人がいないということは、ここまで人間を不安にするものだろうか?
見慣れた風景から人間の姿を消しただけで、全く違う空間が出現する。
昨日から始まった大相撲春場所は、史上初めて無観客で行われている。
観客がいない大阪のアリーナは静まり返っていた。
力士たちのぶつかり合う音、息遣い、まわしを叩く音、呼び出しの声・・・。
いつもは歓声にかき消されて聞こえない音がはっきりと聞こえる。
しかし、やはり違う。全然、違う。
観客の熱気、観客の歓声がない大相撲は、気の抜けた取り組みに見えた。
おそらく力士たちは手を抜いているわけではないだろうが、歓声がないだけで緊迫感が失われ、勝負がついても誰もが淡々としているように見えた。
大相撲の場合、取り組み自体は一瞬で終わる。むしろ勝負の前の仕切り、勝負の後の余韻、我々はそれを楽しんでいるのだ。
NHKの大相撲中継もテレビの場合はアナウンサーの実況も間が多い。解説の北の富士さんも、無観客の大相撲に強い違和感を感じているようで、アナウンサーとの呼吸も合わない。
人気者の炎鵬と御嶽海の取り組みでさえ、当然のことながら静寂にままである。
「私たちも慣れるしかないですね」とアナウンサーは話していたが、これはなかなか慣れそうにもない。
私は春場所は中止の方がいいと思っていた。
年6場所も行なっている大相撲の場合は、ひと場所休んだところで人気は衰えない。
力士たちの給料などの問題もあるだろうが、完売していたチケット代は全て払い戻すので、それほどダメージは違わないのではないかと思う。
やはり大阪場所は年一回なので、いろいろなしがらみがあるのだろう。
ひと場所休むと、力士たちのケガも治って、来場所いつも以上に熱のこもった取り組みが期待できると思うのは私だけだろうか?
プロ野球も無観客でオープン戦を行なっている。
そして今日、シーズン開幕も延期されることが決定した。
野球やサッカーの場合は、無観客でも大相撲ほどの違和感はないが、プロ選手たちにとってはやはりモチベーションに影響が出るだろう。
人がいないという意味では、イタリア政府の決定にも驚かされた。
コンテ首相は、ミラノやベネチアを含む北部地域を事実上封鎖する措置を発表した。
中国のような強制力はないが、対象となるのは人口の4分の1に当たる1600万人だという。
日本より遅れて新型コロナウィルスの流行が始まったイタリアだが、これまでに感染が確認された人の数は7000人を超え、死者も360人を超えた。
無人の上海や北京の光景もインパクトがあったが、中国という特殊な国として冷静に受け止められた。しかし、無人のミラノの映像は、近い将来の日本の姿ではないかとどうしても考えてしまう。
ウィルスを本当に押さえ込むためには、本当はこれほど思い切った行動規制を行う必要があるのだろう。
日本でも13日にも新たな特措法が成立するとみられているが、それを受けて安倍総理は非常事態を宣言するだろう。今、それに向けた準備を進めているはずだ。
今日から中国と韓国からの入国を事実上ストップした安倍政権。これでもし、アメリカが日本からの入国規制を始めたら、当面はもう失うものもない。
感染者数を意図的に少なく見せる必要もなくなり、日本でも本格的なウィルス検査は始まり、初めて感染の実態が明らかになるかもしれない。
その結果、「からっぽ」の東京が我々の前に出現することになる。
きょうの東京株式市場は、そうした事態を織り込んで1000円以上値を下げ、日経平均は2万円を割った。欧米市場の混乱だけでなく、日本経済が景気後退局面に入ることも織り込み始めているようだ。
これも、全ては想定内。
その時、必要な生活物資は中国のように供給されるだろうか?
それが心配になり、追加で食料の買い出しに行った。
絵になりませんね〜
(=^ェ^=)