全日本卓球選手権を見た。たまたま見たのではなく、見ようと思って見たのだ。

私が見たかったのは、石川佳純ではなく平野美宇だ。女子シングルスの決勝は２年連続でこの２人の対戦となった。Eテレで生中継された。

凄まじい試合だった。いきなり平野が４ポイント連取した。４連覇を目指す女王・石川をスピードで圧倒する。女子とは思えない高速卓球だ。めちゃめちゃ面白い。

私は愛ちゃんも石川も好きだが、以前から平野美宇のことが気になっていた。そのため、去年のリオ五輪に平野ではなく伊藤美誠が選ばれたので、「何でだ」と思っていたのだ。それでも美誠も頑張ってメダルに貢献した。しかし、補欠としてリオに行き、自分のライバルが活躍する姿を見ていた美宇はどんなに悔しかっただろうと同情していた。

私にとって美宇の魅力は、その見た目の弱々しさだった。いかにもおとなしそう、今にも泣き出しそうな風情が良い。応援したくなるのだ。それでいて実際には強い。メンタルも強い。美誠より上だと思うのだ。

今日の決勝、第１セット、第２セットと連取した。下がらずに打ち合う石川と平野の試合は女子卓球の新時代到来を感じさせる。

第３セット、女王・石川は平野のスピードに徐々に対応し、このセットを取った。さすがだ。石川の気の強さが顔に表れる。

平野の３−１で迎えた第５セット。平野が８−２でリード、勝負ありと思われた。ところが、ここから石川が意地をみせ、試合をひっくり返したのだ。本当に面白い試合だ。

それでも、最後まで平野のペースで試合は進んだ。ああ見えて美宇は本当にメンタルが強い。第５セットの大逆転で焦りが出るかと心配したが、第６セットは石川を圧倒し、見事初優勝を飾った。

１６歳９ヶ月での日本一は最年少記録更新となった。

平野美宇。彼女のスピードは中国に通用する。ぜひ中国勢を破って不可能と思われた世界一の座を目指してもらいたいものだ。