6月末で会社を辞めてから早いものでもう1ヶ月になろうとしている。
テレビ局でお世話になった出演者の方からお中元をいただいたので、退社の挨拶を兼ねて暑中見舞いを出すことにした。
せっかくならば吉祥寺らしいカードを買って、それで出したいと思い、以前から気になっていたお店を覗いてみた。

昭和通りの外れにあるカード専門店「ビルボード」。
この場所で店を構えてすでに30年ほどになるという。

このお店では世界各国のグリーティングカード7000点が並んでいる。
やはり欧米のカードが多いようだ。
日本のカードは扱っていないようで、そのものズバリの暑中見舞いカードは扱っていない。
他の店を探そうかなと思った時に、一枚のカードが目に止まった。

頭髪から見てトランプ大統領と思しき男性が椅子に縛り付けられている絵葉書。
赤いネクタイには「フェイク」という文字が並ぶ。
そして腕に刺さった点滴には「真実」と書かれている。
顔を覆う皮のマスクは映画「羊たちの沈黙」「ハンニバル」に登場するレクター博士をイメージさせる。
つまり、フェイクニュースを発信し続けるトランプ大統領を猟奇殺人犯レクター博士に模して、真実の点滴で治療しようとしているイラストなのだろう。
ドイツ・ベルリンの「Inkognito」というカード業者の製品だった。
このトランプカードを使って、きょう私は暑中見舞いを出した。
さて、そのトランプ大統領本人だが、秋の大統領選まで100日となる中、苦戦を強いられている。
アメリカではコロナ感染者が今も増え続け、黒人差別に抗議するデモも収まっていない。
頼みの経済もV字回復は夢のまた夢。
これでトランプ再選がなくなるのであれば、新型コロナウィルスも悪いことばかりではなかったと評価されるかもしれない。
しかし、なんとしても再選を目指すトランプさんは、危ない賭けに乗り出した。中国への攻撃を強化したのだ。
アメリカがヒューストンにある中国総領事館の閉鎖を命じたのに対抗して、中国政府は成都のアメリカ総領事館を今日午前に閉鎖させた。
一歩間違えば、国交断絶にまで発展しかねない強硬措置。
元はと言えば、中国の覇権主義にも大いに問題があるので、トランプ政権が本気で中国を叩く姿勢に転じたことは理解できるが、米中対立が新たなステージに突入し、この先何が待ち受けているのか予想がつかない不安定な状況に陥ったのも事実だ。
この米中対立を材料にして、金価格が最高値を更新、円高ユーロ高も続いている。

そんな中、私はといえば、世界の危機を能天気な感じで眺めている。
会社を辞めたことも影響し、社会に対する関心が徐々に薄れてきているようにも感じる。
でも、私だけじゃない。世界の株式市場もこの事態をさほど心配するそぶりもなく、能天気なものだ。
コロナの感染者が増え続けても、以前のようには危機感が高まらない日本社会も同じだ。
人間はすぐに危機に慣れっこになってしまう。
そして、そんな能天気な空気の中で、本当の危機が密かに進行していくというのが歴史の教訓なのだが・・・。