9月に入ってからずっと雨が降っている気がする。
しかも、寒い。
つい先日までTシャツ・短パン姿だったのに、クローゼットの奥からフリースを引っ張り出して着ている。
心配された妻のワクチン接種は、思いのほか副反応は強くなく、日常生活には支障がなく過ごせている。
この週末、三男が結婚式のアルバムができたので見せに来ると言っていたが、菅総理の突然の辞任により、テレビ局の政治部員なので急に忙しくなったらくし、後日改めて来るという連絡が来た。
次男からもLINE電話がかかってきて、久しぶりに動画で孫たちに対面した。
長女と次女の誕生日がそろそろなので、妻が誕生日のプレゼントに何が欲しいか問い合わせたところ、直接顔を見せてやろうということになったらしい。
コロナのせいでなかなか直接会うことはできないが、妻にとっては何よりのプレゼントである。
そんな何もする気が起きない土曜日、私は録画していたテレビ番組の中から妻が好きそうな番組を選んで再生した。
1本目は、『イギリス ガーデニング王国の熱い夏』という2010年に放送された「ハイビジョン特集」の再放送である。
ガーデニング王国イギリスの夏は美しい。風物詩である“庭公開”が各地で行われ、多くの人々が美しい庭を楽しむことができる。この風習と関わり深いのが、庭ガイド「イエローブック」。イギリス全土からえりすぐりの個人の庭が掲載され、ここに掲載されることは、人々の誇りともなっている。ある個人の掲載までの厳しい審査や庭公開の1日に密着。
引用:NHK
今ではすっかり有名になったイギリスの「イエローブック」だが、当時はまだ日本ではそれほど有名ではなかったようだ。
庭好きなイギリス人たちは定年後夫婦でガーデニング勤しむ人が多いようだ。
どんな庭にするか設計図を書き、季節ごとに花が絶えないように1000種類以上の植物を植えていく。
このようにはっきりと区画分けをしてたくさんのバラを育てる庭もあるが、イングリッシュガーデンの良さはなるべく自然に見えるように作る美しさである。
正解はなく庭づくりをする一人一人のセンスで思ったような庭を何十年もかけて作り上げていく。
そうした庭づくりに情熱をかける人たちの目標が毎年発行される「イエローブック」に自分の庭が掲載されることだ。
ただこの番組で初めて知ったのは、ナチュラルな美しさが魅力のイングリッシュガーデンというものが実はイギリス伝統の庭ではないという事実だった。
イギリスの庭は17世紀まで、フランスで一世を風靡した「整形式庭園」、つまり幾何学的で人工的な庭が主流でした。それが大きく変化したきっかけは、思いがけないものでした。当時イギリスはフランスと戦争をしていました。フランス的なものは愛国的でないということになったのです。そこで新しい庭のスタイルを作るために参考にしたのがイタリアの風景画でした。自然を大事にする気持ちが人々の中に芽生え、「風形式庭園」というイギリス独特の庭が生まれたのです。自然の状態を人工的に作り出すという発想は、イギリスの庭づくりの基本となったのです。
番組のナレーションより
もともとイギリスの大地は氷河時代に植物の多くが死滅し、自然が豊かな場所ではなかったという。
そこで大英帝国の時代、イギリスはプラントハンターを世界中に派遣し、珍しい植物を持ち帰り家々の庭に飾ることを奨励した。
それがガーデニング文化の始まりなのだそうだ。
自然を活かすイングリッシュガーデンの究極の形が見られる庭が、グロスター州(イエローブックNo.65)の「ストーン・ハウス」だという。
羊が草を食む田園風景を借景として取り込んだオープンな庭。
「ハーハー」と呼ばれる石垣で段差をつけ羊の侵入を防ぐことで、庭と放牧地の間の垣根を取り払い一体化しているように見せている。
確かに、こんな庭で風に吹かれていると、さぞ気持ちがいいことだろう。
もう一本、『秘密のイングリッシュガーデン』という番組も見た。
「イエローブック」に掲載された3つの庭を冬から初夏にかけて撮影した番組で、それぞれの庭の変化を確認することができた。
これは去年、コロナ禍のイギリスで製作された番組で、この番組を見るのは2度目である。
妻はもともとガーデニングが好きで、私も今年井の頭公園の植物観察をするようになって少しは花や木のことに詳しくなった。
岡山にある畑の活用法を考えるにあたり、畑ではなく庭にするというアイデアを密かに温めている。
ガーデニング好きの人はどこにでもいる。
岡山で何人か愛好者を探しガーデニングクラブを作れば、私たちの留守中も庭の手入れをしてくれる人が見つかるかもしれない。
どうせ作物を作っても出荷するのも面倒だし、プロが作るような作物を月一で作ることなどできないだろう。
それであれば、ガーデニング愛好家たちにあの畑を使ってもらって、自分たちが楽しむための広い庭を作ってみたらどうだろう、そう考えたのだ。
まずは、ミモザの木から植えてみよう。
そう、ひらめいた。
3月に咲く黄色い花は、私も妻も大好きで、毎年3月8日の「国際女性デー」のシンボルがこのミモザである。
イタリアではこの日を「ミモザの日」と呼び、昔から男性が女性にミモザの花を贈る習慣があるという。
日本でも少しずつ定着しつつあって、シンボルツリーとしてふさわしいのではと思った。
まずは、今年の冬に畑の土を掘り起こし、雑草の根を取り除くことから始めなければならないだろう。
どうすればあの雑草たちを駆逐し、庭づくりができるような土地に変えるか、イングリッシュガーデンへの道のりはまだまだ遠そうである。
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