<吉祥寺残日録>緊急事態全面解除までの道のり① #200525

安倍総理が今日夕方、緊急事態の全面解除を発表する。

全国に緊急事態宣言が発出されたのが4月7日、最後まで残っていた首都圏の4都県と北海道が解除されるまで、ちょうど7週間かかった計算だ。

結果から言えば、予想以上に多くの国民が外出自粛を守り、心配されたような危機的な感染爆発は起きなかった。

なぜ日本では欧米のような感染爆発が回避できたのか?

まだ、本当のところははっきりしていない。

ノーベル賞受賞者の山中伸弥教授は、その理由を「ファクターX」と呼び、それを解明することを求めている。山中さんのサイトから引用する。

日本の対策は世界の中でも緩い方に分類されます。しかし、感染者の広がりは世界の中でも遅いと思います。何故でしょうか?? たまたまスピードが遅いだけで、これから急速に感染が増大するのでしょうか?それとも、これまで感染拡大が遅かったのは、何か理由があるのでしょうか?私は、何か理由があるはずと仮説し、それをファクターXと呼んでいます。ファクターXを明らかにできれば、今後の対策戦略に活かすことが出来るはずです。
ファクターXの候補
・感染拡大の徹底的なクラスター対応の効果
・マスク着用や毎日の入浴などの高い衛生意識
・ハグや握手、大声での会話などが少ない生活文化
・日本人の遺伝的要因
・BCG接種など、何らかの公衆衛生政策の影響
・2020年1月までの、何らかのウイルス感染の影響
・ウイルスの遺伝子変異の影響

出典:山中伸弥による新型コロナウイルス情報発信

私は、日本人の多くが欧米より早く自主的対策をしていたこと、花粉症の季節で多くの人がマスクをしていたこと、「3蜜を避ける」「8割削減」といった行動指針が守られたことなど、主に日本人一人一人の自主的な行動変容が欧米との決定的な違いだと考えている。

ただ、このブログでも取り上げたようにBCGの効能や山中教授が指摘するように遺伝的要因がある可能性も否定できない。

緊急事態の全面解除という一つの節目に、コロナ危機が起きてからの動きとその時に私が何を感じたのかを振り返っておきたいと思う。

1月23日 武漢封鎖

今では遠い昔のことのようだが、2020年の新年は、ゴーン会長の逃亡劇とイランの司令官殺害で幕を開けた。

2020年といえば東京オリンピックの年。日本中が五輪景気とそれに伴うインバウンド需要を信じていた。

1月15日には米中が第一段階の合意を締結、世界経済の足を引っ張っていた重石が取れて、今年は明るい年になりそうだと見られていた。

しかし、その頃密かに、中国では深刻な事態が進行していたのである。

中国政府が突然1000万都市の武漢を封鎖したのは、1月23日、春節の大移動が始まる直前だった。

この段階で、私はこんなことを書いている。

春節が終わった時、世界にどれだけ病が拡散しているのか?

そしてその時、武漢の街はどんな状況になっているのか?

中国当局の手腕が問われる。

失敗すれば、中国人の間で政府に対する不満が爆発する可能性さえある危ない綱渡りが始まる。

中国の混乱が大きく拡大するようなら、「世界の工場」としての機能が狂い、世界経済にも思わぬ打撃を与えることも予想される。

そしてもしこれが日本で起きたとしたら、日本政府は大都市を隔離するような強硬手段を取ることができるのだろうかという疑問も湧いてきた。

吉祥寺@ブログ 「新型肺炎武漢封鎖」(1月23日)

1月26日 武漢火神山病院の建設開始

武漢封鎖のわずか3日後、中国は新型肺炎患者を収容する専門病院の建設に着手。ものすごい数の重機が一斉に動き10日間で新たな病院を作る計画に度肝を抜かれる。さらにこの段階で全国から医療チームを武漢に集めるオペレーションも始まっている。

今から考えると、中国の対応のスピードは群を抜いていた。

一方テレビでは武漢の病院の混乱ぶりが映像で伝えられ、「日本では武漢のような医療崩壊は起きない」と専門家が口を揃えて語ったいた頃だ。

1月29日 特別機で武漢から脱出

武漢および湖北省に滞在している日本人の救出作戦が始まった。

この段階では日本政府の対応は他国よりも早くてよかったのだが、このチャーター機で帰国した人の中から無症状の感染者が見つかり、事態は新たな段階に入った。

この段階で私はこんなことを書いていた。

この新型ウィルスは潜伏期間中にも人に感染しているのではないかと疑われていたが、症状がないのにウイルスを持っている人が存在することが証明されたことになる。中国以外で「無発症病原体保有者」が確認されたのは初めてのことだ。

これは、非常に厄介だ。

今回の日本人帰国者たちが無防備に街を歩き回っていたとは思えない。それなのに3人の感染者がいたというのは正直驚くべきことである。

日本人帰国者200人に対して3人も感染者がいたことを考えると、1100万人の武漢では10万人以上の感染者がいることになる。仮に致死率が2%だとすると、2000人の死者が出てもおかしくないだろう。

吉祥寺@ブログ 「中国人観光客をこれだけ受け入れているのに、帰国者やバス運転手だけ隔離しても意味はない」(1月30日)

その上で、日本全国で検査体制を整備することを訴えている。

今も欧米諸国などに比べて、やってくる中国人に優しいスタンスを維持しているのは、安倍政権が掲げる訪日客4000万人の目標や習近平さんの訪日、東京オリンピックへの配慮があるのだろう。

韓国などでは中国人に対してかなりヒステリックな反応も多いようだし、ヨーロッパでも中国人に対するあからさまな差別が出始めているようなので、個人的には日本が中国に対して比較的寛容な姿勢を保っていることは評価したいと思うのだが、その一方で、来日した中国人観光客から一般の日本人への感染リスクに対する対策が不十分な気がしてならない。

日本全国どこで日本人の感染者が現れてもおかしくないと思って、検査の体制を整えるべきである。

今一番急ぐべきは、新型ウィルスの検査態勢を全国で整備して、武漢と関係ない人でも速やかに検査できる環境を整えることだと私は思う。

今後、日本国内の患者数は相当増えると覚悟した方がいい。でも軽症の人も多いようなのでパニックにならないことが肝要だ。

吉祥寺@ブログ 「中国人観光客をこれだけ受け入れているのに、帰国者やバス運転手だけ隔離しても意味はない」(1月30日)

1月30日 WHOが緊急事態宣言

WHOが緊急事態を宣言したのは、武漢封鎖から1週間経った1月30日だった。中国政府に異常に気を使っているテドロス事務局長について、私は「不気味だ」と書いていた。

そしてこの緊急事態宣言を受けて、アメリカは中国全土への渡航禁止措置を発令した。

トランプ大統領が、中国とWHOを激しく攻撃する根拠はこのあたりにある。

そして私は、2月に予定していたミャンマー旅行をキャンセルした。旅先での混乱と感染リスクを考慮したためで、私のように1月末段階から行動変容を自主的にしていた日本人も少なからずいたはずだ。

ただ私の心の中には、違う欲求もあったことを書き残している。

本心を白状すれば、こうした時期だからこそ中国、特に武漢の状況を自分の目で見てみたいという気持ちはある。現役の記者時代なら、本社を説得して取材するルートを探すだろう。でも今ではただの一般旅行者。人様に迷惑をかける行為は控えなければならないと自分を納得させた。

中国の巨大都市から人影が消えた光景。今後も滅多に見ることができない歴史的な情景だろう。

想像するだけでワクワクする。私はもともと自分の健康のことにはあまり興味がない。その場所に行って、自分が何を感じるのか経験してみたいのだ。

吉祥寺@ブログ 「<きちたび>新型肺炎の拡散で各国が出入国管理を厳しくする中で、私も来週末のミャンマー旅行をキャンセルした」(1月31日)

2月1日 中国国外で初の死者

この日、フィリピンを訪れていた中国人男性が死亡した。

この段階では、武漢での感染者数は1万4000人あまり、死者が300人だったが、「ウィルス=武漢」と認識され、武漢出身者は外国だけでなく中国国内でも差別されるようになった。

湖北省では責任者の処分も始まり、この日私は情報発信者の処遇を心配している。

私が心配しているのは、ネット上にアップされている動画の撮影者とその動画に写っている人たちの今度だ。泣きわめく医療関係者や混乱する病院内の映像は、世界中のテレビやネットで繰り返し流され中国のイメージを著しく損なっている。

それに対して、中国の公共メディアが伝えているのは、武漢で進む専用病院の建設や完治し退院する感染者たちの様子、そしてカメラに向かって手でハートマークを作る看護婦さんといった綺麗で愛国心を鼓舞するような映像である。

こうした公共メディアと違う動画を勝手にアップした人たちはすぐに特定され、世界の目に見えないところで厳しい処分が待っていると想像する。

武漢から流れてくる映像には中央の指導者たちが許容できない恥が映し出されているからだ。

吉祥寺@ブログ 「中国国外でも初の死者!新型コロナウィルスの感染者数よりもはるかに多い検査を受けられない人の数」(2月2日)

私が危惧した通り、その後武漢の状況を取材し発信していた複数のジャーナリストが消息不明となっている。

どんなに中国がコロナ対策を自慢しても、こうした不透明さは払拭できない。

2月3日 ダイヤモンドプリンセス入港

クルーズ船「ダイヤモンドプリンセス」の横浜入港は、日本が新型ウィルスを身近に感じる転機となった。

日本では横浜に入港したクルーズ船に感染者が乗っていたことがわかり、乗客の下船を認めず海上での検疫が行われていて、メディアが大々的に報道している。

スタジオでのコメンテーターからは「どうして乗客全員の検査を行わないのか?」と政府の対応を批判する意見も出ているが、肝心のポイントについての取材が足りていない。

今、日本の検査能力はどの程度あるのか?

新しいウィルスである。インフルエンザのように簡単に感染の有無を判定できる簡易キットは世界中どこにも存在しない。専門機関に検体を送って一人一人培養してウィルスの有無を判定するしかないのだ。

当然、時間がかかる。人員などやりたくても能力的な限界がある。

吉祥寺@ブログ 「ボトルネックは検査するかどうか? 感染者数増加に神経を尖らす各国が大規模検査を行わない事情」(2月4日)

実際にマスコミで検査体制の問題が大きく取り上げられるようになったのは、ずっと後になってからだ。

一方で私は、日本を含む各国政府が意図的に検査を避けているのではないかとの疑問も書き残している。

私がそういう疑いを感じたのは、感染者数が増加した国には国際的な不利益が予想されるからだ。

もし日本が本気で検査を徹底的に行うと、感染者数は確実に増えるだろう。他の国が今のような対応だと、日本だけが突出し、中国に次ぐ危険国とみなされる危険性がある。日本人の渡航制限や日本便の規制といった各国が中国に対して設けている厳しい措置が日本に対しても行われる可能性もゼロではなくなるのだ。

それを感じ取って、各国が感染者数を増やさない方針に切り替えたのではないか?

つまり、疑わしい患者であっても、武漢や湖北省と関係ない人たちには検査を行わない。検査を行わなければ感染者数の急激な増加は避けられるからだ。

しかし、もし各国がそうした姿勢を取っているならば、その間にウィルスが世界中に拡散する危険性は高まるのだろう。

吉祥寺@ブログ 「ボトルネックは検査するかどうか? 感染者数増加に神経を尖らす各国が大規模検査を行わない事情」(2月4日)

実際には、この段階では日本の検査能力が想像以上に低かったことが後でわかるが、それを拡充するための努力をしなかったという意味では、意図的に検査を遅らせたと批判されてもやむを得ないだろう。

2月11日 「covid-19」と命名

WHOが新型ウィルスに「covid-19」という正式名称を付けた頃、中国では感染のペースが鈍り始め、アメリカの株価は史上最高値を更新していた。

日本では連日ダイヤモンドプリンセスの乗客たちの窮状がテレビを賑わせていた。

私はこの頃のメディアの報道ぶりに大きな不満を感じていた。

今回のクルーズ船騒動でも、私の関心は乗客の窮状ではなく、日本政府が何を優先して現在のような対応策を決めているのか、という点なのだが、それに応えてくれる報道はほとんど見ない。

吉祥寺@ブログ 「<現場へ>船内パンデミック!新型コロナウィルスで立ち往生したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」を見に行った」(2月13日)

そして私は、自らダイヤモンドプリンセスが停泊している横浜港の現場を見に行っている。

この時期、私の日本政府に対するイライラは頂点に達していたようだ。

今回の新型コロナウィルスによって、日本の緊急医療体制の危うさが明らかになった。

超高齢化社会である日本では慢性的に医療機関は混雑している。新しい病気が発生したからと言って、すべての医療資源を新しい病気への対応に集中することはできない。

検査機関が足りない、隔離できる施設が足りない、新しい病気に対応する医療関係者が足りない。すべてに余裕がないのだ。

それでも、中国で新型肺炎が発生した時、武漢の混乱を見ながら日本とは医療環境が違うと言われていた。しかし本当にそうなのか?

正直な話、日本ではもう少し緊急事態への準備ができているのかと思っていたが、もしパンデミックが起きた場合には、中国以上に危うい状況にあることがわかった。日本では中国のように街を封鎖したり、10日間で専用病院を建設したり、全国から1000人もの医療チームを送り込んだりすることはできないだろう。

クルーズ船のわずか3700人の全員検査もできないと平然と言い放つ日本政府の姿勢には愕然としてしまう。もし東京で集団感染が起きた時には一体どのように対応するつもりなのだろうか?

今回のクルーズ船を一つのテストケースとして現行法でできる最大限の対策を試してもらいたい。東京五輪もある。今回大げさに準備しても無駄にはならないだろう。

民間の検査機関を動員するにはどうすればいいか?

隔離施設をどのように確保するか?

一般の患者と分離して治療できる病床数を増やすために何ができるのか?

通常の医療活動を行いながら新しい病気に対応するスタッフをどのように確保するのか?

メディアにも、こうして点をもっと突っ込んで取材して、政府の本音を明らかにしてもらいたい。

今できることをしないまま、憲法の緊急事態条項の議論など、もってのほかである。

吉祥寺@ブログ 「<現場へ>船内パンデミック!新型コロナウィルスで立ち往生したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」を見に行った」(2月13日)

2月13日 国内で初の死者

国内初の死者は神奈川県の80代の女性だったが、新型コロナウィルスへの感染は死後判明した。

同じ日、政府は新型コロナウィルスに対する緊急対応策を決定したのだが、この時期の私は全てに疑いの目を向けている。

政府は今日、新型ウィルスに対する緊急対応策を決めた。その中には、検査体制を強化する施策も含まれ、国立感染症研究所に一度で判定できる検体の数を大幅に増やすシステムを整備し、全国に83ある地方衛生研究所でも迅速な検査を目指すとしている。

民間の検査機関を利用しなかった背景に、この予算を獲得しようという厚労省の意図があったのではないかと私の頭の中に疑惑が浮かんだ。

厚労省や感染症関連機関にとって検査の最新機材などを導入は悲願であり、通常なら財務省に認められない予算が今のような緊急事態だと最優先で認められることが考えられる。そのため、民間へ検査を依頼してオールジャパンの体制を整えるよりも、自分たちの悲願である予算獲得を優先したのではないかと私は疑った。

もちろんなんの証拠もない。ただ、私がどうしても腑に落ちなかった検査についての日本政府の消極姿勢も、厚労省にそうした狙いがあったと考えれば、納得できる。結果として検査体制が強化されるのであればよかったと思うが、クルーズ船の人たちや現在検査を受けられていない感染の可能性がある人たちにとっては背信行為と言われても仕方がないだろう。

でも、地方自治体が独自の判断で検査を行えるようになったのはいい兆候である。今後、日本国内の感染者数は飛躍的に増加する可能性がある。

吉祥寺@ブログ 「新型ウィルスで日本国内で初めての死者!やはり検査を解禁すると感染者が次々に出てきた」(2月13日)

しかし、その後も日本でPCR検査が進まなかったのはご承知の通りだ。

2月16日 専門家会議初会合

政府はこの日初めて専門家会議を設置し初会合を開いた。その席で安倍総理は「先手先手」という言葉を使った。

その言葉を聞いて、私は相当頭に来たようだ。

新型ウィルスの検査対象が広げられたことにより、次々に感染者が見つかっている。しかし、政府は検査対象を湖北省に縛ってきた方針の間違いを認めることもない。

感染症学会は今月3日の段階で、国内感染が始まっている可能性を指摘していたにも関わらず、水際作戦に固執した挙句、安倍総理は今頃ようやく招集した専門家会議で、新たな事態に対応するため「先手先手でさらなる対策を前例にとらわれることなく進めてまいります」などと平気で言っている。あまりの厚顔無恥に呆れてしまうが、そうでなければ政治家などやっていられないのだろう。

野党も野党である。安倍さんの対応もひどいのだが、桜の追求をするよりも、新型ウィルスについて政府の対応の問題点を指摘し、もっとこうすべきだと対応策を自分たちから提案して政府を追求していれば、きっと国民の共感を得られただろう。そして国内感染がさらに広がってくれば、安倍政権に対する不信感が高まることは確実で、格好の攻撃材料にできただろう。

吉祥寺@ブログ 「今さら「先手先手」と言える厚顔無恥な政府に頼らず、少しでも感染を広げないために各自できることを実践しよう」(2月16日)

専門家会議を批判する人も多いが、私が専門家の先生方に同情的なのは召集された時期の問題である。

初めて召集された時にはすでに厚労省の中で意味不明な決定がなされていて、専門家たちはその枠内で意見を述べることを求められたに過ぎない。その後も、専門家の意見を聞く前に政府の方針は決まっていたのだから・・・。

そしてこの時期、私は政府に頼らず国民各自が自主的にできることを実践するべきと記している。

でも、そんな政府批判は事態が終息してからゆっくりやればいい。今は感染を少しでも抑えるために何ができるか、政府の指示を待つのではなく、各自の判断でできることを実践する時だ。

真っ先に検討するべきことは、不要不急の外出を減らすこと。我が家ではすでに実践している。

そのために必要なのは、企業が自社の社員に対して、明確な指示を行うことだろう。サラリーマンの場合、会社に行かなければできない仕事は実はそれほど多くはない。こういうご時世なので、多くの人が集まるイベントや取引先との会食などは控えた方がいいだろう。無駄な会議や意味なくオフィスにいる時間を減らしていくと、実は会社に行く必要がある日は驚くほど少なくなる。そうして必要な人だけが出社するようになれば、通勤電車の混雑も緩和されるだろう。

そうやって出勤しなくてもいい人が出勤しないだけなら、企業業績に対する影響は思いの外少ないと私は考えている。ただ日本の会社は、出勤しないと給料をくれないので、その仕組みを見直すいい機会かもしれない。中国では、この非常時にデジタル化や在宅勤務のノウハウがかなり進化していると聞く。日本でも真の働き方改革を進めるチャンスにしてみたらどうだろう。

「出勤する必要のない人は出勤しないでください」

企業がそう社員に指示するだけで、感染拡大はかなり抑えられると考える。

吉祥寺@ブログ 「今さら「先手先手」と言える厚顔無恥な政府に頼らず、少しでも感染を広げないために各自できることを実践しよう」(2月16日)

さらに、中国で実践されていることにも強い関心を持ち、日本でも中国の良いものは真似るべきだと書いている。

日本人の間からは、中国の対策を批判して、日本と中国は違う、日本では同じようなことは起きないという意見が大勢を占めていた。

だが、中国の対策には学ぶべき点もある。

確かに初期対応は中国ならではの隠蔽体質が災いして武漢の非常事態を招いてしまったが、一旦習近平さんが号令をかけると1000万都市を封鎖し、全土で自宅待機を徹底した。

日本人から見るとやりすぎにも見えるが、人と人の接触を断つことは感染拡大を防ぐには一番の方法である。経済のダメージを顧みず、それを全国で徹底した中国の対策をWHOが高く評価するのも理解できる。こんな徹底した対策をとった国は過去なかっただろう。

中国のメディアを見ると、興味深い記事がいくつもあった。もちろん客観的な報道ではなく、多分にプロパガンダだとわかっていても、日本人にとっても参考になるものも少なくないのだ。

吉祥寺@ブログ 「新型コロナウィルス対策で、中国をバカにしていた日本が、中国に学ぶ時が来たかもしれない」(2月15日)

そして、中国発の記事からAIを使った診断方法、24時間のPCR検査態勢、専門病院に設置された非接触型スーパーの話などを紹介した。

人通りのない北京や上海の映像を見るにつけ、東京や大阪に自宅待機の指示が出された時、どれだけの人がその指示を守るだろうかと日本のことが心配になった。

もちろん、中国のように人権のない社会になることを望まないが、感染予防という観点から見ると、中国を笑う前に、中国から学ぶべきことは少なくないと感じる。

東京の街から人が消える日が来ないことを望みたい。

吉祥寺@ブログ 「新型コロナウィルス対策で、中国をバカにしていた日本が、中国に学ぶ時が来たかもしれない」(2月15日)

こんなことを書いていた2月の状況が今となっては懐かしい感じがする。

2月25日 日本政府が基本方針発表

武漢封鎖から1ヶ月以上経ってから、日本政府は初めて「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」というものを発表した。

この中で、「これからの1−2週間が極めて重要な瀬戸際だ」と国民の協力を呼びかけるとともに、初めて「クラスター」という言葉が登場した。

この日私は、安倍総理の存在感の欠如を指摘している。

政府には、様々な省庁があり、厚労省は国民の命や健康を守ることを最重要課題とする役所である。しかし、今の厚労省は国民の命を最優先に政策決定しているようには到底思えない。

経産省という役所もある。こちらは日本の企業や経済を強くすることが役目なので、感染者数が増えて経済に悪影響が及ぶことは最小限に抑えたいと思うだろう。人々が自粛し、中小の飲食店などが倒産することを避けたいと思っているはずだ。

どちらも重要だ。そのような対立する正義を調整し、最終的に政権の方向性を決めるのは総理の役目である。

安倍一強と言われる現在の政治状況の中で、安倍さんが何を優先するのかで、政府の方針は自ずと決まるのではないかと思うのだが、いつもは必要以上に出しゃばってくる安倍さんの顔が新型コロナに関していはほとんど見えてこない。

加藤さんを表に立てて、厚労大臣が政府を代表して話をしている。厚労大臣にはもっと国民の命を最優先する立場で最善を尽くしてもらいたいと思うのだが、どうも他のミッションも背負わされているようで、発言がストンと胸に落ちないのだ。

その最たる部分が、PCR検査の体制整備である。

吉祥寺@ブログ 「新型コロナ基本方針発表!「検査をしないことによって、感染者数を増やさない」国民の命よりも大切な【国益】」(2月25日)

この頃は、コロナの話は何でも加藤厚労相が前面に立って説明したが、その後西村大臣に担当が代わり、加藤さんはほとんど存在感がなくなってしまった。

この時期の日本の状況はどうだったのか?

私は日本人の危機意識のなさにも言及していた。

政府は国民のパニックを恐れてか、いまだに「感染の発生早期」という甘い見通しを変えていない。連日大々的に報道しているメディアでも、中国のような徹底した外出禁止を主張する声は高まって来ない。

人と話をするとみんな新型ウィルスが心配だと言うわりに、三連休の吉祥寺の街でもさほど人出が減った印象がない。

「マスクと手洗いさえしていれば、いずれウィルスの流行は止まる。自分の周囲にはまだウィルスは来ていない」と真面目に思っているのだろうか?

甘い!

北京や上海でさえ、あれほどまでに徹底的な感染防止策を取っているのを知っていながら、日本人はどうして自分たちの対応が甘すぎるのではないかと思わないのだろう?

不思議でならない。

吉祥寺@ブログ 「武漢封鎖から1ヶ月・・・世界から新型コロナ感染国と見なされても自覚に欠ける日本人の危機意識のなさ」(2月23日)

そして、街からマスクが消え、転売サイトで高額で取引されだしたのもこの頃だ。

2月27日 安倍総理が一斉休校要請

顔が見えないと批判を集めていた安倍総理が、大規模イベントの自粛、学校の一斉休校を唐突に要請したのは2月末のことだった。

北海道の鈴木知事が自主的に「緊急事態宣言」を出すなど、地方自治体に先を越されての決断だった。

この頃、イタリアや韓国でも感染者数が急増し、アメリカでは株価が過去最大の下落を記録した。

その週には、私の会社でも在宅勤務が正式に認められるようになり、日本社会の空気も一変し、トイレットペーパーが突然店頭から消えた。

私自身も今週から在宅勤務を始めたのだが、そうした影響もあるのだろう、街を歩くと普段に比べて高齢者の姿が減り、若者たちばかりが目立つように感じた。

都心部では地下鉄も空いていて、サラリーマンの姿もいつもよりも減っているように思う。

安倍さんが打ち出したイベントの自粛や学校の一斉休校は日本人全体の危機意識を高めたようで、買いだめに走る人も急増した。トイレットペーパーがなくなるという情報がSNSで拡散に突然店頭からトイレットペーパーが消えるところも出始めている。食料品の棚がスカスカになった店もテレビで紹介されていた。

なるべく外出せず自宅に「巣篭もり」する人が増えているところに、学校が休みになる子供たちのために食料品を普段より多めに買い込むお母さんたちが一気に増えたため、思わぬ影響が出た形だ。

時代が変わっても、石油ショック時のようなパニックは簡単に起きる。人間の本性は変わらないんだなあと感じた興味深い一日だった。

吉祥寺@ブログ 「NYダウ過去最大の下げ幅!日経平均も暴落!街から高齢者が消え、店頭から物が消えた!突然の全国一斉休校でドタバタの日本列島」(2月28日)

その頃、私の目を引いたのが、韓国のドライブスルー検査だった。

こんな感想を書き残している。

これはかなり頭がいい方法だ。診察室で導線を気にしながら検査を待つよりもずっと安全だろう。

国が一律にルールを決めるのではなく、自治体に裁量を持たせればいろんなアイデアが出てくるものだ。そしてどこかで編み出された良い方法をみんなが真似ればいい。民間の検査機関を排除するのではなく、現場の医師がいつもの検査会社に依頼する方が、絶対にスムーズに事が運ぶのだ。「危機管理」の名の下に、普段現場を知らないお偉いさんが出しゃばってくるから混乱するのだ。国は「ああしろこうしろ」と指図するのではなく、現場の知恵を信じ、良いアイデアがあればそれを広め、財政的に支援する程度の関与でいい。

むしろ国が動くべきは、倒産の危機に立たされる飲食店など中小企業に対する支援策である。医療は現場に任せて、派生してくる影響を最小限に食い止めるために安倍さんには陣頭指揮を取ってもらいたい。

本当の危機は、これからやってくるのだ。

吉祥寺@ブログ 「私も在宅勤務を開始!今週から「新型コロナウィルス」を巡る世界の風景が変わってきた」(2月27日)

こうして振り返っていくと、すべてが遠い昔のように感じる。

長くなるので、3月以降の動きは明日続きを書こうと思っているが、改めて読み返すと2月頃の日本の対応には大きな問題があった。

その後も政府の対応は「後手後手」だったが、日本人の規律や賢さが大惨事を救ったと感じる。

緊急事態宣言が解除されても、コロナ前の日常は戻らない。

「with コロナ」の時代をどう生きるのか?

私たち一人一人が新たな問いに向き合うことになる。

関連記事:3月以降については・・・

<吉祥寺残日録>緊急事態全面解除までの道のり② #200526

吉祥寺@ブログ

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