ぐらい乗り換えの時間を見ておいた方がいい。

この北京首都国際空港は中国国内で最大、世界でも第2位の利用客数を誇る巨大空港で、中国のナショナルフラッグである中国国際航空のハブ空港となっている。
そのため、居並ぶ旅客機の大半は中国国際航空なもので、他には全日空などスターアライアンスに加盟する世界各国の航空機が乗り入れていた。
コロナをきっかけにビザ免除がなくなり、日中関係も冷え込む中、中国を訪れる日本人はめっきり減ってしまったが、こうして北京の空港を見る限り、中国が国際的に孤立しているという印象は全く受けない。

パリ行きの便の搭乗口に無事にたどり着き、まだ時間があったため、スマホをWi-Fiにつないでみた。
すると、空港の情報が中国語、英語だけでなく、日本語でも表示された。
現在中国観光には原則ビザの取得が必要だが、第3国への乗り換え客については、特例として144以内の入国が認められている。
そして、首都空港内にはベッドを完備した有料ラウンジや荷物預かりの窓口も設けられているという。
うまく利用すれば、ちょっとした観光旅行は可能らしい。

そうこうしているうちに、パリ便の搭乗が始まった。
ここまでは順調だったのだが、機内に乗り込んでからなぜか出発まで時間がかかってしまった。
結局中国国際航空機は50分遅れで北京を飛び立ち、およそ11時間のフライトでパリにも50分遅れで到着した。
この日はパリのシャルル・ド・ゴール空港近くの宿に泊まることにしていてよかった。

10時間を超える長旅では、ただひたすらに映画などを見て眠くなったらひと眠りというのが耐える方法だが、あいにく中国国際航空のパリ便には座席モニターはあるが日本語のコンテンツは見当たらない。
そんなこともあろうかと、今回はAmazonプライムで日本のドラマや映画を、YouTubeでは日本の懐メロをいろいろダウンロードしてきたのだ。
パリ行きのフライトで活躍したのが、綾瀬はるかの昔のドラマ「ホタルノヒカリ」。
「ひもの女」という流行語を産んだ傑作コメディは、難しいことを考える必要もないので、頭がボーッとした状態で見るにはうってつけだ。
おかげで、狭い機内での耐えがたい時間もいくらか短く感じられた。

しかし、機内食の方は相変わらず。
中国とフランスという世界に冠たる美食の国を結ぶフライトとは思えない不味さで、2回出された食事も食べられそうなものをちょっと口に運んだだけでメインはほとんど残してしまった。
ああ、日本の美味しい中華料理が食べたくなった。

ということで午後7時半、飛行機は無事にシャルル・ド・ゴール空港に到着した。
食事や機内サービスなど不満をあげればキリがないが、それでも値段と所要時間を考えれば文句は言えない。
フライトマップを故障していて、どこのルートを飛んだのか結局わからなかったけれど、中国の航空会社は今でもロシアの上空を飛行できるのだ。
だからパリまでの所要時間は日本からの直行便と大差はなく、それで値段が半額ならば、これを選択肢に入れないのはやはりもったいないと感じた。
日本人としては、中国には事あるごとに警戒心を抱き、実際に苛立つことも多いのだが、でもこうして中国の経由便を利用してみると、いろいろ気づかされることもある。
ちょっと面倒な巨大な隣国とどう付き合っていけばいいのか?
それを考えるためにも、時々無理のない範囲で中国を体感してみるのも悪くないと改めて感じた。