今年の夏は歴史的な暑い夏になるという。
今週も東京は連日猛暑日が続き、7月の猛暑日の記録を更新するらしい。
とはいえ、私はゴルフにも行かず自宅に篭っているため、さほど暑さにまいるということもない。

ところが、妻はどうやら暑さにやられたのか、孫の世話で疲れたのか激しい頭痛で寝込んでしまい、私は一人でランチを食べにいくことになった。
平日の昼間、猛暑の吉祥寺にはいつもほどの混雑は見られなかった。
さて、何を食べるか?
こう暑いと食欲も失せてしまい、食べたいものが思い浮かばない。
適当に街を歩いてピンと来た店に入ろうと思って歩き始めたが、全然ピンと来る店がない。
暑いのだからさっさと決めて冷房の効いた店に飛び込めばいいようなものだが、どうも入る気にならない。
そんな時、一軒の店が頭に浮かんだ。

ハモニカ横丁とダイヤ街に挟まれた路地に最近オープンした大衆居酒屋「馬力」である。
ちょっと前までハワイアンのお店がこの場所にあったが、ほとんど客が入っておらず、私も一度も行かないまま居酒屋に変わった。
吉祥寺には珍しい新橋的な居酒屋で、ビールケースを椅子にしている風情がずっと気になっていた。
調べてみると、「馬力」はもともと新橋で人気の大衆居酒屋のようで、その店構えにはオヤジの心をわし掴みにするノウハウが詰まっているようだ。

この吉祥寺店は数年前にダイヤ街にオープンし、今年の4月からこの場所に移転した。
初めて見た時とは店の雰囲気が少し変わっていて、入り口には縄のれんがかかり、看板には「大衆酒場と町中華」と書いてある。
いつの間にか、町中華を加えて昼間の客も呼び込む計算なのだろう。
私もまんまと釣られて、縄のれんをくぐって店の中に吸い込まれてしまう。

店内はガラガラでもなく、満席でもなく、適度に客が入った状態で、みんな昼間から酒を飲んでいる。
やはりこう暑くては、誰しも食欲がなくなり、冷たいビールとつまみで十分な気になるのだ。
町中華にも惹かれるが、やっぱりここは昼飲みだろう。

メニューを見ると、ビールのほかにサワー類がいろいろある。
気になったのは「名物 馬力ハイ」(390円)。
「大人気」「後味すっきり!」と書かれているが、どんなものだろう?
店員さんに聞いてみると、普通の酎ハイに特別な何かが入っているのだが、何を加えているかは秘密なんだという。
これは気になる。
まずは、「馬力ハイ」を一つ注文する。

つまみメニューも充実していて、刺身や焼き鳥のほか多種多様なつまみがリーズナブルに揃っている。
この中から、とりあえず「名物 馬力漬」(190円)をチョイス。
(早・安・旨)ということで「とりあえず」頼むにはちょうど良さそうだ。
そしてもう一品、一番人気と書かれた「馬力とうふ」(490円)を選ぶ。
『言わずと知れた1番人気!魂の逸品!』と堂々と書かれては注文せざるをえまい。

とりあえずの注文を済ませて、改めて店内を観察する。
この店に入ってまず目につくのは、ハワイ風の装飾だ。
これは今年の春までこの場所で営業していたハワイアン料理店の内装をそのまま受け継いだからだが、これはこれで海の家みたいで面白い。
聞くと、前のハワイアンの店も系列店だったそうだ。
店内に流れる音楽も、夏の海を感じさせる日本のポップスだった。

目の前のカウンターには、お相撲さんの手形が飾ってあり、よく見ると稀勢の里や白鵬のサインがある。
そして、カウンターの上にはずらりとお品書きが並び、なんとも言えない独特の雰囲気だ。
ちょっと洒落た店の多い吉祥寺にも、こんなベタな大衆居酒屋があっていい。

そうして店内をひと通り眺めている間に、「馬力ハイ」(390円)と「馬力漬」(190円)がやってきた。
まさに「とりあえず」という素早さである。

「馬力ハイ」をひと口飲む。
ちょっと甘くて、トロピカルな感じ。
なんだこの味、どこかで飲んだことがある。
しばらく考えて、そうだ!・・・これって、リポビタンじゃない?
オロナミンCかリポビタンDかはわからないが、どうもそれ系のものが入っている感じだ。

そして「馬力漬」。
こちらはスライスした砂肝とネギを胡麻油で和えた感じだ。
美味い。
この「とりあえず」は大正解だと思った。
組み合わせとしては、「馬力漬」に生ビールか焼酎の水割りを合わせる方が良さそうではあるが・・・。

やや遅れて、一番人気の「馬力とうふ」(490円)が来た。
揚げ出し風の豆腐の上にニンニク漬のスライスが。
たっぷりの刻みネギが爽やかさを添える。
食べていると、見た目よりも豆腐は柔らかく、思いのほか生っぽい。
ニンニクの印象は強いのだが、全体的にはさほど私好みではなかった。
なぜこれが一番人気なのかは不明だ。

町中華の方も試してみたいと思い、メニューを再びチェック。
チャーハンやラーメン、レバニラ炒め、さらにはカレーもあるらしい。
しばし迷った末に選んだのは「秘伝スープで焼く餃子」(450円)を選択する。

「馬力ハイ」も飲み干してしまったので、今度は甘さを控えて「金宮焼酎水割り」(290円)をオーダー。
個人的には「馬力ハイ」よりもシンプルにこちらの方が美味いと思う。

そして、こちらが餃子。
お店で用意したタレはなく、自分の好みで醤油とお酢を混ぜてタレを作る。
『秘伝スープで焼いた』という謳い文句とは違って、普通の餃子でサイズも普通。
それでも餃子は餃子、お酒にはよく合う。
こうして、この日のランチは合計1800円といつもより少し高くなってしまった。
料理が特別美味しいというわけではないが、この手の居酒屋はやはり便利。
有名な大規模チェーン店にはいく気がしない私のような客には重宝するかもしれない。
食べログ評価3.03、私の評価は3.50。
「大衆酒場と町中華 馬力」 電話:050-5600-5928 営業時間:12:00~23:30 定休日:不定休 http://www.bariki.co.jp/