冷たい雨が降り続いた昨日、ちょうど昼時に妻が歯医者に出かけるというので、私は一人でラーメンを食べに街に出ることにした。
コロナ対策としてずっとテイクアウトしていたが、3回目のワクチンも打ったしそろそろ通常の暮らしに戻し始めようかと思ったのだが、1時間の昼休みしかない現役諸君に配慮して私はピークが過ぎた午後1時半ごろに家を出た。

選んだのは、コロナ禍の去年、吉祥寺駅南口近くの雑居ビルにできた新しいお店である。
「らぁ麺 さわ田」
雑居ビルと人とバスが入り乱れるカオスのようなパークロードで、その店はちょっと異彩を放つ。

まるで一流の和食店のようなお品書き。
看板メニューは「鴨と大山どりの鶏清湯」のラーメンらしい。

天下寿司の入口にあたるこの場所には以前、大盛り丼のお店が入っていた。
その頃と比べると随分上品な佇まいになったものだ。
食べログのクチコミによれば、このお店は以前ここにあった「吉祥寺どんぶり」を運営していた「B級グルメ研究所」が新宿の人気店「らぁ麺 はやし田」のプロデュースを得てオープンしたお店らしい。

店内はカウンター席のみで8席。
こじんまりしたお店だ。
目指すのは、『毎日食べられる「安心できる」らぁ麺』だそうで、ちょっと楽しみ。

まずは入口の券売機で食券を買う。
左から「炭火焼鴨ロース麺」「鴨と大山どりの醤油らぁ麺」「炭火焼鯵煮干醤油そば」「炭火焼鯵煮干塩そば」と並び、それぞれに「特製」「味玉」と普通がある。
ちょっと迷って、「味玉 炭火焼鯵煮干塩そば」(950円)を選ぶ。
鯵煮干に惹かれたのと1000円で収まる値段が決め手だった。

カウンターに座ると、目の前にいろいろと能書きが書いてある。
私が注文した「炭火焼鯵煮干そば」に関しては・・・
『炭火で焼いた希少な鯵煮干しを使用した動物系不使用の淡麗スープ。ほのかに炭火焼の香ばしさと鯵本来の甘みを感じる一杯です』と書いてあった。
濃厚なスープは最近お腹にもたれるようになったので、私にちょうどいいスープの予感。

そんな能書きを読みながら店内をキョロキョロしていると、目の前に丼がやってきた。
「熱いので丼の上の方を持ってください」と店員さんから声をかけられ、ラーメンを自分の席に置いた。
白い丼に赤い文字で「さわ田」と書いてある。
とても美しい一杯だ。

まず目を引くのは、半熟加減が美味しそうな「味玉」。
能書きには、「奥久慈卵」と書いてある。
『甘みとコクがあり、黄身が濃いのが特徴です。美味しさ、安心・安全な卵を追求し厳選しました』

次に目を引いたのが、海苔と一緒に立っていた「たたみいわし」。
これはどうやら、塩そば限定のトッピングらしい。
『駿河湾産の厳選された新鮮生しらすを、丁寧に水洗いし形を整えて天日で干したもの乾燥させています。鯵煮干しスープに浸して香ばしい風味と上質なダシを堪能できます。また軽く炙っていますので香ばしく、サクサクとして食感も楽しめます』
かなり期待していただいたが、期待しすぎたためか、スープへの浸し方が足りなかったのか、特段の感動は得られなかった。

続いて丼中央に鎮座するチャーシューは、ちょっと生ハム風だった。
『豚肩ロース肉と鶏むね肉を低温調理し、しっとりしたチャーシューに仕上げています』
チャーシューには刻んだ生のタマネギとネギが添えられていたが、個人的にはちょっと凝り過ぎかなという印象で、もっと普通のチャーシューがいいなと思いながらいただく。

個人的に一番の好みは、丼の端っこに隠れるように置かれた一本のメンマだった。
『当店では、穂先メンマを使用しております。希少価値が高く、みずみずしく、食感が柔らかく、そしてシャキシャキ感が強いことが特徴です』
まさにこの説明の通り、穂先が細かく分かれていて食感が柔らかい。
スープにもよく絡んで、とても美味しかった。

そして肝心の麺を、チャーシューの下から引っ張り出す。
『数種類の厳選小麦を絶妙なバランスで配合。全粒粉使用。コシ、のど越し、風味を高次元でバランスさせた逸品です』
よく見ると、麺の中に色の違う粒が見える。
中華麺というよりも日本そばに近い印象も受けるが、食べてしまえば皆同じ。
寒い日には何よりこの温かさが美味しさになる。

コロナ禍に密かにオープンして、ずっと気になっていたお店にようやく行くことができた。
気がつけば、スープを全部飲み干していた。
医者からは塩分を控えるように言われているのに・・・。
そろそろテイクアウトにも飽きてきたし、テイクアウトに使う容器も環境に優しくない。
まずはピーク時間を外しながら、徐々に外食する機会を増やしていきたいとラーメンを食べながら思った次第である。
食べログ評価3.41、私の評価は3.50。
「らぁ麺 さわ田」 電話:050-5890-5758(予約不可) 営業時間:11:00~23:00 定休日:年末年始 https://noodle-sawada.studio.site/