バイデン大統領が警告した通り、プーチンさんはすでに決断したようだ。
それがどこまでの軍事行動かはまだわからないが、ウクライナを力づくで支配下に置こう決断し予め用意していた計画の発動を命じたことは間違いがないだろう。
ロシアのプーチン大統領は21日、ウクライナ東部ドネツク州とルガンスク州の2つの州のうち、親ロシア武装勢力が支配する自称「人民共和国」の独立を承認し、親ロシア系のリーダーをクレムリンに招いて大統領令に署名する様子を公開した。
これに先立って、ウクライナ東部では親ロシア武装勢力とウクライナ政府軍の間の砲撃や銃撃が活発化していて、プーチン大統領はロシア軍部隊を「平和維持」のためにこの地域に派遣することも併せて発表した。
ウクライナ軍が親ロシア系住民の迫害をしていて、「自国民保護」が目的だという。
現地では数日前から親ロシア系住民の一斉避難が始まっていて、ロシア議会下院もこれら2つの「人民共和国」の独立を承認するようプーチン大統領に求める決議を採択するなど、まさにプーチン自作自演の茶番劇が粛々と進められているという印象だ。
そしてプーチン大統領の決断の直後、現地では早速「正体不明」の戦車などこれまでは見かけなかった軍用車両が走る姿が目撃されている。
全ては段取り通り、ウクライナ東部で始まった戦闘行為も、ロシア側のシナリオに沿った「謀略」なのだろう。
親ロシア武装勢力の作った「人民共和国」の独立をロシアが一方的に承認した経緯を見ながら、私はすぐに「満州国」を思い起こした。
関東軍の一部参謀たちによる謀略で始まった満州事件。
政府や軍中央の不拡大方針を無視して戦線を拡大し、ついに「満州国」を建国、日本だけが承認した傀儡国家だった。
その後、満州は「日本の生命線」とされ、そこを守るために日中戦争を始め、それが泥沼化すると活路を求めて東南アジアへの進出を画策、挙句のはてに太平洋戦争へとなし崩しになだれ込んでいった。
今回のロシアの動きは、末端の若手将校が引き起こしたことではなく、最高権力者であるプーチンさんが中心となって計画された軍事作戦だろうから、旧日本軍よりもヒトラー率いるナチスドイツに近いのかもしれない。
1933年に首相に就任したヒトラーは、暴力的な手法も用いながら国内の敵対勢力を一掃した後、1935年に再軍備を宣言する。
1936年には非武装地帯とされていたラインラントに進駐、隣国のチェコスロヴァキアにもじわじわ触手を伸ばし1939年に併合してしまう。
しかし当時の国際社会はこうしたヒトラーの動きを警戒しつつ「宥和政策」を取り続け、その間に力をつけたドイツはこの年の9月、不可侵条約を結んでいたポーランドに電撃侵攻して第二次世界大戦が始まったのだ。
もし、ヒトラーが再軍備宣言をしたあたりで国際社会が締め付けていたらその後の歴史は変わったかもしれない。
当然こうしたドイツや日本の先例は、プーチンさんの頭にも入っているだろう。
まずはすでに支配下に置いているウクライナ東部にロシア軍を入れることで国際社会がどんな反応をするのか、それを見た上で次の一手を打ってくるだろう。
しかし一つ言えることは、プーチン大統領は完全に一線を越えてしまったということだ。
私は先週まで、プーチンさんは大規模な兵力を見せつけてウクライナやNATO諸国に圧力をかけ、ロシアに有利な状況を作ることが狙いだと考えていた。
だが、どうやら私の考えは間違っていたようだ。
ロシアは、北京五輪のタイミングでグルジアに侵攻し、ソチ五輪の時にはクリミアを武力でもぎ取った。
そして今度は、北京冬季五輪にあわせてウクライナへの軍事作戦を用意したのか。
しかし本格的にウクライナに侵攻するとなるとそれなりの抵抗も予想されるし、西側の経済制裁も前例のないものになるだろう。
ロシアにとってそれに見合う代償とは何か、未だにプーチンさんの頭の中が読み取れない。
バイデン大統領は、アメリカの情報機関からもたらされる機密情報を積極的に公開することによって、ロシアの野望を押しとどめようとしている。
先週末、「プーチン大統領はすでに決断した」と発言したのを聞いて、私も一気に自分の認識を改めなければと感じたものだ。
もしこれでロシアが動かなければ、バイデンさんの権威は地に堕ちるリスクもあった。
しかしバイデンさんの予言通り、プーチンさんは動き出した。
アメリカは「想定の範囲内」と冷静に受け止め、第一弾の金融制裁を発表、予定されていた米露外相会談も中止になるようだ。
ドイツはロシアからの新しい天然ガスパイプラインの稼働にストップをかけ、イギリスやEUも限定的な金融制裁を発表した。
ロシアがさらに軍事侵攻を進めれば、さらに強力な経済制裁で応じる構えだ。
こうした事態の急変を受けて、私も年始から塩漬けになったままの株を損切りすることにした。
お正月に景気のいい話をする経済界の人たちの言葉を聞いて、運試しに久しぶりに株を買ってみたのだが、すぐにFRBの利上げ話で急落し、さらにウクライナ情勢の悪化でずっと塩漬けとなっていた。
私はロシア軍の軍事侵攻はないと考えていたので、いつか戻るタイミングがあるだろうとそのまま持っているつもりだったのだが、もしも本格的にキエフへの軍事作戦などが始まった場合にはステージが大きく変わってしまう可能性が高い。
中国の出方はまだよくわからないが、中国、ロシアを中心にその周辺の強権的な国家がある種の連合を組むような事態になれば、新たな冷戦時代の始まりである。
西側の経済制裁は、世界のブロック化を進め、軍事支出の増加はコロナによって財政が悪化した各国の足枷となるだろう。
石油をはじめとする様々な物資が高騰し、世界的なコロナバブルが一気に弾けることも想定される。
そもそも戦前の日本が軍事国家になっていく過程でも、スペイン風邪があり、関東大震災があり、世界恐慌があって、国内経済が苦境に陥ったことが大きな原因だった。
満州事変を引き起こした青年将校たちの間でも、娘たちが身売りされるような農村部の窮状を救うことが大きな大義となったのだ。
パンデミックがまだ収まりきらない世界でもし軍事的な緊張が高まったら、一体どんな未来が待ち受けているのか?
想像すればするほど、悲観的にならざるを得ない。
ひとまずここは株を処分して身軽になって、事態の推移を見守ろう。
私が株を売ると、世の中はだいたい良い方向に行く。
「ああ、結局底値で売っちゃったな」と後悔するかもしれないが、そんな後悔で済めばお安い御用である。
