<吉祥寺残日録>吉祥寺を代表する高級店「葡萄屋」も閉店へ #200607

私の会社でも、明日から在宅勤務が原則終了となる。

そんなことで今日ほぼ2ヶ月ぶりに散髪に行ったのだが、そこで思わぬニュースを聞いた。

吉祥寺を代表するステーキハウス「葡萄屋」が7月で閉店するというのだ。

「えっ? 俺ついこの間、お弁当買いに行った時には何も行ってなかったよ」

私にとってはちょっと衝撃のニュースだった。

家に帰ってすぐに、葡萄屋の公式サイトを見てみた。

すると・・・

確かに、6月5日付で「閉店のお知らせ」が掲載されていた。

閉店のお知らせ
2020.06.05

拝啓 平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。

さて、突然ではございますが、諸般の事情により7月12日(日)をもちまして葡萄屋を閉店する運びとなりました。

1983年より37年間にわたり、皆さまから暖かいご支援とご愛顧を賜りましたことを心より感謝申し上げます。
皆様のますますのご健勝とご発展を心よりお祈り申し上げます。

敬具

2020年6月

葡萄屋

葡萄屋は7月12日に閉店する、という。

2階のステーキハウスを中心に、地下ではしゃぶしゃぶとすき焼き、3階には焼肉と、一棟まるまる使って様々なスタイルで肉料理を提供する吉祥寺には珍しい高級レストランだった。

客層も年齢が比較的高く、特にお祝い事やお客さんをもてなす際に利用するタイプのお店だったので、コロナの影響を特に強く受けたのかもしれない。

5月末から葡萄屋が営業を再開したのを知り、私もテイクアウトを買って少しでも応援しようと店を訪れたのは、今月2日のことだった。

いつも常連さんで賑わっていた1階の待合室には誰もおらず、お弁当が出来上がるまで受付の男性とずっとおしゃべりをしていた。

会話の中では5月に閉店した吉祥寺の老舗フランス料理店「芙蓉亭」の話も出て、「芙蓉亭のオーナーさんも葡萄屋の常連だったので本当に残念だ」とおっしゃっていた。

葡萄屋の閉店話などはまったくなく、「5日からはしゃぶしゃぶや焼肉も全館で営業を再開します」と話していた。

その時はまだ閉店が決まっていなかったのか、それとも受付の男性が閉店を知らされていなかったのか・・・。

お弁当を受け取りながら、「葡萄屋さんまでなくなったら困るのでコロナに負けずに頑張ってください」と声をかけて店を後にしたのだ。

あれからわずか3日後、「葡萄屋」は閉店を決めたことになる。

このニュースは、吉祥寺在住者にとってはかなりショックである。吉祥寺にしかない老舗の飲食店が次々に消えていく。

コロナとは直接関係ないが、中華料理の「竹爐山房」や喫茶店の「近江屋」も閉店した。そして「芙蓉亭」に続き「葡萄屋」まで・・・。

老舗であるということは、裏を返せばオーナーさんがすでに結構なお年だということでもある。

家賃や人件費といった資金繰りの大変さもあるが、今月で会社を辞めることを決めた私と同じように、コロナ危機にある種の「潮時」というものを感じたのかもしれない。

「潮時」ということで言えば、アナウンサーの久米宏さんがラジオのレギュラー番組を今月いっぱいで辞めることを発表した。

今年75歳だという。

久米さんの場合、直接のきっかけはコロナではなく、1月時点で番組終了は決まっていたという。その理由について、久米さんは「下り坂になってからやめるというのが一番良くないっていうのが僕の自説」と最後まで自分の美学を貫いた。

いかにも「久米さんらしい」、と思う。

TBS時代の軽妙な司会ぶりから、「ニュースステーション」に移籍してからのリベラルな姿勢。

そのあふれんばかりの才能を発揮し、アナウンサーとしてはもちろん、一貫して尊敬すべきテレビ人だった。

残念だが、久米さんには心より「お疲れ様でした」と声をかけたいと思う。

一つの時代を作ったお店や人が、去っていく。

寂しくはあるが、これがいつの世も人の営みというものなのだろう。

葡萄屋の跡地がどうなるのか?

吉祥寺の新たな老舗がそこから育っていくことを願いたいと思う。

参考記事

<吉祥寺グルメ>「葡萄屋」のテイクアウト「炭焼き牛タン弁当」

<吉祥寺グルメ>「葡萄屋」の「黒毛和牛炭火焼フィレステーキ」

吉祥寺@ブログ

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