伯母の古民家はJR東岡山駅から北東に2キロほど離れた集落である。
東岡山駅の北口というのは駅前にコンビニが一つあるだけ。
そこから数百メートル離れた場所に一軒だけ店を構えるカフェがいつも気になっていた。
先週の週末、妻が珍しく外食にしようというのでこのカフェに行ってみることにした。
カフェの名前は「あんぽんたんカフェ笑壺(えつぼ)」という。
店の名前の由来は、おばあちゃんが口にした一言だったそうだ。
『むか〜し、むかし、寝たきりのおばあちゃんが言いました。
「あんたみたいな子を“あんぽんたんガール”って言うぢゃあ・・・」と。
それは、決して学校の成績は良くなかったけれど、世間の道からそれる事無く、寝たきりのおばあちゃんの介護を“あんぽんたん”みたいに笑いながらしている孫・・・私への褒め言葉でした。』
そんな女主人が営む家庭的なカフェは、店内も独特の雰囲気である。
入り口を入るとちょっとごちゃついた感じだが・・・
奥に進むと、吹き抜けの天井でゆっくりファンが回る洋風でメルヘンっぽい内装。
窓も大きく取られて居心地の良い空間を作っていた。
こちらの引き戸の奥は小上がりのような個室になっている。
中はどこかのお宅の応接間のような感じで、テーブル席と座卓席が一つずつあった。
入り口の脇には手作りっぽい雑貨が販売されている。
統一感は全くないが、いかにも個人経営といった温かさを感じさせるお店である。
ランチメニューも独特で、「大笑い」「笑い」「小笑い」「微笑み」「壺」「爆笑」「大爆笑」という名前がつけられている。
それぞれ日替わりでメインの料理が変わるようで、この日は肉が「チキンソテー」、魚は「アジフライ」、刺身は「盛り合わせ」と「うな丼」、壺は「牛丼」となっていた。
このメイン料理の組み合わせによって、ランチセットの名前が変わるのだ。
私が選んだのは「アジフライの笑い」(1100円)。
メインのアジフライの他に、小鉢3つとスープ、味噌汁、ご飯とお新香がセットになり、食後のドリンクもついてくる。
後で聞いたのだが、女主人のご両親はずっと岡山市内で魚屋を営んでいたそうで、カフェと言いながら魚料理、特にお刺身が自慢なのだという。
とはいえ、料理は素朴な家庭料理といった雰囲気。
アジフライも大きく開いた作りではなく、家庭の食卓に登場しそうなフライだった。
お惣菜も家庭の味って感じで、味付けは少々塩辛い。
奥で女主人のお母さんと思しき女性が調理をしていたので、昔魚屋をしていたおばあさんが作ったものかもしれない。
妻はチキンソテーの「笑い」を注文。
私も一口いただいたが、アジフライよりこちらの方が美味しいと感じた。
近くで行われている工事が何なのかずっと疑問に思っていたので接客上手な女主人に聞いてみると、「あれは環状道路を作っているんです」と言って予定図を見せてくれた。
やはりわからないことがあれば地元の人に聞くのが一番早い。
ちょっと田舎のペンションに来たような印象を受ける東岡山のカフェ。
自慢の料理はお刺身だそうだが、温かな接客が何よりのご馳走だと感じた。
食べログ評価3.29、私の評価は3.20。
「あんぽんたんカフェ笑壺」 電話:070-5300-4685 営業時間:11:00~19:00 定休日:金曜・第3日曜 https://www.facebook.com/%E3%81%82%E3%82%93%E3%81%BD%E3%82%93%E3%81%9F%E3%82%93%E3%82%AB%E3%83%95%E3%82%A7-%E7%AC%91%E5%A3%BA-192867904224742/
いい雰囲気ですね。お料理がいずれもおいしそう。彩も素晴らしいです。