8月に生まれた孫のお宮参りのため、茨城県の神栖市にやってきた。
この辺りに来たのは産まれて初めてだ。
宿泊先である市内中心部にある「鹿島セントラルホテル」に昼過ぎに到着し、まずは近所でランチを食べることにした。

妻がホテルのすぐ近くに「喫茶」と書かれた店を見つけ、ここにしようと提案した。
個人的には霞ヶ浦のうなぎを食べたい気分だったが、ここは妻の提案に従った。
結果的にはこれが大正解だったのだ。

大通り沿いには有名チェーン店ばかりが立ち並ぶ中で、その店は茨城ローカルな香りを漂わせていた。
それなりに歴史を積んだ喫茶店と見受けられる。
その外見を見て、私は一眼で気に入り、妻より先に店の中に入っていった。

店の入り口には「談話室 杉の樹」と刻まれた看板。
「談話室」というのも東京ではなかなか見かけないネーミングである。

店内に入ると、私好みのレトロな風情。
天井が高く、大きく開放的な窓、古き良き喫茶店の趣を漂わせていた。
聞くとこの地で40年以上営業しているとのことだった。

私たちが店に入ったのは午後1時を回っていたが、店内はほぼ満席だった。
小さな2人掛けのテーブルだけが空いていて、そこに通された。
見れば周りのテーブルの客たちはみんな食べ終わっていて、おしゃべりに花を咲かせている。
あ〜、まさに談話室だと思った。

メニューを見ると、カレーやハンバーグ、スパゲッティーやサンドイッチ、ドリンク類からデザートまで昭和喫茶の定番メニューがずらりと並んでいる一方、カツ丼や中華などおよそ喫茶店にはなさそうなメニューまで揃っていた。
ここはまさにチェーン店ではない地元に愛されるファミリーレストラン、そんな感じだ。
私も妻もさほどお腹が空いていなかったので、多彩のメニューの中からドリンク付きの「サービスセット」の中から選ぶことにする。

私が選んだのは「チリドック&チキンプレートセット」(1000円)。
見た目は別にどうということはないが、チリドックも鶏の唐揚げも見た目以上に美味しい気がする。

チリドックは、バターロールにウインナーを挟み、タバスコ的なものが入っている。
パンはふわふわ、ウインナーときゅうりのシンプルな味わいが好ましい。

唐揚げもジューシーで旨味がある。
別に特別な何かがあるわけではないが、ホッとするサービスランチである。

そして、この店の一番の自慢はコーヒー。
これが飲みたくてサービスセットを選んだ。

『コンピューター制御にて焙煎いたしております。香り豊かでコクのある最高の素材豆を生豆から丁寧に焙煎しております。とても美味しい珈琲です』
テーブル上にはそんな能書きが置かれていた。
昔ながらの砂糖壺が使われているのもありがたい。

昔から変わらない美味しい食事といつまでもおしゃべりができる居心地のいい空間。
地元に愛される店に共通する要素を全て備えた老舗喫茶店との出会い。
この店に目をつけた妻の直感に感謝するほかはない。
食べログ評価3.28、私の評価は3.50。

ちなみに、この日の夜は喫茶店の向かいにある「くら寿司」に行ったが、ものすごい混雑で寿司も不味く嫌になってしまった。
こんなことなら夜も「杉の樹」に行った方がよかったと後悔したのだった。
「談話室 杉の樹」 電話:0299-92-6677 営業時間:9:00~21:30 定休日:木曜