ようやく待望の一発が出た。
松井秀喜が持っていた日本人メジャー最多本塁打記録175本に並んだ後、7試合ホームランがなかったドジャーズの大谷翔平。
21日のメッツ戦第2打席で今季5号となる特大のホームランを右翼席に打ち込み、メジャー通算本塁打数を176に伸ばした。
これにより松井の記録を超え、大谷がまた一つ球史にその名を刻むこととなった。
エンゼルスからドジャーズに移籍した今シーズンの大谷は、開幕直後、相棒だった通訳・水原一平の裏切りにより出鼻をくじかれた。
違法なスポーツ賭博で巨額の借金を抱えた水原通訳は、大谷の銀行口座から多額の送金を行なっていたことが発覚。
一時は大谷の選手生命にも関わる窮地に追い込まれた。
メディアや世間の関心がこのスキャンダルに集まる中、大谷は外部の雑音を遮断するように試合に出続ける。
この困難な状況にもかかわらず、大谷のパフォーマンスはさすがだった。
右ひじの手術により今シーズンは打者に専念する大谷は、2番DHで毎試合出場。
絶好調のベッツ、フリーマンに挟まれる形で開幕当初はなかなかホームランも出ず、打率も2割台が続いたが、徐々に調子を上げてきて、気がつけば今日のメッツ戦を終えて打率3割6分8厘、両リーグ通じてトップに躍り出た。
ホームラン5本、打点13はホームランバッターの大谷翔平としては物足りない記録だが、賭博疑惑で事情聴取も受けた選手の成績としては異常なほどの好成績と言っていいだろう。
ここまでの大谷翔平の置かれた状況を考えれば、彼の精神力、集中力には驚かざるを得ない。
今シーズンの大谷は、チームを移籍し、結婚もして、事件がなくても新しい環境に順応するのに苦労しただろう。
ましてアメリカに渡って以来、生活を共にし、自らの代弁者として常に寄り添ってくれていた相棒を突然最悪の形で失ったのだ。
ベンチで孤立し暗い表情を浮かべる大谷の姿を何度テレビ画面で見たことだろう。
普通の人間であれば、とても野球に集中することなどできるはずがない。
それでも大谷にとって救いだったのは、アメリカの検察が11日水原通訳を起訴した際、「大谷翔平は被害者だ」とはっきり大谷の関与を否定したことだ。
これによって、一時大谷にもかけられていた賭博関与の疑いが晴れ、最悪の場合、野球ができなくなるかもしれないという懸念が払拭された。
今後法廷で水原通訳の裁判が行われるが、司法当局の真のターゲットは水原通訳ではなく、違法賭博を取り仕切っていた胴元の摘発だと私は考えているので、水原通訳も司法取引により刑が軽くなる可能性もあるのではないかと見ている。
大谷が証人として法廷に呼ばれる可能性はまだ残されているものの、ひとまず疑惑の渦中からは脱して、文字通り野球に集中できる環境が整いつつあるように見える。
まずは、一安心だ。
今日の一発で、記録のプレッシャーからも解放された大谷。
例年夏場に調子を上げてくることを考えれば、ホームランや打点もいずれ上がってくるだろう。
それよりも今シーズンの大谷には「首位打者」を狙ってもらいたい。
大谷の特徴はなんと言っても打球の速さ。
通常の選手ならば内野ゴロとなる打球でも球が速すぎて野手が追いつけないというシーンをたびたび目撃する。
ドジャーズの強力打線を味方につけたことで、自らがホームランを打たなくても他の選手がなんとかしてくれるという安心感もあるはずだ。
来シーズンからは再び二刀流に復帰することを考えれば、打者に専念する今シーズンは大谷にとって「首位打者」のタイトルを狙える貴重な一年になる。
昨年のホームラン王に続き、今シーズン首位打者となれば、大谷翔平に新たな伝説が加わる。
それが結果として「三冠王」につながれば最高なのだが・・・果たしてどうだろう?
