<吉祥寺残日録>緊急事態全面解除までの道のり② #200526

安倍総理は予定通り、25日夕方記者会見に臨み、緊急事態解除宣言を行う考えを表明した。

会見の中で、安倍総理は「日本モデルの力を示した」の述べ、国民の協力や医療関係者の努力に感謝の意を示すとともに、27日には第2次補正予算を閣議決定すると述べた。

緊急事態宣言解除後の吉祥寺の街を歩いてみると、ずっと休業していた吉祥寺ロフトが昨日から営業を再開していた。

人気の飲食店も次々に営業を再開し、徐々に普段の吉祥寺に戻りつつある。

まだ手放しで喜べる段階ではないが、ひとまず今回の感染の山は乗り切ることができたようだ。

今後の第二波、第三波に備えるためにも、昨日に続き、緊急事態宣言解除までの経過をこのブログの記述をもとに振り返っておきたい。

関連記事:1月~2月の経過については・・・

<吉祥寺残日録>緊急事態全面解除までの道のり① #200525

吉祥寺@ブログ

3月5日 中韓からの入国規制

日本政府が中国・韓国からの入国者に2週間の待機を要請するなど入国規制を行うことを決めた。

重要なのは、この決定が行われたのは、習近平総書記の来日延期が決まった直後だったということだ。習近平来日への配慮から徹底した水際対策が取れなかったことは明白だ。

日本に先立って、感染源である中国の方が入国した日本人の隔離に乗り出したことは皮肉としか言えない。

この日の私の感想は、こう書いてあった。

今さら、ではある。でも、やらないよりはいい。

吉祥寺@ブログ 「<吉祥寺残日録>閉ざされる世界 #200305」

一方で、この頃の私の関心事は、マスクだった。

こんなことを書いている。

新型コロナウィルスによって、世界中の人たちが知った事実がある。

それは、新感染症が猛威を振るった時、真っ先に不足するのがマスクだということ、そしてマスクの大半は中国で生産されているという事実だ。

世界中の人たちがマスクを求めて右往左往し、長い行列を作っている。

吉祥寺@ブログ 「<吉祥寺残日録>マスク安全保障 #200306」

マスクのことなど、普段深く考えたこともなかった。

しかし、アリババの統計によれば、世界における医療用マスクのニーズはコロナ以前の13769%になったそうだ。

マスクはもはや、多くの人命に関わる戦略物資なのだ。

今や、マスクは、国の安全保障に関わる戦略物資であることがわかった。

民間の経済活動では、よりコストの安い中国で生産する判断になり、供給量も平時に必要な分だけになるのは当然である。無駄な在庫を抱えないことこそ、経営者に求められているからだ。

しかしマスクが戦略物資であることがわかった以上、その8割を中国での生産に任せておくことはできない。日常的に多少価格が高くなっても、生産地の多角化、できれば国内生産比率を高める必要がある。

これは民間任せではダメに、政府が毎年一定数を買い取ることを前提に国内生産できる体制を整えるべきだろう。喉元過ぎた時、忘れないよう、次いつくるかわからない危機に備えなければならない。

吉祥寺@ブログ 「<吉祥寺残日録>マスク安全保障 #200306」

3月8日 大相撲史上初の無観客試合

私も楽しみにしていた大相撲夏場所が無観客で始まった。

その日の私の感想・・・。

人がいないということは、ここまで人間を不安にするものだろうか?

見慣れた風景から人間の姿を消しただけで、全く違う空間が出現する。

吉祥寺@ブログ 「<吉祥寺残日録>歴史的からっぽ #200309」

この頃、ウィルスはヨーロッパに飛び火し、イタリア政府がミラノを含む北部地域を事実上封鎖した。

無人の上海や北京の光景もインパクトがあったが、中国という特殊な国として冷静に受け止められた。しかし、無人のミラノの映像は、近い将来の日本の姿ではないかとどうしても考えてしまう。

吉祥寺@ブログ 「<吉祥寺残日録>歴史的からっぽ #200309」

いつもと違う光景は、世界中が異常事態に突入したことを視覚的に理解させてくれた。

3月9日 ダウ2000ドル以上の大暴落

この日、ダウが2013ドルという史上最大の大暴落を記録した。

引き金となったのは原油。サウジアラビアとロシアの間で減産の交渉が決裂し、原油価格が大暴落したのだ。

3月11日 WHOパンデミックを宣言

武漢封鎖から1ヶ月半以上経って、WHOがようやくパンデミック宣言を行なった。

中国に気を使って対応が遅れたWHOの姿勢を糾弾されてしかるべきだろうが、お膝元のヨーロッパで感染が拡大し宣言を出さざるを得なくなったとみられる。

まさか欧米先進国でこれほどの感染爆発が起きるとは事前には予想していなかったので、この頃は連日、海外メディアのニュースに釘付けだった。

国やそのリーダーによって、新型コロナウィルスとの戦い方がずいぶん違うため、その比較はとても面白かった。

良い方の代表がドイツのメルケル首相。私はこう記している。

ドイツでもすでに感染者数が1000人を超えたが、メルケル首相は会見で、最悪の場合ドイツ国民の60−70%が感染する可能性があると率直に語った。

さすが現在の世界で数少ない尊敬できる政治家の発言は違う。国民を誤魔化すのではなく、専門家から得たネガティブな情報をリーダーの責任ではっきりと国民に伝え、各自に責任ある行動を促す、こうした姿勢が重要なのだ。

国民の理解力を信頼し、重要な情報を包み隠さず話し、政府としての取り組み、各自に守ってもらいたい行動をきちんと伝える。後は国民の良心を信じるということだろう。

これこそ中国とは違う、民主主義国のリーダーの常識的な在り方だと私は思う。

吉祥寺@ブログ 「<吉祥寺残日録>パンデミック宣言 #200312」

メルケル首相のほか、コロナ対策で評価されたのは台湾の蔡英文総統やニュージーランドのアーダーン首相といった女性リーダーたちだった。

その一方で悪い代表と言えば、もちろんこの人である。

それにひきかえ、この人はやはり異質だ。

日本時間の午前10時から国民向けのメッセージを発表したトランプ大統領。

新型コロナウィルス対策として発表したのは、イギリスを除くヨーロッパ全土からの人と物の流入をストップするという意表をつく方針だった。

トランプさんは、これまで一貫して新型コロナで楽観的な発言を繰り返してきた。流行は避けられないと発言したCDCのナンバー2はそれ以来公の場に出て来なくなった。トランプさんの逆鱗に触れたのだと想像される。

専門家の意見を聞かず、自らの直感に頼るトランプ大統領。

ウィルスの蔓延よりも気になるのが株価の急落である。

今日の演説でも、アメリカ経済はどこよりも、いつの時代よりも強いと強調していた。金のことなら絶対の自信を持っているトランプさんにとって、史上最高値の株価は再選への一番のセールスポイントであり、何が何でもこれ以上の下落は避けなければならない。今日の演説は、そうしたトランプさんの焦りが目立つ一方で、どのようにしてウィルスを食い止め、医療保険が未整備なアメリカで多くの死者が出るのを防ぐのか、具体策は全くなかった。

世界からうらやましがられるCDCのような組織があっても、その上に立つリーダーに国民を守る哲学がなければ宝の持ち腐れとなってしまうのだ。

吉祥寺@ブログ 「<吉祥寺残日録>パンデミック宣言 #200312」

3月13日 米国が国家非常事態宣言

国民向けに行ったテレビ演説の中で、ヨーロッパ26カ国からの入国を30日間停止すると発表して、世界中で歴史的な株価暴落を招いたトランプ大統領が、今度はいきなり「国家非常事態宣言」を出して、再び世界を驚かせた。

ただ宣言を出しただけではない。

株価を回復させるためには、とにかくウィルスの封じ込みが必要だとようやく理解したようで、そうなると動きは速い。

最大5兆4000億円の連邦予算をウィルス対策に投入するほか、全米にあるウォルマートの敷地内にドライブスルー型の検査場を作ること、グーグルが開発した検査を受けるためのスクリーニングサイトを活用することなど、政府機関だけでなく民間の力を総動員して早期の封じ込めを図る意志を表明したのだ。

吉祥寺@ブログ 「<吉祥寺残日録>国家非常事態宣言 #200314」

一方、日本では13日に「緊急事態宣言」を出せる新型インフルエンザ等特別措置法の改正が国会で承認された。14日の夕方には、安倍総理が記者会見して「我が国の感染拡大は持ちこたえている」とする公式の見解を受けて、直ちに緊急事態を発令する状況にはないと述べる。

この日のブログに、私はこんなことを書いている。

グーグルのような本格的なものではないが、インターネットを使った専用サイトの必要性について、私もこのブログで1ヶ月前に指摘していた。

それから1ヶ月経っても日本では相変わらず「帰国者・接触者相談センター」が電話で取りまとめる昭和さながらの対応を変えず、それがボトルネックとなって検査が一向に進んでいない。

テレビでももっと検査をすべきだ、どこに問題があるのかという声は高まっているが、一方でドライブスルーの検査などやると医療崩壊が起きると主張する政権寄りの勢力がテレビでもネットでも大きな顔をしている。

どうして検査をすることと医療崩壊がイコールなのか、意味不明な解説がまかり通っている現状を私は毎日イライラしながら見つめている。

日本はいつからこんな非論理的な後進国になってしまったのだろう。

「バカの壁」という本のタイトルが頭に浮かぶ。

今回、アメリカがグーグルのシステムとドライブスルー検査を採用したことで、おそらく日本国内の論調も大きく変わることが期待される。アメリカは中国や韓国の対策を参考にしているだけで、それを自国の英知を集めて改良しているのだろう。

つまり、いいものは何でも取り入れるという当たり前の対応を取っているに過ぎない。

それに比べて日本は、中国や韓国から学ぶことを良しとせず、いたずらに時間を浪費してきた。テレビを見ても、台湾の対応を褒める企画はあっても、「中国の対策から学ぼう」という姿勢は皆無だ。中国は特殊であるという一言で、日本にとって参考にある対策はないかという視点が欠落している。

私も長くテレビの現場で働いていたのでわかるが、おそらく中国を褒めると、大量の抗議が寄せられ、下手をするとスポンサー企業にまで抗議がいくので、現場が萎縮し中国から学ぶことを避けるように見える。私の時代は、現場に裁量権があったが、安倍政権になってからメディア全体が萎縮しているように見える。

本当に、くだらない国になってしまったものだ。

吉祥寺@ブログ 「<吉祥寺残日録>国家非常事態宣言 #200314」

結果だけ見ると、アメリカでは世界最大の感染爆発が起き、日本ではとりあえずそれを回避できた。

しかし、その理由は政府の対応とは到底考えられない。

3月16日 FRBゼロ金利へ利下げ

アメリカのFRBが緊急利下げを行いゼロ金利に舵を切ったのに合わせ、各国の中央銀行が強調して空前の金融緩和策を実施した。

その背景には欧米でますます新型コロナの影響が強まっていることがある。

武漢並みの医療崩壊に直面しているイタリアに続き、フランスやスペインでも店舗の閉鎖が始まった。ドイツは事実上の国境封鎖に踏み切り、アメリカではヨーロッパ諸国から慌てて帰国した人たちが長蛇の列を作った。

欧米諸国はこれから本格的な巣篭もり態勢に入る。

吉祥寺@ブログ 「<吉祥寺残日録>薬をもらいに行く #200316」

この日のNY市場ではダウが2997ドル下落する歴史大暴落が起きるなどすぐには市場の混乱は収まらなかったものの、後から見ればマーケット的にはこの日とFRBが無制限の量的緩和を決めた23日が大きな転換点となった。

この頃、私はこんなことを書いていた。

なぜ今、世界のマーケットが大混乱に陥ってしまったのか?

日本ではクルーズ船の問題もあり2月初めには新型コロナへの警戒が高まった。

中国武漢での深刻な状況も日々伝えられていて、株価も欧米に先行して下落した。

しかし、欧米諸国では対岸の火事と受け止められていたため、私が予想したほどの株式市場への影響は見られなかった。

転機となったのはイタリアでの感染爆発が起きてからだ。

人は自分の問題として意識した時、初めて怖さを感じる。

ニューヨークでは外食禁止命令が出され、フランスでは全土で外出禁止命令が出た。

日本に比べ欧米諸国では急速に感染者が増え、各国政府は先を争うように経済を度外視した強硬手段を打ち出している。中国政府が採用した対策が世界のスタンダードになろうとしている。

マーケットの主要プレーヤーである欧米の投資家たちの恐怖心は、まさに今ピークを迎えているのだ。

それに比べて、日本人はむしろ「自粛疲れ」のような症状が見られ始めている。日本のウィルス対策は世界標準とは一線を画す穏やかなものに止まっているように見える。

中国モデル VS 日本モデル。

どちらが優れているのか、答えはもう少し様子を見るしかない。

吉祥寺@ブログ 「<吉祥寺残日録>2997ドルNY大暴落 #200317」

3月21日 自粛疲れと集団免疫

桜が咲いたお彼岸の三連休。欧米のロックダウンを横目に、日本では自粛に疲れた多くの人たちが街にあふれた。

大阪府の吉村知事が厚労省から渡された感染者の増加予想数を暴露して、大阪と兵庫の往来自粛を要請したのもこの三連休だった。

そして私にとっては、この頃初めて「集団免疫」という言葉の意味を理解し、ウィルスについての考え方が根底から変わった時期でもあった。

この日、私はブログに自らの認識の間違いを書いている。

新型コロナウィルスが中国で顕在化した当初から、私は日本政府の対応に異を唱えてきた。

今でも強い違和感を覚えている。

しかし、私は最近、極めて重要なポイントを見落としていたことに気づいた。

人類が誰も抗体を持っていない未知の新型コロナウィルスの流行は、どんなにあがいても社会の6−7割が「集団免疫」を獲得するまで終わらないという感染症の世界での常識である。

最も重要なキーワードは「集団免疫」なのだ。

昨日の夜のTBS「ニュース23」に出演した国際医療福祉大学の和田教授は、「集団免疫ができるまで感染は終息しない」と明確に話していて、私の認識が変わるきっかけとなった。

そして今日もたまたま、NHKのBS1スペシャル「ウィルス VS 人類」という番組の再放送を途中から見たのだが、専門家会議のメンバーである東北大学の押谷教授も集団免疫のことをはっきりと語っていた。

押谷教授は地上波の番組に出演した際、PCR検査に否定的な発言を繰り返し個人的には安倍政権の太鼓持ちという印象を持っていたのだが、この番組を見て押谷さんが本当に伝えようとしていたのは、このウィルスはどんなことをしても止められないという恐ろしい事実だったことと初めて理解した。

新型コロナウィルスは、どんなことをしても地球上から絶対に消え去らない。インフルエンザと同じように、人類はこのウィルスと共存していくしか選択肢はないということだ。

つまり、私たちが考えているより、このウィルスはもっともっと厄介なのだ。

吉祥寺@ブログ 「<吉祥寺残日録>集団免疫って? #200321」

この前日の20日、航空自衛隊の松島基地にギリシャから運ばれた聖火が到着した。当日はセレモニーが台無しになるほどのものすごい強風が吹いた。

3月24日 東京五輪延期で合意

安倍総理はIOCのバッハ会長との電話会談で東京オリンピックの1年程度の延期で合意した。

大会の中止や年内の延期という案を取り沙汰されていたが、安倍総理の思惑通りの着地となり、同席した小池都知事とグータッチしたという話が伝わった。

この日のブログで、私はこんな期待感を書いている。

これまで東京五輪を最優先して、新型コロナウィルスの感染者数を少なく見せようとしてきたように見える安倍政権。

「東京は安全」というイメージを何としても守ろうとしていたのだろう。

東京五輪の延期が事実上決まったことで、これからはコロナ対策に全力をあげることを期待したい。

東京都の小池知事もこれまで発信が少なめだった気がするが、安倍さんも小池さんも本来は自らが先頭に立って情報発信するタイプの政治家だ。

自らの口からもっともっと国民や都民に適切な情報発信をしてもらいたい。

吉祥寺@ブログ 「<吉祥寺残日録>五輪延期と首都封鎖 #200334」

3月25日 感染爆発の重大局面

五輪延期が決まった途端、それまでほとんど顔が見えなかった小池知事が、積極的な発言を始めた。

週の初めに「首都封鎖」という言葉を使いメディアを賑わわせたのに続き、この日は「感染爆発の重大局面」というフリップを掲げながら、今週末の外出自粛と平日昼間の在宅勤務、平日夜の外出自粛を要請した。

翌日は首都圏の知事たちとテレビ会議を開き、官邸に乗り込んで安倍総理に国の支援を要請した。

東京オリンピックが日本の初動をいかに制約していたかが、一連の小池知事の行動を見れば明らかだった。

そんな小池さんに私は期待のコメントを書いている。

小池さんの発するメッセージは、政府からのものよりはっきりしているので、もっと早くからタイミングごとにこうした攻めの姿勢があればよかったと思う。

それだけ、彼女も東京五輪への影響を恐れていたのだろう。

小池さんの特技は、オヤジ政治家たちとは違う柔軟な発想力と発信力だ。

感染症との戦いという未知の分野では、他の政治家よりも個人的には期待するところが強い。

私個人として小池さんに頑張ってもらいたいのは、病床や人工呼吸器、医師用のマスクや防護服の確保や検査体制の拡充である。

2ヶ月前から発熱外来や軽症者を隔離する施設やホテルの確保などが指摘されていたにも関わらず、未だに具体的な動きが見られないというのは世界的に見ても異様である。

感染爆発が起きてから動き出してももう手遅れであることも、2ヶ月前から指摘されている通りだ。

小池さんには、パフォーマンスだけでなく、実際に必要とされる対策を迅速に動かしていただきたい。

吉祥寺@ブログ 「<吉祥寺残日録>感染爆発の重大局面 #200326」

また、その時期の国民の様子についても書き残していた。

この頃には、お花見の自粛が要請されていたものの、井の頭公園にはまだ多くの人が集まっていた。

ボート乗り場には長蛇の列。

海外では常識となっている他人と2m離れて並ぶというルールが日本人の間では全く意識されていないのは、どうしてだろう?

テレビを見ていても、「小池知事がもっと具体的に言ってくれないとどこまでいいのかわからない」とバカな話をしている出演者が多くて、テレビマンとしては怒鳴りたくなる。

これだけ世界中に参考になる事例があり、何を避けるべきかがわかっているのに、リーダーたちにいちいち指示されないと自分の行動を決められないというのはどうしようもないバカだ。

日本人はいつからそんなバカな民族に成り下がってしまったのか。

吉祥寺@ブログ 「<吉祥寺残日録>感染爆発の重大局面 #200326」

3月27日 全世界の感染者数50万人

この時期、2日に10万人のペースで世界の感染者数が急増し、ついに50万人を突破した。

同時に、アメリカの感染者数が中国を超え、アメリカ議会は220兆円の大型予算をスピード可決した。

一方の中国は、湖北省での新規感染者がゼロとなり、第二波を警戒して全ての外国人の入国を禁止する。

さらにイギリスでは、ジョンソン首相の感染も明らかになった。

コロナが世界中で猛威を振るう中、日本でも初めて1日の感染者数が100人を超えた。

3月28日 東京都で週末外出自粛

東京都の小池知事の要請を受け、上野公園や井の頭公園といった桜の名所が立入禁止となった。

この週末から多くの店が営業を自粛するようになり、吉祥寺の街の様子が一変した。

しかしこの日会見した安倍総理は、大方の予想に反して「緊急事態宣言する段階ではない」と述べた。

翌日の日曜日には、外出自粛の東京に雪が降った。家から一歩も出ずにアフガニスタンのドキュメンタリーを見ていた私は、こんなことを書き残している。

真っ白な雪は、大地を美しくお化粧してくれる。

でも、雪はあっけなく消え去り、その下から現実が現れるのだ。

新型コロナウィルスによって行動の自由を奪われようとしている東京だが、アフガニスタンの現実に比べれば本当に恵まれている。

自らが愛する家族や社会のために、一人一人ができる努力をすること。

誰かに言われたからするのではなく、自分の頭で判断し、良いと思う行動をとればいいのだ。

トランプさんが象徴する強欲で自己中心的な世界を襲った新型コロナウィルスはまさに神の啓示である。

これから多くの試練が私たちを待ち受けている。

そして病を乗り越えた先に訪れる世界の形や人々の価値観は、間違いなくコロナ以前とは大きく変わっているだろう。

私たち一人一人が少しずつ意識と行動を変えることで、コロナ後の世界を少し良い方向へ変えることができるかもしれない。

第二次大戦後に生まれた理性と理想を重んじる世界を再び取り戻したいと心から願う。

吉祥寺@ブログ 「<吉祥寺残日録>外出自粛の東京に降る雪 #200329」

3月29日 志村けんさん亡くなる

この日の夜、新型コロナで闘病中だった志村けんさんが亡くなった。

それまで無自覚な行動をしていた日本人に、志村さんの死がどれほど大きな影響を与えたことか・・・。

志村さんの死は、私の気持ちも暗くしたことがその日のブログからわかる。

東京では感染者数が連日増え続け、すでに感染症指定医療機関のベッドは一杯になっているという。政府や都の対応が遅れ、いまだに軽症者や無症状の人たちがこうした病床を塞いでいるという。

今頃になって西村担当相が人工呼吸器の増産に動き始めた。

「感染スピードを遅らせ、その間に医療態勢を整備する」と言っていたのに、この2ヶ月間何の準備もしていなかったことが明らかになった。

本当に愕然とせざるを得ない。

習近平さんやオリンピックに気を使い表面に出る感染者数を抑える判断はまだ理解できるとしても、当初から心配された医療崩壊を防ぐための対策がまったく進んでいないというのは政権の明らかな失態である。

ちゃんとした医療を受けるためには早めに感染する方がいいのかもしれない。

数週間後に感染した人は、欧米のように廊下に放置され、年齢の高い人はトリアージ=命の選別によって人工呼吸器を使うこともできずに死んでいくのだろうか?

吉祥寺@ブログ 「<吉祥寺残日録>志村けんさんコロナで死す #200330」

志村さんを追悼する日テレの「志村どうぶつ園」のスペシャル番組を見ながら、泣きそうな気持ちになったことを今もはっきりと覚えている。

4月1日 アベノマスク配布決定

世界的なマスク争奪戦が繰り広げられる中、日本では安倍総理が唐突に布製マスクを全家庭に配布すると発表した。ネット上では「アベノマスク」と揶揄する書き込みがあふれた。

アベノマスクについて、私はこう書いている。

マスク不足が始まって2ヶ月以上経ってから打ち出された対策が、布製マスク、各家庭2枚の配布である。しかも、それに200億円もの予算が使われるという。

「その金額があるのなら、収入を断たれた人たちへの給付に使うべきだ」

ネット上では早速「アベノマスク」という新語が登場し、この政策を揶揄する書き込みが溢れた。当然だろう。

200億円あれば、マスクの生産ラインをいくつも作れたのではないか?

事実、日本国内で普通のマスクを生産している企業はある。そうした企業にお金を出して生産ラインを増強してもらい、できたマスクを全量政府が買い上げて必要なところに供給することもできたのではないだろうか?

経産省は一体何をしているのか?

安倍総理が経産大臣に支持して、経産省に必要物資を生産する責任を負わせれば、日本の民間企業は間違いなく協力しただろう。もしマスクが国内の需要を上回れば輸出に回せばいい。今やマスクは戦略物資である。コロナ騒動が終わったとしても、マスクを中国に依存する体制は見直さざるを得ないのだ。

吉祥寺@ブログ 「<吉祥寺残日録>感染者100万人の世界 #200403」

その一方で、当時取り沙汰されていた消費税減税の議論については私は安倍総理を支持しポピュリズムに対する強い懸念を書いていた。

国会での安倍の答弁を聞きながら、個人的には評価している部分もある。

自民党内からも上がっている消費税減税について「社会保障の大切な財源だ」として否定したこと、そして自粛によって営業できなくなった店舗などへ政府が直接補償ができないとはっきり答えたことだ。

消費税減税や休業補償は確かに国民受けする話である。

でも私は反対だ。

安倍さんが答えた通り、消費税は世界一の長寿国である日本にとっては絶対に必要な社会保障の財源である。これだけ年寄りがいる以上、消費税以外で必要とされる巨額の財源を確保する方法はない。「1年限定で消費税ゼロにする」というのはいかにも聞こえがいいが、必ず再利上げの際に大きな障害となるだろう。

誰も税金など払いたくないが、でも世界一の高齢化社会を維持するためには消費税から逃げることはできない。私はむしろ消費税率が低すぎて、将来世代にツケを回していることの方が気がかりである。

むしろコロナショックで生活が困窮する人たちに手厚い現金支給をすべきだと考えている。

基本的には収入が減った人たちを対象に、1人20万円程度の現金を配ってもいい。財源は赤字国債でいい。それでも消費税減税よりは将来世代へのツケ回しは少なくて済む。

とにかく注意すべきはポピュリズムの台頭だ。

危機の時には、必ずポピュリズムが幅を利かせる。ヒトラーが台頭したのも大不況がきっかけだし、日本の青年将校たちが暴走を始めたのも大不況によって失業者が溢れた時代だった。

今こそ、私たちは大不況後の1930年代に世界で何が起きたのか、学ばなければならない。

失業者が巷にあふれて社会が不安定になると、耳障りのいい過激な主張が支持を得るようになる。自らの苦境を他者に転化し、ナショナリズムをいたずらに煽る輩が目立つようになる。大衆が戦争を求め、メディアがそれを煽る、そんな時代に再び迷い込んではならない。

こんな苦しい時こそ、リーダーには耳の痛い言葉を発してもらいたい。

それが現実なのだ。問題に正面から取り組み、他国と強調し、社会の英知を集めて難局を乗り切る以外に道はない。

安倍総理には、現実をごまかすのではなく、正しい情報を国民に発してほしい。

メディアも安っぽい人情噺に走るのではなく、こういう時こそ信頼される情報だけを発信してもらいたい。

いよいよ日本人が試される4月がやってくる。

吉祥寺@ブログ 「<吉祥寺残日録>死者10万〜24万人 #200401」

4月2日 世界の感染者が100万人

新型コロナウィルスの感染者が全世界で100万人を突破した。

50万人に達するまでは76日かかったが、100万人まではわずか8日だった。

4月7日 7都府県に緊急事態宣言

ついに政府が動いた。

緊急事態宣言が出されたのは、東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県、期間は5月6日までの1ヶ月間とされた。

私はこの日、ある種の期待感を込めてこんなことを書いている。

今日は日本人にとって、新たな大実験のスタートだ。

「日本方式」で新型コロナウィルスに打ち勝つことができるか?

結果はわからない。

でも、ようやくスタートラインに立った。

東京都は軽症者を借り上げホテルに移す作業を始めた。小池都知事は、安倍さんのお友達であるアパホテルではなく、東横インを選んだ。そして自衛隊にホテルのサポートを依頼した。

現在最も懸念される医療用のマスクや防護服、人工呼吸器についても、今日梶山経産大臣が加藤厚労相と一緒に経済団体のトップに国内生産を依頼し、早速トヨタが生産に名乗りを上げた。

オンライン診断も初診から認められることになり、LINEなどを活用したITを活用したコロナ対策も動き始めたようだ。

私がこのブログで求めてきた動きが、ようやく実現し始めている。

これまで2ヶ月以上を無駄にしたけど、これから挽回ができるのか、それともこの遅れが致命傷となるのか、予断を持たずに日本社会を信じて見守りたいと思う。

吉祥寺@ブログ 「<吉祥寺残日録>緊急事態宣言と108兆円の経済対策 #200407」

緊急事態宣言に合わせて、108兆円の経済対策も発表され、その中には収入が減った世帯への30万円の現金支給が盛り込まれた。

この日の発表で初めて、「8割削減目標」が打ち出された。

今日の会見で一番の成果は、安倍総理が最大の課題である通勤について、「7割の従業員を在宅勤務に」と初めて具体的に言及したことだ。これで、大企業の在宅勤務は一気に進む可能性が高い。

何と言っても、今回の緊急事態宣言が目指すのは「人との接触を8割減らす」ことである。通勤電車の混雑を解消しない限り、絵に描いた餅だ。

さて、これでどれほど人の動きが変わるのか?

この程度の要請ベースの取り組みでもし感染爆発が避けられたとすれば、それに越したことはない。

吉祥寺@ブログ 「<吉祥寺残日録>緊急事態宣言と108兆円の経済対策 #200407」

しかし、安倍総理の会見の直後に行われた小池都知事の会見で、早くも国と地方の主導権争いが表面化した。厳しい営業自粛要請を準備していた東京都に対して国が待ったをかけたのだ。

そのちぐはぐさを見ながら、私はこんなことを記している。

緊急事態宣言が出たらすぐに厳しい行動制限を始めようとしていた小池知事は政府に出鼻をくじかれ、安倍総理に近いコメンテーターたちは「小池さんが先走って混乱させた」と一斉に小池批判を始めた。

何でもかんでも政府が仕切るのが、本当にいいのか?

PCR検査が進まないのも、全ての対策が後手後手なのも、政府が一元管理をしようとしているからだろう。

緊急時には、持ち場持ち場で判断し、現場に権限を与え、地方分権。いい対策を打ち出した自治体のやり方をみんなで真似すればいいと私は思う。

国は自治体の細かなやり方にいちゃもんをつけるのではなく、不足しているマスクや防護服、人工呼吸器の調達とか、オンライン授業の促進とか、コロナで収入を失う多くの人の救済に集中すべきである。

日本式にこだわるならば、世界が競って真似するような先進モデルを編み出してもらいたいものだ。

吉祥寺@ブログ 「<吉祥寺残日録>武漢都市封鎖解除 #200408」

4月8日 武漢の都市封鎖解除

1月23日に突如、1000万都市が封鎖された中国・武漢。

この日、2ヶ月半ぶりに封鎖が解除され、中国らしく高層ビルを一斉にライトアップして盛大に祝った。

中国のコロナ対策には学ぶことも多いと私はこの日ブログに記した。

日本政府は中国の教訓を意図的に無視しようとしている風に見える。

確かに、日本の法体系は中国とは全く違う。中国共産党のようなトップの意志を末端まで徹底させるような実行部隊もいない。マイナンバーすらいまだに普及せず、国民全員のビッグデータを政府が持って監視している社会とは違う。

とはいえ、参考にできる対策はたくさんあるだろう。

例えば、「ソーシャルディスタンシング」。

中国では当初から人との距離を2m離すという対策を徹底していて、日本のテレビでも中国の宅配ピザを面白がってネタにしていたのに、日本で言われ出したのはつい最近のことだ。

軽症者をホテルで隔離することも中国では当初から行われていた。日本でもクルーズ船対策の頃から真似しても良かったが、これも採用されたのは今週のことだ。

街中での体温チェックも日本ではほとんど行われていない。

中国ではアリババやテンセントを使い、ITを使ったコロナ対策が素早く立ち上がった。オンライン授業もとっくに行われている。それに対して日本では、最近になってようやくLINEを使ったアンケートやテレビ会議が始まった程度で、一部の地方自治体と比べても政府の取り組みが鈍い。

吉祥寺@ブログ 「<吉祥寺残日録>武漢都市封鎖解除 #200408」

今では日本でも少しずつ似たような方策がとられようとしている。

日本は中国と違って、何事ものんびりしているのだ。

4月17日 一律10万円支給決定

公明党の山口代表が官邸に乗り込み、収入が減った人に30万円を支給する案に代わって国民全員に10万円を配る案に変更させた。

安倍総理は緊急事態宣言を全国に拡大することを口実として10万円案に乗ったのだ。

この政策変更を歓迎する人も多いだろうが、私はそのプロセスにとても危険なものを感じ、こんなことを書いている。

緊急事態宣言の全国拡大も、国民全員に一律10万円支給も、それぞれは今の事態を考えれば評価できる。

ただし、である。

一旦、政府と与党で決めて総理自らが国民に約束した政策を変更するのは極めて異例と言わざるを得ない。

ネット上では、10万円支給を歓迎する声が多いようだが、私にはどうもしっくりこないのだ。

その理由は、筋が通っていないこと。新型コロナ対策で後手後手に回り、支持率が下がり始めた安倍総理の焦りのようにしか感じられない。

緊急事態を利用してポピュリズムが横行しないよう、決定の経緯について一言苦言を呈しておきたい。

現金給付はもともと、生活支援が目的だったはずだ。

収入が半減した世帯に対し30万円を支給するのは、休業要請で仕事を失い生活が困窮する家庭を救うことが目的であり、経済対策ではなかったはずだ。確かに支給世帯を選ぶのに手間がかかるというデメリットがあったが、筋は一応通っていた。

しかし、「これではお金をもらえる人が少なくて評判が悪い」というのが見直しの理由だと言う。

あれっ? 

これって収入が減る人の生活を支えるためにまとまった現金を支給するんじゃなかったっけ?

だったら、収入が減っていない人がもらえないのは仕方がないでしょうと私は感じるのだ。

吉祥寺@ブログ 「<吉祥寺残日録>一律10万円のバラマキ #200416」

緊急事態にはポピュリズムと独裁が台頭する。

それが歴史の教訓だ。

公明党はなぜここまで強硬だったのか?

「30万円支給案は評判が悪い」と公明党は言うが、誰に評判が悪いのか?

現金支給の対象とならない人たち、つまりは今回のコロナでさほど経済的打撃を受けなかった人たちであり、特に議員さんたちに直接文句を言える有力な支援者=高齢者たちに評判が悪いのだろう。

高齢者は投票に行くので、議員としては無視できない存在だ。

彼らは今回の見直しで1人10万円もらえることになる。年金生活者の中にはもちろん生活困窮者もいるが、現役世代よりもリッチな資産家も多い。彼らにも一律で10万円を支給する必要があるのだろうか?

逆に今回の見直しで、あてにしていた30万円をもらえなくなる人は誰か?

30万円案は世帯単位なので、家族が多ければ10万円案の方がもらえる額が増える家庭もあるだろう。

見直しで一番損をするのは、収入が半減した単身者ということになる。当然若い人たちが中心となり、この人たちの多くは選挙に行かないので、彼らが不満を抱いたとしてもあまり影響がない。

こうした計算が、公明党や二階さんを動かした可能性が高い。

吉祥寺@ブログ 「<吉祥寺残日録>一律10万円のバラマキ #200416」

この10万円、田舎の親たちは素直に喜んでいた。

そりゃそうだろう。

でも、緊急時に理性を保つことは、未来に禍根を残さないために極めて重要だと私は信じている。

4月20日 原油価格史上初のマイナス

ニューヨーク原油先物市場で史上初めて価格がマイナスとなった。原油需要が激減するなかで在庫が増え、保管スペースが枯渇。買い手がつかなくなった。

1バレル=マイナス37.63ドル。

売り手がお金を払わないと買ってもらいない異常事態だ。

しかし、この現象も一時的なもので、ロックダウンの解除とともに原油価格は急速に値を戻した。

4月24日 ステイホーム週間

ゴールデンウィークを前に小池都知事が打ち出した「ステイホーム週間」。

混雑が問題視されていたスーパーへは3日に1回、企業に対しては12連休を提案した。

この日、岡江久美子さんがコロナで死亡したというショッキングなニュースが飛び込んできた。

すっかり「コロナ慣れ」していた私にとっては頭を叩かれたようなニュースだった。

この日より少し前に、「コロナ慣れ」について私はこんなことを書いていた。

緊急事態宣言が全国に拡大されて最初の日曜日。

今日は朝から抜けるような青空で、真っ白な富士山もよく見える。

一年でも最も気持ちの良い今日のような日には、コロナのことも忘れてしまいそうになる。

欧米では今も毎日多くの人が亡くなり、日本でも感染者が1万人を超えて医療崩壊の瀬戸際だというのに、私はすっかり「コロナ慣れ」してしまい、悪いニュースを聞いてもほとんど驚かない。

「with コロナ」という言葉が世界に浸透する中、外出を自粛する生活が日常となり、「こんな静かな暮らしもありかな」と妙な平穏に浸っている。

吉祥寺@ブログ 「<吉祥寺残日録>大恐慌後の日本で起きた事 #200419」

数日後には、自分なりに「コロナ慣れ」の原因を分析している。

人間というものは、環境に適応する動物だということをつくづく感じる。

医療現場の窮状を心配し、仕事を失ったり事業の先行きに苦しむ人たちには心から同情するものの、このウィルスがすぐにはいなくならないことが理解できたことで、逆に一時の悲観論は私の中で大きく後退した印象を受ける。

この先、ひどい事態がいろいろ起きるだろうが、人間はウィルスと共存する方法を見つけるだろう。

ただ、各国の中央銀行が前例のない金融緩和に踏み切ったことで、市場にあふれた巨額のマネーが再び大暴れするのではないかと懸念する。

世界不況の中でインフレが進む「スタグフレーション」の可能性もあるかもしれない。

今の楽観主義も、一時的なものに終わるのだろうか?

吉祥寺@ブログ 「<吉祥寺残日録>西浦教授の会見を聞く #200427」

5月1日 補正予算成立

10万円の現金支給を柱とする補正予算がようやく成立、資金繰りに逼迫している中小事業者に対する最高200万円の『持続化給付金』の申請も翌日から始まることになった。

5月4日 緊急事態宣言を延長

この日、安倍総理は緊急事態宣言を5月末まで延長すると発表した。

この日の私のブログ・・・

さて、危機発生から一貫して非科学的な対応に終始している安倍政権は、お得意のキャッチフレーズとして今回「コロナ時代の新しい日常」「新たな生活様式」という言葉を打ち出した。

もうすでに、私もコロナと共に生きることに慣れてきたが、政府としてこうした生活がこれから長く続くことを国民に訴えたわけだ。

私のような在宅勤務のお気楽オヤジは、簡単に「コロナと生きる」「新たな日常」などと言ってられるが、生きるか死ぬかの判断を迫られている経営者の中には、1ヶ月の延長イコール「死刑宣告」という人もいるに違いない。

吉祥寺@ブログ 「<吉祥寺残日録>緊急事態宣言延長と「新たな日常」 #200504」

5月7日 休業要請延長

緊急事態宣言の延長を受けて、小池都知事が休業要請を延長した。

しかしこの日の一番のニュースは、大阪府の吉村知事が数値目標の入った独自の出口戦略「大阪モデル」を発表したことに対して西村担当相が噛み付いたことだった。

私のコメントはとても冷めている。

「吉村vs西村」と世間は面白がるが、所詮大した話ではない。

私は以前から書いている通り、今回のコロナ対策に関しては、知事たちに腕をふるってもらい、多くの人の知恵やアイデアを引き出し、政府はそれを支援しながらいい所採りするぐらいの度量が求められるマターだと思う。

安倍さんが一向に動こうとせず、厚労相も経産相も国土交通相も頼りにならない以上、西村さんに頑張ってもらうしかない。

2月ごろには、心から政府の対応に苛立っていた私は、もはや何も期待しなくなってしまった。

西村さんの健闘をお祈りしている。

吉祥寺@ブログ 「<吉祥寺残日録>休業要請延長後の吉祥寺を巡る #200507」

この日、新型コロナの治療薬として国内で初めて「レムデシビル」が承認された。異例のスピードでの承認手続きだった。

5月14日 緊急事態宣言39県で解除

東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、京都、兵庫、北海道以外の39県で緊急事態宣言が解除された。

専門家会議からは解除要件として、人口10万人あたり0.5人という目安も示され、日本でも出口に向かって一歩を踏み出した。

この日のブログ・・・

心配された欧米のような感染爆発が起きることなく、日本はなんとか最初の山を乗り切ったように見える。

検査数は相変わらず増えないが、全国で新規の感染者が減ってきて、逼迫していた重症者の病床にも少し余裕が出てきたそうだ。

政府の対策が後手後手を踏んだにも関わらず、G7の中では突出して少ない犠牲に留まっていることは素直に評価したいと思う。

一時は絶望的な気分になっていた私の心も、このところずいぶん落ち着いてきた。

様々な綻びは見られたが、ここまで医療崩壊を起こさずに頑張ってきた医療関係者や保健所の皆さんには、本当に感謝したいと思う。

しかし、日本がここまで何とか感染拡大をコントロールできた一番の理由は、クルーズ船騒動があった2月以来、自らの判断で外出を控え感染対策を自主的に行ってきた大半の国民の理解度と、自治体の休業要請を受けて自粛を守ってきた事業者の協力だと思う。

決して、官邸や厚労省の功績ではないだろう。

安倍総理は、本当にラッキーな人だとつくづく感じる。

吉祥寺@ブログ 「<吉祥寺残日録>緊急事態宣言39県解除で吉祥寺は? #200515」

そして・・・

5月25日 緊急事態宣言全面解除

緊急事態宣言の解除を受けて、地方自治体では休業自粛要請を解除する動きが活発化した。

プロ野球も6月17日の開幕を決めるなど、解除を待ちかねた様々な業界が感染対策に工夫を凝らして営業再開の準備を始めている。

WHOも日本のコロナ対策を「成功例」だと評価し、欧米のメディアは日本独自の方法が成功したのは日本人の国民性や習慣によるものと分析した。

何れにしても、こうして1月からの経過を振り返ってみると、日本のコロナ対策は極めて特殊だったことがよくわかる。

2月と3月が大きな山で、緊急事態宣言が出された4月以降は淡々と時が流れた印象が強い。

今回の経験は、第二波への対応にも効果を発揮するだろうか?

私と同様、多くの日本人がこの間に新型コロナウィルスについて多くの知識を身につけた。もしもどこかで感染者が増えたら、再び自粛生活に入ればいいという一種の安心感は得られたのだろう。

旅行業や飲食業など、コロナに直撃される業種の人たちがどこまで生き残れるかという問題はあるが、2月3月のような先の見えない不安には陥らずに済むかもしれない。

後は、政府や医療現場にやるべきことをきちんと準備してもらうだけだ。

どこの国がコロナと一番うまく付き合ったか、結果が出るのはまだずっと先の話である。

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