帰省中、一人暮らしの母を誘って中華料理を食べに行くことにした。
ところが目をつけていた店が、運悪く従業員にコロナワクチンを接種させる日に当たり臨時休業だという。

そこで急遽スマホで探して見つけたのが、大通りから少し入った住宅街にある上海料理のお店だった。
「中国料理 桃の華(もものか)」。
お店のホームページを見ると、「大人の隠れ家」「大人の空間で楽しむ至極の時間」と書いてある。

午後6時ごろに店を訪ねたが、客は誰もおらず最後まで貸切状態だった。
こじんまりとしたお店だが、店内のしつらえはちょっと上品で、確かに「大人の隠れ家」を意識したお店づくりがうかがえる。

個人的にはもう少し庶民的な油ギトギトの中華料理店の方が居心地がいいのだが、今日は母と二人、少し上品なお店も悪くないかもしれない。

お店の雰囲気からして値段も少し高いのかなと覚悟してメニューを開くと、品数は多く、意外にも1000円ぐらいの手頃なメニューも多い。
私の母は、妻に比べるとケチではないので、「好きなもんを食べられえ」と私を促す。
母は年金暮らしなのでゆとりがあるわけではないのに、一緒に食べにいくと必ず自分が払おうとするので、最近ではいつもご馳走してもらうことにしている。
自分は大して食べないのに、息子にご馳走するのが嬉しいらしい。

そこで最初に選んだのは、「昔ながらの酢豚」(1000円)。
白い皿に盛られた酢豚は、とても色鮮やかで上品な一品だった。
肉は柔らかく、88歳の母も難なく食べた。
味の方も上品で、悪くはない。

続いては「小籠包」(4個 840円)が運ばれてきた。
4個入りで、母が1つ、私が3ついただく。
お約束の肉汁もドバッとほとばしり、まずまずの味である。

客が他にいないので、料理がどんどん出てくる。
次に運ばれてきたのは「蟹肉入り春巻」(2個 500円)。
蟹肉に惹かれたが、さほど蟹を感じない。
味の方もちょっと淡白で、これなら普通の春巻の方がいいのではと感じる。

そして〆に頼んだのが、「酸辣湯麺(サンラータンメン)」(900円)。
久しぶりに酸味と辛味を味わいたくなったのだ。

値段が高くなかったので、それほど多くないだろうと思ったのが間違い。
母は辛いものは食べないというし、一人で食べるにはかなり量が多い。
それでも何とか食べきったが、もうお腹がパンパンになる。
味の方はといえば、私好みではなかった。
辛味は十分あるのだが、酸味と旨味が足りていない気がした。

中国料理の世界大会で受賞経験もあるオーナーシェフが手がける料理はどれも美しく悪くはないのだが、強烈な記憶に残るという感じは受けなかった。
どちらかといえば、女性向き。
私のようなおっさんには、もっと場末の中華屋さんの方が向いているように感じた。
食べログ評価3.47、私の評価は3.40。
「中国料理 桃の華」 電話:086-232-1218 営業時間:11:00~14:00/17:00~22:00 定休日:月曜 http://momonoka2013.gourmet.coocan.jp/