夏のプラハは世界中から集まった観光客でごった返す。人気の路地では歩くのも困難なほど、原宿の竹下通りかと思うような状態なのだ。
私も妻も人混みが嫌いだ。なので毎日、朝散歩を楽しんだ。
静かなプラハを楽しむためには、朝7時台の散歩がオススメだ。夜中じゅう騒いでいるフーリガン風観光客がねぐらに帰り、一般のツアー客もまだホテルで朝食を食べている。街には驚くほど人気がなくなる。

まずは、宿を出てすぐのカレル橋。
全長520メートルのプラハ最古の石橋は、旧市街とプラハ城を結ぶ観光のメインルートで、プラハを訪れるすべての観光客が集まり一日中多くの人でごった返す。
しかし、朝7時にはまだ人影もまばら。ゆっくりと風景を堪能できるのだ。

下を流れるヴルタヴァ川(モルダウ川)。スメタナの名曲「モルダウ」のモチーフとなったチェコを代表する川だ。

北西の丘の上にはプラハ城。この時間は朝日に照らされた順光のお城が川面に映る。


カレル橋の欄干には30体の聖人像が並ぶ。信心深い人たちは、一体一体じっくりと見て歩くのだろう。
私は単なる被写体として写真を撮り、ぼんやりと眺めながら通り過ぎるだけだ。

橋の上ではウェディングドレスを着た花嫁の姿が・・・。
朝のカレル橋で写真を撮るカップルを毎日見かけた。そういう商売が存在するのだろう。
雑誌や広告写真の撮影もこの時間に行われる。観光客の少ないこの時間は、世界中から来た新婚さんと広告関係者にとって貴重な時間なのだ。

カレル橋を離れて旧市街広場に向かう「カレル通り」。すべての観光客が歩くメインストリートだ。日中はこの狭い石畳の路地が人で埋めつくされ身動きできないほどになる。
そのカレル通りもこの時間はガラガラ。道沿いのお店もまだ営業していない。でも買い物に興味のない私たちにはむしろ好都合だ。どこを見ても絵になるプラハの街並みをただ眺め、写真を撮りながらそぞろ歩く。



閉まったお店ものんびりとウィンドーショッピングが楽しめる。


小さな広場はオープンカフェのようになっている。まだ準備中だ。

こんな静まり返った街の中で営業しているのがパン屋さん。

店の前では、串刺しのパンがグルグル回っている。これ、プラハの名物「トゥルデルニーク」というらしい。筒に小麦粉生地を巻きつけ、回転しながら焼き上げたお菓子で、シナモンや砂糖をまぶして食べるのが基本だ。クリームやチョコ、アイスクリームとのセットも人気らしい。一度食べようと言いながら、結局食べずに終わってしまった。
まあ味は予想がつくのだが・・・。

黒い壁面に精緻な装飾が施された建物。「一分の家」という。旧市街広場に面する旧市庁舎の端に位置するルネッサンス様式の建物だ。
遠くから見ると立体的な彫刻に見えるが実は平面の絵。こうしただまし絵の技法は「スグラフィット装飾」と呼ばれ16世紀にルネッサンスのイタリアからボヘミアに伝わった。

旧市庁舎の塔は現在改修工事中。ただ有名な天文時計は動いており、毎正時に動き出す仕掛けを見ようと観光客が時計の前に集まる。
上の時計は地球を中心に太陽や月、天体が回るもので一年かけて一周する。下の時計は黄道12宮と農村における四季の作業を描いた暦で1日にひと目盛り動く。
毎正時の仕掛けは私も見たが、結構地味なものだった。思わず「これだけ?」と叫びそうになる。

そして旧市庁舎の前に広がる旧市街広場。旧市街の中心で昼間は多くの観光客に埋め尽くされるこの広場も、この時間は嘘のように静まり返っている。
写真左手、工事中の旧市庁舎の奥がバロック様式の「聖ミクラーシュ教会」。そして右手の鋭い2本の塔を持つのがゴシック様式の「ティーン教会」だ。
様々な歴史の舞台となったこの広場を、ゴシック、ルネッサンス、バロック、ロココ様式など異なる時代の建築物が共存する。世界でも珍しい広場なのだ。

そして広場の中心に立つのが、宗教改革の先駆者としてカトリックを批判し火あぶりの刑に処せられたヤン・フスの銅像だ。
聖ミクラーシュ教会をバックに立つヤン・フス像は、大国に囲まれ苦難の歴史を歩んだチェコ人の独立心の象徴のように見えた。



多くの戦争を経験しながら破壊されなかったプラハ。
それ自体、奇跡と言っていいだろう。
しかし、常に自分の住まいや街を美しく飾ろうとする文化的な精神が、この街には脈々と生きて来たことが伝わる楽しい街歩きであった。
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<参考情報>
私がよく利用する予約サイトのリンクを貼っておきます。
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