<吉祥寺残日録>自転車に乗って🚲 「東京周辺自転車散歩」を片手に多摩の小さな川をめぐる #220826

二十四節気の「処暑」を過ぎると、急に涼しくなってきた。

涼しくなったらサイクリングでもしてなまった体を鍛えようと思っていたので、さっそく昨日自転車に乗ってどこかへ行こうと考えた。

ちょうど図書館から借りてきた『東京周辺自転車散歩』という本があったので、その中からルートを探すことにした。

和田義弥さんというフリーランスのエディター&ライターさんと自転車人編集部による都心から奥多摩までおすすめの28コースが紹介されている。

都心や奥多摩まで漕ぐのはしんどいので、吉祥寺の近くのコースを探すと1つだけあった。

「多摩の小さな川を結ぶ」という23.5キロの周回コースである。

『調布、吉祥寺、祖師ヶ谷大蔵。3つのベッドタウンを、住宅街を流れる小さな川をたどって結ぶショートトリップ。深大寺や井の頭公園など見所も多く、休日をのんびり過ごすには最適なコースだ』と紹介されている。

本では調布駅北口からスタートすることになっているが、私は当然井の頭公園からスタートし、途中自分流に少しコースをアレンジしながらゆっくりと走ってみた。

8時45分、井の頭公園を出発。

井の頭池のほとりを走って東へ向かう。

井の頭池から流れ出る神田川に沿って南東へ。

神田川には夏草が茂り、草の間を縫うようにカルガモが泳いでいた。

神田川と井の頭線の間、道幅は狭くなるがずっと遊歩道は続いている。

8時52分、井の頭線の三鷹台駅に到着。

地図を確認してこの踏切を右折し進路を南に取る。

少し進むと玉川上水にぶつかる。

この宮下橋を左折して、玉川上水沿いの遊歩道に入る。

玉川上水沿いには結構樹木が鬱蒼と生えていて、周囲が住宅街であることを忘れるほど自然がいっぱいだ。

玉川上水沿いの細い道を抜けると、いきなり大通りに出た。

東八道路、通称30メートル通りである。

広い歩道には自転車道も整備されていて、東八道路の歩道をさらに東へ進む。

兵庫橋の信号を右折、橋を渡って再び南に進路を取る。

右手には、スポーツの強豪校「國學院久我山高校」が見える。

うちの三男が受験して落ちた学校だ。

地図を確認しつつさらに進むと、寺町通りという通りに入った。

その名の通り、通り沿いにはお寺がずらりと並んでいた。

いろいろな宗派のお寺が揃っていて、さしずめお寺のショッピングモールのような通りである。

家からそれほど遠くもないので、もしもお寺探しが必要になったら、お世話になることもあるかもしれない。

中央高速の高架の下をくぐり、さらに直進。

お寺がなくなり普通の住宅街に入っても、まだ寺町通りは続いているようだ。

国道20号線の交差点もそのまま直進。

9時22分、京王線の千歳烏山駅の入口に到着した。

ここで再び地図を確認し、交差点を右折して旧甲州街道に入る。

このあたりは街なので、車の交通量も多い。

自転車のすぐ脇を自動車が走り抜けていくので、こういう道はできれば避けたいと思う。

給田三丁目という三叉路を左折。

少しホッとする。

京王線を越えるとすぐに仙川にぶつかる。

和風のオブジェが立つ宮前橋を左折して、今度は仙川沿いの道を走る。

仙川にもびっしりと夏草が生えていた。

周囲は静かな住宅街で、自動車もあまり通らないので快適だ。

先に見えてきたフェンスは駒澤大学の野球グラウンドだった。

仙川の両岸から住宅が消え、緑になった。

このあたりは初めてきたが、祖師谷公園というらしい。

夏草の間を縫うようにそれなりのスピードで水が流れていて、結構気持ちがいい。

東京の川といえば昔はどぶ川をイメージしたが、今では水質もかなり改善しているようだ。

仙川沿いに桜のトンネルが続いていた。

春には周辺の人たちはここでお花見をするのだろうか。

低く伸びた枝に頭をぶつけないようあちこちに注意書きが貼られていた。

9時41分、鞍橋まできたら仙川ともさよならして右折、坂道を登って住宅街に入っていく。

このあたり、立ち並ぶ住宅がこれまで走ってきた住宅街とは少し違うように見えた。

後で調べるてみると、高級住宅街として知られる成城の北のはずれにあたる地域だった。

なるほどと妙に納得。

この先、再び庶民的な住宅街を抜け、少し広い通りに出ると、NTT東日本の巨大な研修センターが広がっていた。

さすが日本有数の大企業、どんな研修をしているのだろう。

調布市若葉町三丁目の三叉路を左折。

坂道を下っていくと・・・

「野川大橋」にぶつかった。

ここを右折して、今度は野川沿いの道を西へ進む。

野川は多摩川に注ぐ比較的大きな支流で、こう見えて一級河川なのだ。

三鷹に住んでいた頃、よく子供たちを野川公園で遊ばせていたので、我が家にとっては馴染みの深い川でもある。

国領に近づくにつれ、野川も夏草に覆われるようになる。

この季節の雑草は本当に生命力に溢れている。

野川が京王線とクロスする場所では、遊歩道はアンダーパスになっていて、踏切で待つ必要はない。

野川沿いにも桜並木があった。

かなり樹齢の古い桜もあるようで、近く伐採されるという張り紙が貼られた桜の木もある。

白いコサギが飛んできて、川の中洲に降り立った。

都会とは思えないのどかさが東京の小さな川には残っている。

本では調布駅の方まで行くことになっているが、私はそのまま野川沿いを進んだ。

先の方に中央高速の高架が再び見えてくる。

野川が中央高速をくぐるちょうどその位置を右折し、橋場橋を渡ってここで野川ともお別れだ。

この先の住宅街の中に日帰り温泉施設がある。

我が家も何度か訪れたことがあるが、かつて「ゆかり」と呼ばれていたその温泉施設は「湯守の里」という名前に変わっていた。

私が来ていたのは施設がオープンした頃だったが、あまり客が来なくなったのだろうか、少し寂れた印象になっていた。

その温泉施設のすぐ脇に、細い上り坂の小道がある。

深大寺南参道。

ここを登るとダルマ市で有名な深大寺へと通じる。

深大寺にも昔はよく来ていたが、本当に久しぶりだ。

でも、緑に覆われたその参道はとても趣があっていい。

名物の深大寺そばの店が今も何軒も軒を連ねている。

深大寺正面の山門はちょうど屋根の葺き替え工事を行っているようで通行止めになっていた。

仕方がないので、近くの「深沙堂」に自転車に乗ったまま手を合わせる。

このお堂の裏側に水源があり、明治時代の廃仏毀釈で取り壊されるまではここにも大きな深沙大王社が建っていたそうだ。

深大寺の周辺は国分寺崖線にあたり湧水が豊富だ。

お寺の前を流れるせせらぎの水がひときわきれいなのも、湧水のおかげである。

深大寺を後にして三鷹通りを左折、北へ向かう。

神代植物園も緑あふれる場所だ。

その公園の一角にかつて子供たちを遊ばせた小さな芝生の山がある。

夏にはここから調布の花火を見たこともある。

懐かしい場所だ。

芝生の山の下は調布市の体育館とプールになっている。

この施設ができた頃は、とても先進的に感じたものだ。

さらに北上すると東京都立三鷹中等教育学校の前に出た。

ここは元は次男が卒業した都立三鷹高校。

その後中高一貫校となって名称が変更となった。

そして再び東八道路へ。

このあたりは20年間過ごした我が家の縄張り、至る所に思い出がある。

そしてここを真っ直ぐ進めば、吉祥寺はもうすぐそこである。

11時すぎ、吉祥寺通り沿いにある人気のパン屋さん「トーホーベーカリー」の前を通りがかる。

相変わらず混雑しているが、久しぶりにパンでも買って帰ろうか。

前回来た時はコロナのため入場規制をしていたが、もう規制をやめたらしく、店内は身動きもできないほどの混雑ぶりである。

人気のカレーパンなどはすでに店頭から消えていて、次が焼きあがるまで待たなければならない。

ジブリ美術館も完全にコロナ前の状況が戻ったようだ。

平日にもかかわらず行列ができていた。

そうか、まだ夏休みなのか。

こうしてぐるっと一周して再び井の頭公園に戻ってきたのは11時17分。

「東京周辺自転車散歩」には一周1時間半と書いてあったが、実際には2時間半のサイクリングだった。

背中に背負ったリュックは汗でびっしょり、膝も少しおかしくなった。

やはりコロナ禍で体力が衰えている。

特に目的もなく自転車を走らせただけのサイクリングだが、寺町通りなど新たな発見もあり、川沿いの道は走りやすいということもよくわかった。

また涼しい日を選んで、知らない場所にサイクリングに出かけよう。

途中で美味しいものを食べるのを目的としてルートを決めるというのもいいかもしれない。

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