昨日の夕方、安倍総理は、全国に発令した緊急事態宣言について39県で解除すると発表した。

東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、京都、兵庫、北海道の8都道府県では緊急事態が継続する。
解除にあたっては、(1)感染状況、(2)医療提供体制、(3)感染の再拡大防止のための監視体制の3つを総合的に判断するとその基準を示した。あえて数値目標を設けない方針を採用したのだ。
私は、あまり数値目標を設けることが重要とは考えていないので、その方針は素直に受け入れたい。
専門家会議では具体的な解除条件として、直近1週間の新規感染者数が前の週を下回り、新規感染者数の合計が人口10万人あた0.5人を下回るといった指標を示した。
東京に当てはまれば、1日の新規感染者数を10人以下抑える必要がある。
まだまだ高い目標だ。

心配された欧米のような感染爆発が起きることなく、日本はなんとか最初の山を乗り切ったように見える。
検査数は相変わらず増えないが、全国で新規の感染者が減ってきて、逼迫していた重症者の病床にも少し余裕が出てきたそうだ。
政府の対策が後手後手を踏んだにも関わらず、G7の中では突出して少ない犠牲に留まっていることは素直に評価したいと思う。
一時は絶望的な気分になっていた私の心も、このところずいぶん落ち着いてきた。
様々な綻びは見られたが、ここまで医療崩壊を起こさずに頑張ってきた医療関係者や保健所の皆さんには、本当に感謝したいと思う。
しかし、日本がここまで何とか感染拡大をコントロールできた一番の理由は、クルーズ船騒動があった2月以来、自らの判断で外出を控え感染対策を自主的に行ってきた大半の国民の理解度と、自治体の休業要請を受けて自粛を守ってきた事業者の協力だと思う。
決して、官邸や厚労省の功績ではないだろう。
安倍総理は、本当にラッキーな人だとつくづく感じる。

しかし、吉祥寺の街を回ってみると、2ヶ月目に入った自粛の影響をあちこちで目にすることができる。

「東急裏」と呼ばれる人気エリア。
大正通りでも、「テナント募集」の貼り紙を目撃した。

女性に人気の中道通りでも・・・
都内でも有数の人気の街、吉祥寺では、人通りのある場所で路面店が空くことは滅多に見られない。
ある店が閉店しても、すぐに次の借り手が現れるので、「テナント募集」の貼り紙を目にすることはほとんどないのだ。

しかし、吉祥寺駅南口を降りた、目の前のビルでも・・・

マルイやドンキが店を連ねる井の頭通り沿いを歩くと、ここでも・・・

こちらの大規模店舗でも・・・

五日市街道でも、成蹊大学近くのお店が閉店して、テナント募集の紙が貼られていた。
こうした店は、これからますます増えていくだろう。

個人的にショックだったのは、ジブリ関連のグッズを売っていたこのお店。

今月に入って、閉店のお知らせが貼り出された。
駅からジブリ美術館に向かう観光客が必ずこの店の前を通り、いつも多くの外国人たちがこの店の前で歓声をあげながら足を止めた。
そんな光景を見ながら、「頭がいい店だな」と私は感心したものだ。
しかし、コロナの影響でジブリ美術館は2月からずっと休館したまま。店の前を通る外国人は皆無となった。
こんな事態が起きるとは、コロナ前には誰も想像ができなかっただろう。

大阪府の吉村知事は、独自で決めた基準をクリアしたとして、休業要請を段階的に解除すると発表した。
全国一斉休業から、自治体ごとのまだら模様となっていくことは避けられない。
そして、東京都で自粛が解除されるのは、最後になることも間違いないだろう。

安倍総理は、第2次補正予算を直ちに編成すると表明した。
しかし果たして、小規模な店舗がどこまで持ちこたえられるのか?
武蔵野市は独自の財政から、市内の中小零細企業などに15万〜60万円の緊急支援金を支給すると発表した。東京都が休業要請に応じた中小事業者に支払う「感染拡大防止協力金」の対象に含まれない業種が対象で、休業していなくても支給するそうだ。
具体的には、小売業や卸売業、理美容業、食品業など市内の約四千社(個人事業主を含む)が対象で、10億円あまりの財源を用意するという。
この武蔵野市の決断を、納税者でもある私は大いに評価したいと思う。
吉祥寺の魅力は、小規模で種々雑多なお店である。これが潰れてしまって、チェーン店ばかりになってしまったら、吉祥寺をわざわざ訪れる人はいなくなってしまうだろう。
市としても、ここは正念場である。
魅力ある街を守れるか、この1−2ヶ月が勝負どころだ。