緊急事態宣言の効果が少しずつ出始めて、東京や大阪でも新規の感染者数が僅かながら減ってきている。
とはいえ、所詮は対処療法。
結局はワクチン接種の進展を待つ以外に方法はない。
中国では今、1日1400万人という驚異的なペースでワクチン接種が進んでいるという。
中国は 世界で最も速いスピードで、新型コロナウイルス感染症ワクチンの接種を実施している。
今日(18日)中国官営CCTV(中国中央テレビ)によると、中国の新型コロナワクチン接種は 16日までに累計4億回を越えた。これは 3億回を突破してから たった9日後の記録である。 中国は 接種1億回分から2億回分までには26日間、2億回から3億回分までには17日間かかったと集計されている。日が経つにつれ、接種スピードが速まっている。
米ブルームバーグ通信は「中国では、一日に1400万人近くの人々がワクチンを接種している」とし「世界で最も速いスピードだ」と評価した。
引用:wowkorea
やはり、国の隅々まで共産党組織が行き渡り、上意下達で動く社会はこうした危機の際には強い。
住民一人一人の都合に左右されず、地方の役人にノルマをかけて強制的に実施する国ほどこうしたオペレーションには向いているのだろう。

ということで、中国のワクチン接種回数は4億回を超え、2位のアメリカの2億7000万回を大きく引き離した。
3位は感染爆発が伝えられるインドで1億8000万回、以下イギリス、ブラジル、ドイツ、フランス、イタリア、トルコ、ロシア、メキシコ、インドネシア、スペイン、カナダ、チリ、ポーランド、UAE、サウジアラビア、モロッコ、イスラエルといった国々がすでに1000万回を突破している。
日本はこれまでの接種回数の累計が669万回で26番目ぐらい、100人当たりの接種人数は5.3人で114番目ぐらいだ。
日本政府は1日に100万回の接種を目指しているが、昨日1日でのワクチン接種の数は25万回弱だという。
中国の50分の1というペースである。
しかし、問題はもはや政府の調達能力ではなさそうなのだ。
日本経済新聞の『医療従事者接種、司令塔不在で35%どまり 都市圏低調』という記事には、こう書かれていた。
政府は医療体制確保のため、病院や薬局、訪問看護などで働く医療従事者への接種を優先。医療従事者向け接種の主体となる都道府県に2月から段階的に供給を進め、5月15日までに必要量の配送を終えたとしている。
引用:日本経済新聞
高齢者接種の前に先行接種が行われていた医療従事者向けのワクチンは、すべて配送を終えているというのだ。
これまでワクチン接種の遅れは政府の調達能力の問題とされていたが、実際にワクチンが届いてもスムーズに接種が進んでいない別の問題が存在する。
医療従事者たちはみんな注射ができる人たちなのだから、ワクチンさえ届けばお互いに打ち合えばいいのではと思うのだが、これがうまくいかないというのは、きっと日本社会の中に根本的な問題があるからだと思った。

日本経済新聞の記事を引用させてもらおう。
接種の完了率は地域でばらつきが大きい。政府が公表している接種実績と各都道府県が明らかにした対象者数から算出したデータをみると、東京、神奈川、兵庫、山梨の4都県が30%未満。逆に50%に達しているのは高知、佐賀の2県。人口が集中し医療従事者も多い都市圏で低く、人口規模の小さい地域で高くなる傾向がある。
都市圏で接種が遅れる背景は、当初のような供給不足だけではない。ワクチンが大規模病院で保管されたまま滞留する事態が起きている。
推計57万人の対象者のうち接種完了が約16万人にとどまる東京都の担当者は「大規模病院の一部で、個々に予約してくる医療従事者向けのワクチンが滞留している」と明かす。都は週内に約200の大規模病院の実態調査に乗り出すことを決め、6月末までの接種完了をめざして滞留解消を急ぐ。
完了率が30%の福岡県でもワクチンの滞留がみられた。同県では県から業務委託を受けた広告代理店が、医療従事者の希望と接種会場となる医療機関の日程を調整したうえで、大規模病院からワクチンを移送する仕組みだったが、委託業者が情報集約などに十分対応できなかった。
都道府県によっては地元医師会に接種の調整を任せているところもあるという。関西地方の病院関係者によると「医師会は当初、診療所で個別に接種する計画だったが、配送が複雑でワクチンの廃棄も問題になるため、地域の拠点病院で集団接種することになり時間がかかった」と話している。
引用:日本経済新聞
ワクチン接種は、今の日本社会にとって最優先課題である。
だとすれば、ワクチンが届き次第、どういう段取りで1日も早く医療関係者の接種を済ませるかは当然シミュレーションされていると考えていたのだが、どうもそういう準備はなされていなかったようだ。
「いつワクチンが届くか分からないので計画が立てられない」という自治体の不満はたびたびメディアで流れていたが、逆にいえばシミュレーションする時間はたっぷりあったはずである。
しかしいざ、ワクチンが届いてみると、自治体の準備は全く進んでいなかった。
そして、国も県もどこでワクチンが停滞しているのか把握もできていないという。
情けない話だ。
医療関係者の接種が遅れれば、それだけ高齢者や一般の接種も遅れるのは必然である。
「一億総無責任社会」、それとも日本人の能力はここまで劣化してしまったのか?
中国式の上意下達社会がいいとは思わないが、各自治体と医師会が責任を持って司令塔を務めるしかないのだ。
やり方がまずければ、次の選挙で市長を落選させればいい。
その代わり、国民も落ち着いて行政の指示に従う姿勢が必要だろう。
メディアの報道姿勢にも問題があると私は考える。
私が編集長であれば、うまく工夫して混乱なく接種を進めている自治体を探して取材報道するだろう。
この手のオペレーションは霞ヶ関の役人が方法を考えるよりも、全国各地で知恵を競い、良いアイデアを共有して効率的に進めていくのがベストだと思う。
その意味では、河野大臣が各自治体にフリーハンドを与えた判断は正しいと思うのだが、自治体の多くのその当事者意識が薄い。
でも必ず、うまくやっている自治体はあるはずなのだ。
これだけ大規模にやっていれば、うまくやれない自治体はどうしても出てくる。
そんなダメな自治体ばかり報道しても、絶望的な気分になるばかりで一つもいいことはない。
こうした危機に際しては、悪い事例を批判すると同時に良い事例をどんどん紹介することが重要なのだ。

ワクチン接種の遅れは、経済にも影響を及ぼしている。
国内でワクチンを開発できなかった日本が欧米や中国に対して出遅れるのは致し方ないとは思うのだが、いざワクチンが国内に届いても接種が進まないのは重大な問題だ。
個人の自由が最大限尊重されるのは大変素晴らしいことだが、ワクチン接種のような緊急オペレーションにおいては、一人一人の都合を優先しすぎる「悪平等な社会」は弊害でしかない。
医療従事者不足が指摘されるが、コロナに直接携わっていない医師にも休日返上で働いてもらうとか、ワクチン接種のための休診日を設けるといった話は一向に聞かれない。
まずは政府や自治体だけではなく、医師会や大病院、配送業者など、責任ある立場の人がプロとして最適な方法をはっきり示すことが重要だ。
そしてワクチンを待つ国民も、東日本大震災の際、被災者の人たちが譲り合い、黙々と順番を待った姿を思い出して無用な混乱を避ける忍耐を持つ必要があるだろう。