<吉祥寺残日録>シニアのテレビ📺 フジテレビ月9「ミステリと言う勿れ」オヤジの胸に刺さる言葉たち #220222

今クール圧倒的に面白いドラマが、フジテレビの月9枠で放送中の「ミステリと言う勿れ」である。

田村由美さんの連載漫画を原作にして、主役の久能整を菅田将暉が演じている。

漫画好きではない私は、田村由美さんの漫画を読んだことはないし、この原作についても全く知らなかったが、単行本の累計発行部数がすでに1300万部を売り上げている超ベストセラーなのだという。

漫画は日本が世界に誇る文化だということは知っていても、私のようなおっさんに刺さる作品はなかなか見つからない。

だが、何気なくこの作品を見始めると、記憶力と観察力に優れて理屈っぽい大学生の久能整くんが淡々と話す言葉が、ビシビシと私の心に突き刺さってきた。

ストーリーではなく、その言葉の斬新さ。

これまでの人生で自分が至らなかった事を、ズバリ言い当てられた気がするのだ。

このドラマの中から、私の心に残った言葉を書き残しておこうと思う。

まずは初回放送分から、ゴミ捨てを手伝っているのに奥さんから感謝されないと愚痴る刑事に対する言葉。

『ゴミ捨て、どこからですか? オタクにゴミ箱はいくつあります? ゴミ捨てって、家中のゴミを集まるところから始めるんですよ。分別できてなかったらして、袋取り替えて、水切って、ついでに排水溝の掃除もして、ゴミ袋の在庫があるかどうかチェックして、そうやって一つにまとめるんですよ。そこまでが面倒なんですけど。出来上がった奴を持っていくだけで感謝しろって言われても、奥さん妊娠してるんですよ。』

我が胸に手を当てる。

私も仕事の忙しいのを言い訳にして、家の事は全部、妻に任せっきりだった。

さらに、ひき逃げされた妻子の復讐のために犯罪を犯した刑事に対して久能整が語りかけた言葉。

『復習は楽しかったですか? 聞くところによると、藪さんは刑事の仕事に命をかけて、家族を顧みず家にも帰らなかった。きっと息子さんの行事にも何一つ参加していないんでしょう。ひき逃げにあった時も、病院に駆けつけなかった。怖かったんですよね、死に目に遭うのが。現実を見るのが怖かった。刑事としての薮さんの代わりはいくらでもいるのに、そこは無視した。それほど大事だった刑事という仕事も、復讐のためなら捨てられるんですね。復讐のためなら時間を作れたんですか。どうやって犯人に辿り着いたか知りませんが、膨大な時間と努力が要ったはずです。しかもそれは仕事とは別だった。死に目に駆けつける時間はなくても、その時間は取れたんですね。なぜなら仕事と復讐のベクトルは同じだから。あなたにとってやりがいがあることだった。でも生きてる時に家族に関わることは、やりがいを見出せなかったんでしょう。薮さん、生涯でお子さんの名前を何回呼びましたか? さっき、奥さんとお子さんは喜んでくれるって言ってたけど、そうでしょうか? 僕が子供ならこう思う。お父さんなんだか楽しそうだね。あんなに忙しい忙しいって言ってたのに、刑事の仕事は何より大事で、そのために全てを犠牲にしてきたのに、お父さんが忙しいって言ってたのは僕たちに会いたくなかったからで、僕たちが死んだらもう忙しくなくなったんだ。』

刑事が怒って、「お前に何がわかるんだ」と掴みかかる。

すると、久能くんはこう言うのだ。

『わかりませんよ。薮さんの真実は薮さんにしかわからないし、僕の真実は僕にしかわかりません。僕は確かに親のすねかじりで働いたこともなく、嫁も彼女もなくぼーっと生きてます。ただ、僕は子供を持ったことはないですが、子供だったことはあります。親になると忘れてしまうのかもしれませんが、僕は今、子供の立場でモノを言ってます。』

復讐のために罪を犯したことを認めて力なく連行される刑事に、久能くんは問いかける。

『薮さんはさそり座ですか? 11月生まれですね。ネクタイピンがトパーズだ。ネクタイの色も毎日えんじで、さそり座の色ですね。奥さんのプレゼントですか? 服の下に腹巻きもしてる。足首にもウォーマーをしてる。新しいモノじゃない。奥さんが用意してくれてたんでしょ。奥さんはあなたの無事を祈り、体を心配してた。あなたはそれをしてあげたことがありましたか? 奥さんの好きな花を仏壇やお墓に飾ってあげていますか? お子さんが好きな食べ物を供えてあげていますか? そもそも何が好きか知ってますか? 復讐じゃなく、そういうところに時間を使いましたか? まずそれをしてみたらどうですか? 今でも見つかるはずです。家の中に、写真の中に、お二人の好きなもの。』

私にも3人の息子がいる。

子育てが一番大変な時期、仕事の方が忙しくて、この刑事ほどではないにしろ家族のことは後回しにしてきた。

幸い我が家は無事に子供が育ってくれたが、妻が悩んで相談してきても、「放っておけばいい」といつも適当なことで誤魔化した。

今から思えば、子育てよりも仕事の方が面白くて楽だったからだと思う。

整くんの言葉は、女性や子供の視点から発せられていて、男社会の常識のウソを鋭くついてくる。

私のこれまでも、妻や子供から見れば、逃げていたと責められても仕方がない。

そんなおじさんたちが抱えている後ろめたさのようなものを、久能整くんのセリフがぐさっと抉り出してくるのだ。

昨日放送された回は、児童虐待の問題を扱ったとても考えさせられるストーリーだった。

虐待されている子供を救うために、家に火を放ち親を焼き殺す手助けをする。

それで本当に虐待された子供たちは幸せになれるのかという重いテーマである。

最近、テレビで子供の虐待のニュースをよく見る。

私は決して熱心な父親ではなかったが、子供を虐待する親の気持ちはやはり理解できない。

映画「万引き家族」でも虐待される子供たちが登場したが、こうした子供をどうすれば救えるのか、本当に難しい問題である。

昨日の回でとても心に残ったセリフがあった。

それは久能整くんが子供の頃、いろいろあって家に帰りたくなくて、図書館に庭でぼんやりしている時に話しかけてくれた一人の女性の言葉である。

その女性は子供時代の整くんにこんなことを言った。

『この石について考えてみようか。なんでここにあるのかなあ? 当たり前にそこにあるもの。ある言葉。なぜそうなのか? 誰が決めたのか? いっぱい考えてみるといいよ。そして、それを誰かに話そう。誰もいなかったら私に話して。」

そんな昔話を思い出しながら、これからどうすればいいかわからないと途方に暮れる放火犯に整くんは淡々と語りかける。

『考えるといいと思います。身の回りにあること全て。考えて、考えて、考えて、考えて、誰かに話してください。』

相手のことをよく観察し、その人のことを知ろうとすること。

そして身の回りにある全てについて、考えて、考えて、考えて、それを誰かにそれを話してみること。

今更ながら、大切なことを指摘してもらった気がしている。

こういう素敵な言葉を紡ぎ出せる田村由美さんは、本当にすごい漫画家さんである。

そして、ドラマの方もとても良くできていると思う。

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