今日は妻の誕生日だった。
川越や成田山に行ってみたいと言っていた妻ではあるが、どうもこのところ体力に自信がないようで、結局身近なところで調布までバスで出かけることになった。
なぜかと言うと、つい最近テレ東の『アド街ック天国』で調布の特集を見たからである。

久しぶりに訪れた調布の街は、中心となる京王線の調布駅が地下化されたため、駅の南北を繋げた広い広場に様変わりしていて、だいぶ街の印象が変わっていた。
時刻はちょうど正午を回ったところ。
とりあえず、「アド街」で紹介されたカレー店を訪ねることにする。

その店は、調布駅から歩いてすぐの路地裏にあった。
正確に言うと、古びたマンションの1階、向かいのビルとの間を抜ける薄暗い通路に隠れるように存在している。
とはいえ、私たちが訪れた時にはすでに数人の先客が入店を待っていて、12時開店の直後からもう満席のようだった。

お店の名前は、ひらがなで「かれんど」。
看板には「インドカレーの店」と書いてある。
創業は1985年というから、ちょうど今年で40周年を迎えた調布の老舗有名店なのだ。

行列に並びながらふと見ると、通路の先には、ビルの壁面にゲゲゲの鬼太郎のキャラクターたちがいた。
調布は漫画家水木しげる先生が長年暮らした街として知られ、鬼太郎に登場する人気の妖怪たちが街のあちらこちらに潜んでいる。

しかし、鬼太郎以上に私の目を引いたのは、こちらのイラストだった。
ターバンを頭に巻き、「GOOD」と言葉を発する男性のイラスト。
開店当初からこの壁に貼られているのか、もうボロボロで、テープも何度も貼り直された形跡がある。
それでも描き直すことなく、店の外壁を飾っているのはそれなりの想いが込められているに違いない。

25分ほど待って、ようやく店内に案内された。
4人掛けのテーブル席が3つと、2人掛けが1つ、そして2人分のカウンター席。
決して広くはないため、どうしても入店待ちの行列ができてしまうようだ。

メニューをチェックすると、カレー以外にもハヤシライスやクリームシチュー、京風親子丼やすき焼き丼まで用意されている。
飲み物も充実していて、値段も安い。
今時、1000円を超えるメニューがないお店というのも珍しいかもしれない。

でも、私はすでに注文するものを決めていた。
「アド街」で紹介されていた「キーマオムカリー」(800円)である。
やはりこの店の看板メニューらしく、テーブルに置かれていた雑誌の記事らしきものにもこのユニークなカレーが取り上げられていた。
『昭和60年の創業以来、調布市民にもファンの多いカレーの名店。いちばん人気はキーマカリーのオムスタイル800円で、薬膳効果のあるスパイスを駆使したキーマカレーがお皿にたっぷり。中にはふわふわの卵とご飯が隠れたサプライズ感のある一品だ。』

注文するとまず運ばれてきたのがこちら。
千切りキャベツのサラダではあるが、トッピングされていたのはなんとお豆腐。
こんな付け合わせのサラダは食べたことがない。
豆腐にはおかかが載っていて、キャベツやドレッシングにもそれなりに合う。

続いてテーブルにやってきたのは、妻が注文した「チキンカリー」(650円)。
誕生日のランチとしてはちょっと安価だが、出てきたカレーも実にシンプルに見えた。
おいおい、汁だけかよ・・・。

しかし、妻がスプーンでカレーの中を探ると、チキンがちょっこりと潜んでいた。
鶏肉以上に目立つのはたっぷりの玉ねぎ。
一口もらうと、辛口ながら醤油のような和風の味もした。
これが薬膳をふんだんに使ったこの店自慢のカレーということらしい。

少し遅れて、私が注文した「キーマオムカリー」もやってきた。
こちらは打って変わって、他の店とは明らかに違う見た目のインパクトがあった。
黒いお皿を覆うように盛られたカレーの山。

そこにスプーンを突き立てると、切り口にわずかながら黄色い卵とライスの存在が確認できる。
食べるとほんのり甘味もあって、なるほどねっという感じ。
調布の名店ということで期待値が必要以上に高まっていたため、それほど美味いという感想は持たなかったけれど、調布市民に長年愛される理由もわからなくはない。

カレーのお供として提供されるタマネギの甘酢漬けを加えると、俄然カレーの味が引き立つ。
これは相性なのか、それともタマネギ自体が美味しいのかは不明だ。
インドでは、辛さを中和するため生のタマネギを一緒に食べたりするが、この店のご主人はそれを自分流にアレンジしたのだろう。

残念ながら、この店のカレーは妻の好みではなかったようで、店を出ると調布の街をぶらぶらすることなく、バスで武蔵境に向かい、昔利用していた園芸店でムスカリの球根を購入して帰宅した。
誕生日としてはちょっと質素だった今年のランチ。
近頃少し元気のない妻だけれど、これからも仲良く歳を重ねられればと思う。
食べログ評価3.53、私の評価は3.30。
「かれんど」
電話:042-488-3157(予約不可)
営業時間:12:00 - 22:00
定休日:日曜