ヴェルナー首相の先見性
さらにさらに、意外なところでは、宇宙産業というのもある。
こちらも本からの引用である。
自前の宇宙機関さえ持たない小国ルクセンブルクの政府が、1985年にヨーロッパ初の民間通信衛星の打ち上げ事業に巨額の投資をした際、国内外でこれを疑問視する声が多かったという。時の首相、ピエール・ヴェルナーは、それまでの国営放送の時代から民間の生死通信衛星による民間テレビ放送の時代がやってくるというビジョンに賭け、このプロジェクトを推し進めた。
これが、今日50基を超える静止衛星を打ち上げ、世界人口の99%にアクセスするグローバル企業、SES誕生のいきさつである。国際組織世界テレポート連合発行の2017年トップ・オペレーター・ランキングによれば、同社は売り上げ規模で、インテルサットを抑え、世界第1位の地位を維持している。今日でもルクセンブルク政府は同社の主要株主だ。ちなみに、ヴェルナーは1970年に欧州統一通貨構想を初めて提唱したことから「ユーロの父」と呼ばれ、さらに1980年代に国際金融活動に有利な環境をルクセンブルク国内にいち早く整え、今日のルクセンブルク金融センター繁栄の礎を築いたビジョナリーである。
ルクセンブルクは宇宙の資源インフラビジネスに将来性を見出した。
2016年2月、スペースビジネスに関するニュースでルクセンブルクが世界各国のメディアに大きく取り上げられた。民間による宇宙資源開発を後押しするために、宇宙で採掘した資源の所有権を認める法の整備に乗り出すと発表したのだ。
2018年現在ルクセンブルクの宇宙セクターでは、衛星本体製造に関わるメーカー、地上管制・支援企業、衛星関連サービス企業を中心に多くの企業が活動し、また国立科学技術研究所やルクセンブルク大学などの研究機関が基礎研究パートナーとなり、業界の技術開発を促進している。
「ルクセンブルクを知るための50章」より
全く知らなかったが、このピエール・ヴェルナーさんという人はすごい人だったようだ。
豊かな国とは・・・

神奈川県ほどの大きさの国土に57万人が暮らすルクセンブルク。
そこに世界レベルの産業がこれだけ集積しているのだから、「世界一豊かな国」となるのも納得である。
それは偶然手にした地位ではなく、先見性とチャレンジ精神の賜物であるということが、よくわかった。
しかも中東諸国のように資源を切り売りして金を稼いでいるのではなく、時代の一歩先をゆく産業を育成し、独自のポジションを維持している政府の能力の高さには感心せざるを得ない。
そして国を開き、移民を受け入れ、平和を守る姿勢を貫いている。
ルクセンブルクを歩いていても、ギラギラした金満主義を全く目にしない。実に穏やかで控えめ。そして人生を楽しんでいるように見える。
日本も人口減少を嘆くだけでなく、こうした真に豊かな国になるべく、やるべきことがまだまだありそうだと思った。
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