いのけん

図書館で「いのけん」という本を借りた。

「いのけん」とは「井の頭公園検定」の通称。2012年の井の頭自然文化園開園70周年、2017年の井の頭恩賜公園開園100周年を記念して始まったらしい。残念ながら、何年に最初の検定試験が行われたのかが書いてない。

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この本は予想したほど昔の話が書かれていないが、いくつか「へえー」と思った記述もあった。その一つがプールだ。

1921年(大正10年)、井の頭池東側の水門近くに、飛び込み台付きの天然池プールが開設された。東京市営公園プールの第1号で盛況だったそうだ。1933年には、この天然プールにかわって、弁天堂の近くに25mのコンクリート製プールが作られた。地下水をくみ上げたため、水が冷たいので有名だったという。このコンクリート製プールは、なんと1983年に廃止されるまで井の頭公園に存在していたというのだ。

83年と言えば、すでに私が就職し、結婚した後ということになる。井の頭公園には何度も来ていたが、プールの存在は知らなかった。妻は吉祥寺に住んでいたにもかかわらず知らないと言う。まさに、「へえー」だ。

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もう一つ、へえーだったのは花火大会。1951年から58年まで8年間、井の頭公園で夏の納涼花火大会が開かれていたというのだ。池にボートを浮かべて花火を見上げる人々の写真が残っている。7万人あまりの人が訪れたという。1950年代には他にも、ボクシングの試合やミス井の頭コンテストなどが開かれた。近隣住民の理解があったということだろうか。

今では、桜の名所として親しまれている井の頭公園だが、1917年の開園当時は杉木立に覆われていた。明治15年に、池の周囲に1000本の杉が植樹されたからだ。これは当時水道として利用されていた「神田上水」の水源涵養のためだったという。ところが太平洋戦争中の1944年、空襲で亡くなった方々の棺を作るために、約4ヘクタールの杉が伐採された。食糧難の時期には野菜や麦の畑になっていたという。現在公園にはおよそ500本の桜があるが、その多くは戦後植えられた樹齢70年の古木なのだ。

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個人的には杉木立より桜や雑木林の方が好きだ。プールは特にいらないが、できれば花火大会は復活してほしいと思うのだが、どんなものだろうか。

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