今日は大晦日、いろいろな出来事があった2023年も今日でおしまいだ。
年末も押し迫った26日には、ボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一戦が行われ、井上尚弥がWBA、IBFチャンピオンのマーロン・タパレスを10回KOで下し、見事統一王者に輝いた。
井上はバンタム級でも4団体統一王者となっていて、2階級での4団体統一は史上2人目の快挙。
米国のスポーツ専門局ESPNは29日、プロボクシングの今年の男子最優秀選手に井上を選出したと発表した。
私もこの試合を見たが、終始優位を保つ試合展開、一瞬の隙を逃さない強烈なパンチ、圧巻の強さだった。
これで井上の成績は26戦26勝(23KO)、世界王座戦の連勝も21位に伸ばした。
文字通り「日本歴代最強のボクサー」であると同時に、今のボクシング界最強のボクサーと言ってもいいだろう。
さて、ようやくコロナ禍から抜け出した2023年。
世界経済が一気に回復に向かう一方で、ウクライナに加えてパレスチナでも悲惨な戦闘が始まり、世界の分断が一段と強まった一年だった。
去年の年末、私はこのブログに次のようなメッセージを残している。
遠く離れた異国の人を想う1年だった。
これまで日本人の私たちにはほとんど関係なかったウクライナの人々の命や生活が、心のどこかにずっと引っかかっている。
ある日突然、平穏な日常を奪われる理不尽さ。
怒りをぶつける相手は手の届かない場所にいて、ただただ耐えるしかない日々。
今も電気や暖房を奪われた厳しい冬を送っている。
ウクライナだけではない。
ミャンマーだって、シリアだって、アフガニスタンだって、香港だって、何も状況が改善することなく悲惨な状況が放置されている。
私たちの想像力が今まさに試されているのだ。
ロシアで戦争反対を叫んだ人たち、中国で白紙を掲げて政府に抗議した若者たち、そしてイランで自由を求めて声を上げた女性たち。
厳しい境遇に置かれた人たちが世界中にいる。
引用:吉祥寺@ブログ
今年は厳しい境遇に置かれた人たちの中にパレスチナの人々が加わったが、逆に平和や自由を取り戻した人たちは残念ながらいなかった。
世界を牽引する大国はどこも自分のことで精一杯で、他国の心配をする余裕はないようだ。
もちろん私たちの国、日本もその例外ではない。
そんな2023年の出来事を、毎年恒例、読売新聞の「読者が選ぶ10大ニュース」を通して見ていこう。
まずは、国内の10大ニュースから。
【1位】WBC14年ぶり優勝…最強侍 列島沸く
【2位】大谷メジャー本塁打王
【3位】ジャニーズ性加害問題
【4位】藤井竜王史上初八冠
【5位】阪神38年ぶり日本一
【6位】闇バイト「ルフィ」逮捕
【7位】新型コロナ「5類」移行
【8位】ビッグモーター不正請求
【9位】夏の平均気温過去最高
【10位】処理水放出開始
やはり、大谷翔平が今年の主役だった。
これはアメリカで起きた出来事だが、間違いなく国内ニュースと言っていいだろう。
ジャニーズの問題も藤井くんの八冠も阪神の優勝も、間違いなく今年の大きなニュースであったが、それを超えるような大災害や大事件がなかった比較的平穏な一年だったことの裏返しとも言える。
続いて、11位から30位も見ていこう。
11位 広島でG7サミット開催
12位 各地でクマ被害、死傷者過去最多
13位 日大アメフト部員、違法薬物で逮捕
14位 歌舞伎俳優の市川猿之助容疑者を逮捕
15位 ガソリン価格過去最高、物価高続く
16位 岸田首相演説会場に爆発物投げ込み
17位 夏の甲子園で慶応107年ぶり優勝
18位 生成AI急速に普及。著作権侵害など弊害に懸念も
19位 旧統一教会の解散命令請求
20位 マイナカードでトラブル相次ぐ
21位 五輪で談合、組織委元次長ら逮捕
22位 音楽家の坂本龍一さん死去
22位 株33年ぶり3万3000円超
24位 宝塚が劇団員死亡で報告書
25位 車いすテニス国枝さんに国民栄誉賞
26位 岸田首相、ウクライナを電撃訪問
27位 ネットで脅迫、ガーシー前参院議員逮捕
28位 日韓首脳会談、関係正常化で一致
29位 消費税のインボイス制度開始
30位 LGBT法成立
このところの不人気で、広島サミットなど岸田さん絡みのニュースはその評価を大きく下がってしまったようだ。
大騒ぎをしたマイナカードの問題も福島原発の処理水問題も、すぎてしまえばさほど関心が高くなかったということか。
個人的には日韓関係の改善や統一教会の問題はもう少し国民の関心があってほしかったという印象を持つ。
続いては、海外の10大ニュースを見てみよう。
【1位】イスラエルガザ侵攻
【2位】トルコ・シリア地震
【3位】ハワイ大規模山火事
【4位】ウクライナ戦況膠着
【5位】チャールズ英国王戴冠式
【6位】ツイッター「X」に変更
【7位】コロナ緊急事態WHOが解除
【8位】露「ワグネル」反乱
【9位】フィンランドNATO加盟
【10位】ラグビーW杯南ア4度目V
こちらを見ても、ガザの問題を除いてはさほど大きなニュースがなかった一年だったことがわかる。
ウクライナでは引き続きロシア軍の激しい攻撃が続くが、こう着状態が継続すると自ずとニュースの扱いも減り、人々の関心も遠のいてしまう。
国際世論がウクライナを見捨てた瞬間、自由世界の限界が露呈することになる。
11位から30位は以下の通り。
11位 北朝鮮「軍事偵察衛星の発射成功」
12位 国際刑事裁判所がプーチン露大統領に逮捕状
13位 タイタニック見学の潜水艇不明に
14位 金正恩氏が訪露、プーチン氏と軍事協力で合意か
15位 中国の習国家主席3選
16位 トランプ前米大統領起訴
17位 モロッコで大地震
18位 インドが月面着陸に成功
19位 米中が1年ぶり首脳会談
20位 ゼレンスキー氏が国連総会に出席
21位 中国「ゼロコロナ」政策終了
22位 中国、61年ぶり人口減
23位 ウクライナで露軍占拠の水力発電所ダム決壊
24位 米領空に中国偵察気球
25位 ノーベル生理学・医学賞にカリコ氏
26位 キッシンジャー米元国務長官が死去
27位 韓国が元徴用工問題の解決策を提案
28位 日米韓が首脳会談
29位 アフガニスタンで大地震
30位 「チャットGPT」開発会社トップ解任巡り騒動
北朝鮮関連のニュースが今年ベスト10に入らなかったことは、これまで北朝鮮の脅威に対して過敏に反応していた世論が少し落ち着いてきたかなという印象を受ける。
事態は一層深刻度を増しているのに、そのニュースを聞く国民は慣れてしまい逆に反応しなくなっているというのもある意味ヤバい感じだ。
個人的には、人口が頭打ちした中国とグローバルサウスの代表として急速に存在感を高めているインドはやはり気になるところである。
それでは恒例により、私が独断と偏見で選ぶ2023年の10大ニュースを発表する。
【1位】生成AI元年、「チャットGPT」が変える世界
このニュースについては正直私はちゃんと理解できていない。しかし、AIがより簡単に創造性を発揮できるように進化したことにより、ネット上に氾濫する文章や画像はますます真偽が確かめにくくなり、悪意を持ったフェイクニュースが蔓延するようになるだろう。何が真実で何がプロパガンダかもわからない世界で、人間は何を信じ、何を拠り所として思考し判断していけばいいのか? これは、人類が歩んできた歴史の中でも重要な転換点となりうる出来事である。私のようにメディアで生きてきた人間にとって、現場で真実を見極める作業はただでさえ容易ではないことを知っている。情報戦に長けた専制主義国家にとって生成AIは巧妙なプロパガンダを大量に作り出す便利なツールになる一方で、民主主義国家では悪意のあるフェイクニュースが選挙に大きな影響を及ぼす危険性が指摘されている。信頼できるメディアの重要性が再認識される方向に進むのか、逆に全ての情報が信頼を失い人々がメディアを信用しない傾向がさらに進んでしまうのか、重大な危機に瀕している気がしてならない。
【2位】ガザへの軍事侵攻、炙り出される世界の矛盾
発端はハマスによる電撃的な攻撃だった。これによってイスラエルは第4次中東戦争以来となる多くの犠牲者を出し200人を超える人質を取られた。一気に沸騰した国内世論をバックにネタニヤフ政権はハマス壊滅を目指した大規模な軍事行動を開始する。両者の軍事力の差は歴然としていて、瞬く間にガザでの死者数が増え続け、年末にはその数ゆうに2万人を超えた。犠牲者が増えるに従い、イスラエルに対する国際的なバッシングが強まっているが、最大の支援者であるアメリカの支持は揺るがない。ウクライナの問題であれだけロシアを非難したアメリカがガザの問題ではイスラエルを擁護し続けるダブルスタンダードにより、「アメリカの正義」は完全に色褪せた。対ロシアでまとまっていた自由主義陣営の結束も揺らぐことになりかねない。ハマスが全てのパレスチナ人を代表していないのと同様に、保守強硬派を主体とするネタニヤフ政権も国際社会が求める「二国家共存」を拒否していて、日常的にパレスチナ人に対する人権侵害を繰り返してきた。ガザの戦争は国際社会が目を背けてきたあらゆる矛盾の塊と言える。
【3位】世界の野球界の頂上に昇り詰めた大谷翔平
これは間違いなく私が今年一番興奮したニュースだった。3月のWBC、決勝のアメリカ戦で最終回のマウンドに上がり、相手のキャプテンだった同僚トラウトを三振に切ってとり見事に優勝を決めたあの瞬間は興奮が最高潮に達した。すぐにメジャーがシーズンインすると4月から投打の二刀流で大活躍、連日の大リーグ中継に釘付けとなる。そして怪我のためシーズン途中で戦線を離脱しながらも日本人初のホームラン王を獲得。さらに史上初となる2回目の満票によるMVPにも輝いた。シーズン終了後、各球団が大谷をめぐる熾烈な争奪戦を繰り広げ、最終的にロサンゼルス・ドジャーズが10年1000億円超という史上最高額で大谷との契約を勝ち取った。アメリカに渡ってから着実にキャリアを積み上げてきた大谷だが、2023年のシーズンは名実とも彼が世界No.1の野球選手となった年、野球史に燦然と輝く「伝説」となった年である。それでも、彼はまだ若い。「奇跡の同時代人」大谷翔平の伝説はまだこれからも続く。果たしてどこまで行ってくれるのか、楽しみで仕方がない。
【4位】3年続いたコロナ禍、日本でもようやく終焉
2019年末に中国の武漢から始まった新型コロナウイルスのパンデミック。欧米がいち早くポストコロナに向けて動き始める中、動きが遅かった日本政府もようやくコロナの分類を「2類相当」からインフルエンザ並みの「5類」に移行することを決断し、3年以上に及んだコロナ禍はひとまず終焉を迎えた。海外からのインバウンド客は順調に回復し、苦境に喘いでいた飲食店や旅行業界も一気にコロナ前の活況を呈している。一方で、コロナ禍で多くの従業員が離職した影響で、多くの企業が深刻な人手不足を抱えていて、需要に応えられないという課題も浮き彫りになった。コロナ禍で定着したと言われていたリモートワークだが、出勤が可能になった途端コロナ前の状況に逆戻りする企業も多い。今年の年末は久しぶりに忘年会も復活して街に賑わいが戻ってきたが、円安の影響もあって、この年末年始に海外旅行に出かける日本人はまだコロナ前の70%の水準に止まっている。あれだけ世界中の人々を苦しめたコロナウイルスだが、過ぎてしまえば100年前の「スペイン風邪」同様、あっという間に忘れ去られてしまうのかもしれない。
【5位】「安倍一強」時代の闇!統一教会とパーティー券問題
銃弾に倒れた安倍元総理がらみのスキャンダルが次々に明るみに出た年だった。旧統一教会の問題では、安倍元総理を撃った山上被告が元2世信者で教団に強い恨みを持っていたことが発端で、教団批判に火がついた。巨額の献金により生活苦に苦しんだ元信者たちが声をあげ始め、岸信介元総理以来の教団と清和会の特殊な関係が暴かれる。国会議員も地方議員も実に多くの政治家が旧統一教会の信者から無償で選挙応援を受けていたことも発覚した。世論の反発を無視できなくなった政府もついに重い腰を上げ、文科省は旧統一教会に解散命令を請求することになった。もしも安倍さんが生きていたら、果たしてここまで進展しただろうか。年末になって一気に盛り上がったのが、自民党の派閥が主催するパーティー券の裏金問題。東京地検特捜部が安倍派などの強制捜査に踏み切ったのだ。自民党最大派閥の安倍派ではノルマを超える額を販売した議員にはその超過分をキックバックする仕組みがあり、派閥も議員側もそれを政治資金収支報告書に記載していなかった。このキックバックの仕組みがいつから始まったのか、誰が主導したものだったのか、その詳細は未だ明らかになっていないが、「安倍一強」と言われた政治状況の中でほとんど仕事をさせてもらえなかった東京地検特捜部が安倍さんの死後、にわかに息を吹き返したように見えることは三権分立の原則からして望ましいことである。
【6位】日本でも世界各地でも「史上最も暑い夏」
気象庁は9月、今年の夏(6~8月)の平均気温が平年より1.76度も高く、統計を取り始めた1898年以降で最も暑い夏だったと発表した。東京では8月に31日間、最高気温が30度を超える真夏日を記録したが、1ヶ月まるまるの真夏日というのも観測史上初めてのことである。この歴史的な暑さは日本に限ったことではなく、6〜8月の世界全体の平均気温は16.77度で観測史上最も暑い3ヶ月となった。特に7月はアメリカ南部や南ヨーロッパが熱波に襲われて「史上最も暑い月」となり、8月が史上2番目に暑い月となったという。国連のグテーレス事務総長は「もはや地球温暖化ではなく、地球沸騰の時代を迎えた」と語った。今月閉幕したCOP28では初めて「化石燃料からの脱却」という目標で合意したものの、ポストコロナで経済活動が活発化する中で果たしてエネルギー消費を抑えることができる可能性は低いだろう。このまま人類は自滅の道を歩むのか? 少なくとも第一次産業に従事している世界中の人たちが異常気象の脅威をもろに受けることは避けられそうにない。
【7位】2年目を迎えたウクライナ戦争と支援疲れ
ウクライナでは年末、再びロシアによる大規模なミサイル攻撃が続いている。西側の戦車が供与され一時はウクライナ側の反転攻勢に期待が高まったものの、戦況は依然膠着したままだ。ここに来て東部の要衝マリンカを制圧するなどロシア軍の攻勢が鮮明になってきた。最大の支援国であるアメリカで野党共和党がバイデン政権が求めるウクライナへの軍事支援予算に待ったをかけるなど西側からの援助額は前年に比べて87%も減っているという。この難局を乗り切るためゼレンスキー大統領自らアメリカを訪問し共和党幹部を説得したが、来年の大統領選を前に新たな巨額支援を得る目処は立っていない。このまま西側からの支援が途絶えれば、ウクライナ側にロシアと戦うための弾薬が尽きることになり、これ以上の抵抗は難しくなるだろう。そして、もしもウクライナが戦争に負けることになれば、アメリカが主導してきた世界秩序が一気に崩れ、世界各地で武力を使った領土争いが活発化する可能性もあるのだ。そんな事態は見たくないが、NATOが本気で介入しない限り、プーチンを止める方法はないのが現実だ。
【8位】尹錫悦大統領の決断で一気に好転した日韓関係
韓国の尹錫悦大統領は、日韓の懸案となっていた元徴用工をめぐる問題について、韓国の財団が日本企業の賠償を肩代わりするとの解決策を発表した。これにより、文在寅政権下で冷え切っていた日韓関係は一気に好転し、長らく途絶えていた首脳間のシャトル外交も再開した。日本国内には懐疑的な見方も少なくなかったが、岸田首相も尹大統領とことあるごとに会談を重ねお互いの信頼関係を構築していった。日韓関係の改善は、東アジアにおけるパワーバランスにも影響を与え、北朝鮮による弾道ミサイル発射に対抗して情報を即時交換する仕組みも整ってきた。韓国国内には今も元慰安婦や徴用工問題、さらには福島第一原発の処理水放出問題をめぐり厳しい対日世論が存在するものの、一方で日本に対する感情は確実に好転していて、今年日本を訪れる韓国人の数はコロナ禍前の水準を上回り過去最多を更新する見込みだという。ただ両国の国内には相手に対する根深い不信感も残っていて、このまま良好な関係が維持できるかは予断を許さない。
【9位】ネットを悪用した犯罪の入り口「闇バイト」
治安がいいとされてきた日本社会で今年手荒な強盗事件が多発した。実行犯を捕まえてみると、その多くはネットで集められた見ず知らずの男たち。彼らを犯罪に誘導するのは「闇バイト」と呼ばれるネット上のサイトだった。今年摘発された「ルフィ」を名乗る指示役はなんとフィリピンの入管施設に収監中の日本人たち。お金で看守を手なずけて個室を確保した男たちは、施設内から日本国内の実行役に連絡し事細かに犯行の指示を与えていた。この指示役の男たちの背後には、日本の暴力団などがいるとされ、そうした強盗や振り込め詐欺で得た金が犯罪組織の資金源になっていると見られている。実は、ネットで実行犯を集める手口は日本だけではない。中国の犯罪組織は東南アジアなどで仕事を求めてやってきた人を強制的に拉致してミャンマーやカンボジアなどを拠点に監禁し、中国国内へのオレオレ詐欺に利用しているのだという。中国政府もこうした犯罪組織の取り締まりに本腰を入れ始めていて、それが内戦が続くミャンマー情勢にも影響を与えているのだから単なる犯罪の話に止まらない。誰もがスマホで仕事を探す時代。危険な罠はすぐ身近なところに仕掛けられているのだ。
【10位】インドが中国を抜き人口世界最多の国へ
長年「一人っ子政策」を続けた中国の人口が2022年に減少に転じ、今年ついにインドに抜かれることになった。国連人口基金によると、インドの人口は推定で14億2860万人、それに対し中国の人口は14億2570万人と見られる。躍進著しいインドはGDPでも2027年には日本、ドイツを抜きさり世界第3位に躍り出ると予想されていて、その存在感が急速に高まっているのだ。インドは「グローバルサウスの盟主」を自認しており、多くの発展途上国を代表する形で先進国に対しさまざまな要求を突きつける。安全保障の面では、伝統的に結びつきが強いロシアとの関係を維持する一方、アメリカや日本とも「クワッド」という戦略的同盟を結び、巧みな外交により漁夫の利を得ている。また、インドは独自の安価なノウハウを途上国に提供することにより、中国の影響力が強いアフリカやアジア諸国に勢力圏を広げ、中国にとってもインドが強力なライバルになりつつある。中国包囲網を目論むアメリカや日本とは当面呉越同舟の状態が続くと見られるが、インドが欧米型の民主主義国になることは考えにくく、将来的には多極化する世界の中で波乱要因となることも予想される。
ジャニーズの性加害問題や藤井聡太の将棋八冠達成、阪神38年ぶりの日本一、さらには歴史的な円安株高など、ベスト10に入れたい国内ニュースもいろいろあったものの、やはり個人的には、大きな時代の転換点にあるように見える国際情勢の方が気になってしまう。
そして来年2024年は、世界的に重要な選挙が目白押しだ。
1月の台湾総統選挙、2月にはインドネシア大統領選挙、3月にロシア大統領選挙、5月までにインドの総選挙、6月には欧州議会選挙、そして11月にアメリカ大統領選挙、日本でも解散総選挙が行われる可能性がある。
私が今年の10大ニュースの1位に挙げた生成AIの問題は、文字通り民主主義の根幹である選挙の公正さを危機に陥れるリスクを孕んでいる。
トランプさんが敗戦後「選挙が盗まれた」と主張し続けたように、選挙に敗れた候補者が負けを認めず社会を混乱に陥れる危険性が今後ますます高まるだろう。
みんなが信じたい情報しか信じない時代。
建設的な議論も寛容な心も、合理的な妥協も、正確な情報に基づく共通の土台がなければ成り立たない。
何が正しくて、何が嘘なのかもわからない社会は、みんなが噂話や神のお告げによって右往左往し、魔女狩りが行われた中世の時代に逆戻りすることになる。
インターネットが普及し、世界中の誰もが情報にアクセス時代になったのに、それが逆に中世の扉を開くことになるというのは笑えない冗談である。
そういう意味で、2024年は人類の歴史において重要な転換点になる可能性があると私は考えている。
アメリカ中心の国際秩序は弱体化し、世界の多極化がますます顕著になっていくだろう。
明確な国づくりのビジョンを持たなければ、アメリカ追従一辺倒でやってきた日本の外交も今後厳しい局面に立たされることが増えると予想される。
グローバルサウスと呼ばれる第三勢力が存在感を増せば増すほど、先進諸国の既得権は危機に瀕し、世界規模での人の移動が保護主義のムードを高めていくだろう。
冷戦終結後保たれてきたG7が主導する国際秩序は、そろそろ限界に近づいている気がする。
今こそ、国内外問わず真剣に格差是正に取り組むことが求められているはずだが、世界トップクラスの個人資産を持つ日本人でさえ増税には強いアレルギーを示し、他者を慮る余裕は世界中から失われている。
日本は過去の栄光にすがって生きる国になってしまうのか?
かつて高度成長期の日本のビジネスマンは単身発展途上国に乗り込んで精力的に販路を開拓する逞しさがあった。
「炎熱商人」と呼ばれた逞しい日本人はとうの昔に姿を消し、その後は貪欲な中国人ビジネスマンが世界各地で暗躍した。
しかし、強引な中国のやり方は各地でトラブルを引き起こすと、今度はインド商人が巧みに途上国に入り込もうとしている。
中国とインドの人口を合わせると、世界人口の3分の1にもなるという。
この2つの巨大国家がアメリカを凌ぐほどの経済力を身につけた時、日本にはどんな未来が待っているのか?
円安によって「貧しい国」に成り下がったと感じても、今の日本にはまだまだ世界有数の「豊かな国」であることに変わりはない。
問題は、その豊かさが残っている間に、GDPを追い求めるだけの「経済大国」から世界から尊敬され国民が幸せを感じることができる「幸福大国」に脱皮することができるかどうか、政治家だけでなく国民全体で模索する時期に来ていると思う。
