<吉祥寺残日録>北京五輪2022🇨🇳 祝!平野歩夢の金!人類史上最高難度の大技連発で神の領域に #220212

北京オリンピックに参加した日本人選手の中で金メダル最有力と信じていた私のご贔屓、スノーボードハーフパイプの平野歩夢が見事期待に応えてくれた。

決勝1回目の冒頭からまだ誰も成功させたことのない超大技「トリプルコーク1440(縦3回転、横4回転)」を決め、見るものの度肝を抜いたが、その後のトリックで転倒。

私は思わず「惜しい」「何でもっと後半の難度を落とさないんだ」とテレビに向かって叫んでしまう。

スケートボードで東京五輪に参戦してからわずか半年。

まったくブランクを感じさせないどころか、いきなり他の選手とはレベルの違う超高難度のルーティーンでトップを狙ったのだ。

ベースとなる得点を稼いでから大技に挑戦するという常道を無視した平野のスタイル、それは格好いいがあまりにリスクが大きいと思った。

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決勝2回目。

平野は臆することなく再度「トリプルコーク1440」に挑戦、まともや成功させる。

しかも、とても余裕がある。

他の選手に比べて回転速度が極めて速いのだ。

その後も空中に高く舞い上がり、くるくると回り続け、ゴールまで見事滑り切った。

平野自身、公式戦で初めて成功させたルーティーンは、現在の最高難度と言われる4回転ジャンプ「1440」を3発も組み込んだ、誰も見たことのない圧巻の演技だった。

テレビの実況も興奮し、私のような素人から見てもその凄さがわかる完璧なルーティーン。

しかし、下された判定は91.75。

オーストラリアのスコット・ジェームズに次ぐ2位となった。

平野の表情に明かな不満の色が浮かんだ。

テレビの解説者も戸惑う低い点数、会場でもブーイングが聞かれたという。

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そして最終演技者として登場した3回目。

2回目の得点に対する怒りが平野を集中させていたという。

冒頭の「トリプルコーク」はまたまた成功、2回目よりも高さがある。

その後も高さのあるエアで着地も完璧、危なげない美しい演技で最後まで滑り切った。

満場の拍手を浴びてゴールに戻った平野歩夢は軽く右手をあげる。

平昌五輪のショーン・ホワイトのように全身でガッツポーズを作るようなことをこの男はしない。

いつも飄々と、自分の定めた目標に向かって黙ってチャレンジする男に、今回は「怒り」が火をつけた。

実況のTBS新夕アナウンサーの言葉通り「人類史上最高難度」のルーティーンを二度も成功させ、平野歩夢は神の領域に近づいたのだ。

やっぱり、この男は面白い。

3回目の得点は96.00。

本人も納得の高得点で見事金メダルを獲得した。

ソチ、平昌の銀メダルに次ぐ3大会連続のメダル。

そして一発大逆転で手にした悲願の金メダルである。

試合後平野は「子供の頃の夢が一つ叶った」と喜びを訥々と語った。

子供の頃、平野はスケボーとスノボーで金メダルを取りたいと口にしていた。

それを聴きながら私は、平野はパリ五輪でスケートボードの金メダルを目指すつもりだと感じた。

この男ならやってしまうかもしれない。

いつも穏やかで淡々とした語り口なのに、なぜかそう感じさせる不思議なキャラクターである。

北京五輪では、平野歩夢のほかに3人の日本人選手が決勝に進んだ。

去年世界大会で無敗だった戸塚優斗は2番目のトリックで着地が乱れ10位、私は彼もメダルを取ると思っていたがどうもオリンピックとの相性が悪いようだ。

平野歩夢の弟である平野海祝は、誰よりも高いジャンプで9位、アメリカのメディアでは彼の高さは歴代最高記録ではないかと評価されたという。

ちょっと可哀想だったのが19歳の平野流佳、戸塚と同じ2番目のトリックで3回とも失敗し12位に終わった。

戸塚と流佳も「トリプルコーク」に挑戦する予定だったが、それを披露することなく不満の残るオリンピックになった。

でも平野歩夢を含め4人ともまだ若い。

次のミラノ・コルティナ五輪でのリベンジを期待したいと思う。

ハーフパイプの絶対王者ショーン・ホワイトが北京を最後に引退し、いよいよ平野歩夢の時代が来る。

もし2回目でちゃんとした得点が出てトップに立っていれば、彼はきっと前人未到の4回転半に挑戦したはずだ。

4年後のオリンピック、彼がどんな目標を設定して誰も見たことのない技を見せてくれるのか、楽しみである。

怖いのはケガ。

平野歩夢も戸塚優斗も、恐怖との戦いという言葉を口にする。

彼らの華麗なる技の裏側には常に大怪我の危険が潜んでいることを認識したうえで、彼らの更なる飛躍を待つことにしよう。

平昌オリンピック② 平野歩夢の銀

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