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<きちたび>マルタの旅2018②🇲🇹 “悪名高き”世界最大の格安航空会社ライアンエアーに乗るなら「 Flexi Plus 」が絶対オススメ

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🇲🇹マルタ 2018年8月

まだ行ったことのない国に行くことが私の夏休みの命題になってから今年で3年になる。

2016年は、カナダ。

2017年は、チェコ、ポーランド、アラブ首長国連邦。

そして今年は、スロヴァキア、マルタ、サンマリノに行った。

イタリア半島の南、地中海に浮かぶ小国マルタは私にとって84番目の訪問国となった。

ライアンエアー

マルタに行くルートをいろいろ探す中で、私はライアンエアーという航空会社を初めて知った。

アイルランド国籍の格安航空会社で、国際旅客数では世界一を誇る航空会社だという。そんなすごい航空会社をこれまで知らなかったとは・・・。

調べてみると、会社の設立は1985年。1997年に規制が緩和されると超格安運賃を武器にヨーロッパを中心に急速に路線を拡大した。便数や座席限定で、ロンドン〜パリ間0.99ユーロ、路線によっては0.01ユーロという桁外れの格安料金を設定して業界に衝撃を与えた。

私がパリにいた1996年にはまったく知らなかったので、その後LCCブームに乗って一気に急成長を遂げたようだ。

私はイタリアのボローニャ空港からマルタまでの往復で利用したのだが、比較サイトで検索すると圧倒的な安さで一番に表示されるのがライアンエアーだった。夏休み期間でも確か往復1万円程度だったと記憶している。オフシーズンだと、往復でわずか数千円だ。

予約は専用サイトから

ただし、ライアンエアーの問題点はここからだ。

予約はライアンエアーの専用サイトからしかできない。基本英語でヨーロッパの数十の言語に切り替えることができるが、中国語はあるのに残念ながら日本語の変換は用意されていない。

それでも私は、世界最大のLCC会社ということに興味を持ち、ライアンエアーを一度使ってみることにした。英語のサイトにアクセスし、戸惑いながら予約を試みた。

希望の日時の便を予約しようとすると、3つの選択肢が提示される。

「 Standard Fare 」「 Plus 」「 Flexi Plus 」の3つだ。

3つのクラス

「 Standard Fare 」は文字通り、正規料金。これが検索で提示された料金で、ライアンエアーの最低料金となる。圧倒的に安いのだが、この料金に含まれるのは飛行機に乗る権利と小さな手荷物を持ち込む権利のみ。座席指定を希望する人やスーツケースなど預入荷物のある人は追加料金を支払わなければならない。

「 Plus 」は座席指定ができて、機内持ち込み荷物も2つまでOKとなる。そして20キロまでの荷物を預けることも可能なのだが、料金はスタンダードに比べ3倍近くに跳ね上がる。

そして最上級の「 Flexi Plus 」は「 Plus 」クラスの権利に加えて、前方席が予約でき、予約便の変更も可能で、チェックインの際の優先レーンがある。

私は予約段階でよく理解できなかったが、スーツケースはあるし、座席指定がないのも不安だし、便の変更も必要になるかもしれないと思い、一番上の「 Flexi Plus 」を選択した。それでも料金は往復で280ユーロあまり(約36.000円)。他よりも安かった。

ストで大混乱

ウィーン到着後、予想もしないニュースが飛び込んできた。ホテルでテレビを見ていた妻が突然私を呼んだのだ。

「何だか、ライアンエアーがニュースになってるよ」

妻が見ていたのは、イギリスのスカイニュースだった。どうやら待遇改善を求めるライアンエアーの乗務員たちがヨーロッパ各地でストをやっていて、空港が大混乱になっているようだった。スカイでは、トップニュースの扱いでヨーロッパでの影響の大きさが伺える。

スマホでライアンエアーのサイトにアクセスしてみるが、私たちのフライトについて特段の情報は出ていない。ライアンエアーを諦めて、ウィーンからマルタへの直行便に切り替えようかとも思ったが、欠航の連絡も届いていないので覚悟を決めて予定通りボローニャに行くことに決めた。

初めてライアンエアーに搭乗する日、ウィーンからの朝便でボローニャに入り、ライアンエアーに乗り継ぐスケジュールになっていた。

乗り継ぎの時間は4時間半ほどあったのだが、混乱は覚悟していた。そもそも私たちの飛行機は飛ぶのだろうか?

ボローニャ空港で

ボローニャ空港はイタリアの地方空港で、空港施設も小さい。ターミナルビルまではバスで送迎だ。

ライアンエアーは離発着料金の安いこうした地方空港を積極的に利用することで格安料金を実現してきた。東京に例えるならば、羽田や成田は使わず茨城空港を利用する感じだろう。

出発の4時間前に空港に到着した私は、まずフライトの情報を求めて空港のモニターを探した。どうやら私たちの便は予定通り飛ぶようだ。

すぐにライアンエアーのカウンターを探す。チェックインにはまだ早いだろうが、情報は確認できるだろう。

通常LCCのカウンターは空港の端の貧相なものと相場は決まっている、と思っていた。

ところが、ライアンエアーはボローニャ空港で1、2を争う立派なカウンターを構えていた。

混乱した様子もない。ここでは通常通り業務が行われているようだ。

「 Flexi Plus 」専用レーン

しかし、カウンターの前から壁に沿って50人以上の長い行列ができている。

一番安いスタンダードチケットは自由席なので、グループや家族連れは早く来て行列に並ぶのがライアンエアーの場合常識となっているという。

「やっぱり行列かあ」と思いながらあたりの様子を伺っていると、レーンがきちんと分けられていることに気づいた。

まずは、こちら。「 PRIORITY 」と「 NON PRIORITY 」でレーンが別れている。

「 PRIORITY 」は荷物の預入OK、「 NON PRIORITY 」は小さな手荷物のみのスタンダードクラスの乗客だ。大きなリュックやボストンバッグは機内に持ち込むことはできない。

さらに、私が購入した「 Flexi Plus 」クラスには専用レーンが用意されている。

まったく待つことなく、出発の4時間前でもチェックインができた。大手の航空会社に比べてもはるかにスムーズだ。つまり、このクラスは料金は安いが、通常の航空会社で言えばファーストクラス扱いなのだ。

eチケットは必ず印刷を

ただ、ライアンエアーでチェックインする際、絶対に忘れてはならないことがある。

事前にオンラインチェックインを済ませ、eチケットをプリントアウトしておくことだ。この手続きについて、実はウィーンでひと騒ぎがあった。

予約後ライアンエアーからは時々メールが届いていたのだが、英語のためあまりちゃんと読まずに放っておいた。そしてウィーンからボローニャに出発する前日に、ホテルのWi-Fiを使ってスマホでライアンエアーの注意事項を確認しようとした時のことだ。

「ライアンエアーでは事前にオンラインチェックインをしてプリントアウトしたeチケットをカウンターに持っていかないと高額の印刷代を請求されるか、最悪乗せてもらえない」という書き込みがあったのだ。

あわてて過去に届いたメールを探した。

「搭乗の60日前から2時間前までにオンラインチェックインして、搭乗券をプリントアウトする」と書かれているではないか。これは、ヤバい。

スマホと格闘して、何とかオンラインチェックインを済ませ、ホテルのフロントに行ってプリントアウトを依頼する。

ホテルのフロント係は丁寧に対応してくれて、「ホテルのアドレス宛に印刷するものを送ってください」と言う。しかし、スマホ世代でない私は印刷したいページをどうやって渡されたアドレスに送ればいいのかよくわからず、深夜のホテルのロビーで一人格闘した。思いつくままにいろいろいじっていると何とか送れたらしく、フロント係が印刷してくれた。

「助かった」

でも、この仕組みを理解していれば、日本を出国する前に自宅でプリントアウトしていけばどうと言うことはない作業だ。ちなみに、英語の説明書きを後でよく読むと、ライアンエアーのアプリからボーディングパスをダウンロードすることも可能で、その場合は印刷する必要がないこともわかった。

ライアンエアーを利用することがあれば、この事前手続きはくれぐれもお忘れなく。

本場のボロネーズ

欠航も覚悟していたのに、あまりに呆気なくチェックインが終了してしまったため、ボローニャ空港で4時間も時間を潰さなければいけない羽目になってしまった。

空港ないのショップで時間を使い、レストランの開店を待ってランチを食べる。

ライアンエアーでは機内食も飲み物も有料なので、空港でしっかり食べておいた方がいい。

注文したのは「 Tagliatelle al Ragu Bolognese 」(15€)。

本場のボローニャの「タリアテッレ・ボロネーズ」である。タリアテッレは北イタリアで食べられているリボン状のパスタで、ミートソースで食べるのがやはり定番のようだ。

まあ、不味くはないが、日本人には日本のパスタの方が口に合うかな。

出発時刻が遅れる

そしてやることもないので、出発時間の1時間前には搭乗ゲートに行った。もう行列ができている。というか、床にへたり込んで順番を待っている。乗客は圧倒的に若者が多い。ライアンエアーは少しでも安く移動したいという若者たちに圧倒的な支持を受けているのだ。

数少ない椅子を確保して時間を過ごし30分ほどたった頃、マルタ行きの出発が遅れるとのアナウンスが流れた。

ライアンエアーは料金を安くするため、空港での準備時間を可能な限り短く設定している。だから、午後便になると朝からの遅れが蓄積しかなりの確率で遅延が発生するという。だから、待っている乗客たちも慣れた様子で特段文句を言う人もいない。

そしてさらに30分がたち、当初の出発時間が迫った頃、今度は出発ゲートが変更になったとのアナウンスが流れ、列を作っていた若者たちが一斉に移動を始めた。

もう順番がぐちゃぐちゃ、列がどのように並んでいるのかまったくわからない状態となってしまった。そして、出発時間は30分遅れから1時間遅れに訂正された。

私たちは、この混乱に巻き込まれるのを避け、椅子に座ったまま事態の推移を見守った。このあたりは年をとった強みだ。

搭乗も「 Flexi Plus 」優先

そのまま待つこと、30分。いきなり搭乗手続きが始まった。

「あれっ? 1時間遅れじゃなかったの?」

搭乗の順番も私たち「 Flexi Plus 」が優先。ずっと立って行列している若者たちを尻目に、飛行機に向かう。「多少高くてもこのクラスにしておいて良かった」と、この時も思った。

そして初めてのライアンエアー機との対面。

「結構ちゃんとしたジェット機じゃないか」と安心し、当然このままあの飛行機に乗るものだと思った。

驚きの搭乗方法

ところが・・・、である。

階段のところで突然ストップさせられた。前がつかえている。

窓から見えるのは、ずらりと並んだライアンエアーの機体。見えるのは全部ライアンエアー機だ。この空港は、まるでライアンエアーに占領されているかのようだ。

そして驚いたことに、私たちの目の前でライアンエアー機から乗客が降りてくるではないか。

「おい、あの飛行機、今着いたばかりなのか・・・」

私たちは、階段で止まったまま、乗客が降りた後、数人の作業員がやる気のない感じで機内に乗り込み出発準備をする様子を眺めながら、20分ほど待たされる。

そしてようやく機内準備ができたらしく、歩いて先ほど乗客が降りたばかりの飛行機に乗り込んだ。

大きめのバッグを持った人たちは、機内持ち込みを認められず、その場に残して搭乗するよう告げられる。それらのバッグは荷物室に収納される。

その場合の追加料金はどのように徴収されるのだろう?

ライアンエアーの機内は

機内は想像したより普通だった。

青と黄色というあまり趣味のよくない配色だが、椅子はレザーシートで椅子の間隔も特段狭くも感じない。これは私たちが前方席に座ったからかもしれないが・・・。

特徴的なのは、座席の背にポケットがないこと。これは掃除の手間を省くためだろう。

その代わり、法律で義務付けられている搭乗の注意書きが椅子の背に貼られており、飲み物が欲しい人はアプリから注文できるらしい。

CAさんは3人乗っていたが、彼女たちの主な業務は飲食を含めた車内販売を行うことのようだった。座席の上に置かれたカタログも、長く使っているようでヨレヨレだった。

どうせ2時間弱のフライト。移動さえできれば、それ以外のことは特に問題はないだろう。

乗客は機内で荷物待ち

一番驚いたのは、乗客が全員乗り込んだ後、機内持ち込みを拒否された荷物がそのまま置き去りになっていたことだ。

「あの荷物、どうするんだろう?」と思って見ていると、一人のおじさんがのんびりした感じで荷物に近づいてきた。

おじさんは、荷物を一つずつ、ゆっくりと持ち上げて作業車の荷台に乱暴に放り込んだ。またひとつ、またひとつ。ゆっくりと荷物を荷台に投げ上げている。乗客たちは機内からその様子を見守るのだ。10分ほどかけてようやく荷物を積み終わると、作業車を運転して我々の飛行機に近づいてきた。これから荷物の積込作業が始まるのだ。

要するに、飛行機の遅れの最大の原因となる乗客を早めに済ませて、その後で出発に向けた作業を行うというのがライアンエアーのやり方なのだと理解した。

結局、飛行機が飛び立ったのは定刻から1時間半遅れだった。

ライアンエアー私は使う

飛行機は、イタリア半島を縦断し、シチリア島の上空を飛んで、夕刻マルタ島へと無事到着した。

飛行そのものは、いたって順調、操縦も上手だった。到着時間は定刻の1時間20分遅れだったから、途中で少し時間を短縮できた計算だ。ライアンエアーのパイロットには、常に時間との戦いが要求されているのだろう。

まあ、いろいろあったけれど、個人的な感想で言えば、ヨーロッパでの移動にライアンエアーはありだと思う。いろんなマイナー路線を飛んでいて、料金も安い。サイトも日本語には対応していないが、シンプルで慣れればさほど苦にならないと感じた。

そして、ライアンエアーに乗るなら、私のようなオヤジの場合、絶対に「 Flexi Plus 」を利用すべきだ。安価にファーストクラスの乗客になった優越感を感じることができる。

妻がどう言うかはわからないが、次回のヨーロッパの旅でもライアンエアーを利用したいと、私は思っている。

<関連リンク>

3泊4日マルタの旅

①地中海のど真ん中にある小国マルタの不思議な奥深さ

②“悪名高き”世界最大の格安航空会社ライアンエアーに乗るなら「 Flexi Plus 」が絶対オススメ

③首都ヴァレッタの「グランドホテル・エクセシオール」で素敵なリゾートライフ

④世界遺産の要塞都市ヴァレッタを一日中歩き回る

⑤騎士団長の宮殿で千年に及ぶキリスト教vsイスラム教の戦いを考える

⑥咲き誇るハーブを求めてゴゾ島への日帰り路線バス旅行

<参考情報>

私がよく利用する予約サイトのリンクを貼っておきます。



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