東グータ地区

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シリア情勢がますます複雑怪奇になっている。

ダマスカス近郊の反政府勢力の拠点・東グータ地区へのシリア政府軍による攻撃は激しさを増している。ジャーナリストさえ入ることが困難な戦場からSNSで生々しい映像が発信され、世界中で連日大きなニュースとなっている。

その映像の主役は、戦場に取り残された子供達だ。

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なぜ子供達がそんな危険な場所にいるのか?

取材していない私が推測で物を言うのは不謹慎ではあるが、過去の経験から推測するに、映像に登場する子供達の多くは反政府勢力として現在も抵抗を続けている人たちの子供ではないか。徹底抗戦の意志を固めた兵士たちが自らの家族を避難させないケースは多い。そしてSNSで子供達の窮状を世界に訴えることの効果もよく知っている。

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一般的に戦場では、テレビニュースが伝える以上に複雑な力学が働く。テレビニュースというものは、物事をある程度単純化しないと視聴者に伝わらない。だから、西側のメディアは一般的に「無慈悲なアサド政権が罪のない子供達を殺している」という構図になる。しかし、実際のところ、その構図はあまりに複雑でテレビニュースの尺には収まらない。

シリアの場合には、とにかく関係するプレーヤーが多すぎるのだ。

シリア政府、反政府勢力、イスラム過激派、クルド人武装勢力、アメリカ、ロシア、トルコ、イラン、イスラエル・・・。

それにしても、日本での報道はあまりに少ない気がする。

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そんな中、昨日ちょっと興味深いランキングを見つけた。アメリカの軍事評価機関「グローバル・ファイヤーパワー」が発表した「2017年軍事力ランキング」というものだ。

1位はアメリカ、2位ロシア、3位中国と続き、4位以下にはインド、フランス、イギリス、日本、トルコ、ドイツ、エジプトとなっている。

シリア戦争に関係している国を見てみると、1位アメリカ、2位ロシア、8位トルコ、15位イスラエル、21位イラン、24位サウジアラビアなどの上位国が並び、さらにIS掃討作戦に加わった国を足すと、5位フランス、6位イギリス、9位ドイツ、22位オーストラリア、26位カナダなども関係してくる。

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中でもアサド政権を全面的に支援しているロシアは、新型兵器のテストをシリアの実戦で行なっていると批判されている。

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ロシアのプーチン大統領は年次教書演説で、新型核ミサイル「RS-28サルマト」をイメージ映像付きで紹介した。重量200トンの核爆弾を運ぶことができ、ミサイル防衛システムでは迎撃不可能だという。発表の際使われた映像は、核弾頭がフロリダ半島に向かうイメージ映像だった。

果たしてプーチン大統領は何を狙っているのか?

トランプ大統領誕生以来、世界は確実に悪い方向に加速している。第二次世界大戦の教訓を学び、同じ誤りを犯さぬよう政治家、メディア、市民の力が問われている。

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