ラッカ陥落

昨夜NHKでラグビーの故・平尾誠二氏との友情について語る山中伸弥教授のインタビューを聞いていた時、突然速報スーパーが流れた。

IS国家が事実上崩壊したという趣旨だった。

唐突な速報。ISが首都としていたシリア北部の都市ラッカをクルド人勢力が奪還したというのがニュースの意味だった。

一応、今朝の日経新聞の記事を引用しておく。

『米国などが支援するクルド人を主体とする武装勢力は17日、過激派組織「イスラム国」(IS)が首都と位置づけて訓練や作戦の拠点にしていたシリア北部のラッカを制圧した。英国に拠点を置く非政府組織(NGO)「シリア人権監視団」が発表した。7月に最大拠点だったイラクのモスルをイラク軍によって奪われたISは組織として事実上崩壊した。

ラッカの奪還作戦を進めてきたクルド人主体の「シリア民主軍」(SDF)は同日、米軍による空爆の支援を得て、IS戦闘員が最後まで立てこもっていた病院とスタジアムを制圧した。

ラッカではIS幹部や外国人戦闘員が多数集まり、支配地域の拡大に向けた戦闘作戦の立案や支配地の経済政策を立ててきたとされる。IS幹部らの逃走先とされるシリア東部デリゾールも、アサド政権軍が90%以上を制圧した。』

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そもそも、バグダディーが「イスラム国(IS)」の樹立を宣言したのが2014年6月29日。彼は自らをあらゆる場所のイスラム教徒の指導者である「カリフ」と称し、イスラム国家であるカリフ統治領をシリア・イラク両国の制圧地域に樹立すると一方的に宣言したのだ。

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あれから3年あまり、世界中に恐怖を与えたが、その実態については未だによくわかっていない。ジャーナリストが標的となり、捕虜となり殺害された。インターネット時代に中世のような情報の暗黒地帯が出来上がった。同時に彼らはインターネットを駆使して、世界中の不満分子を自らの戦士に変えようとした。

モスルに続く今回のラッカ陥落により、IS掃討作戦は大きな山を越えた。しかし、これにより世界は平和に向かうのか、それともテロがより拡大するのかは予断を許さない。

同時に、気になる動きが出ている。イラク軍がクルド人支配地域に進軍し油田都市キルクークを占領したというのだ。今のところ、クルド人勢力が戦闘を避けて撤退したため大規模な武力衝突は起きていないが、このままでは収まるまい。

IS掃討作戦で大活躍したクルド人勢力は、先月25日にイラクからの独立を問う住民投票を行なった。

イラク、シリア、トルコ、イランに分断されたクルド人は、戦後一貫して自らの国を持つことを夢見てきた。今回のISとの戦いでの貢献は、そうした彼らの主張を世界に訴える絶好のチャンスである。

自らの国を持たない世界最大の民族と言われるクルド人の独立問題。元々は第二次大戦後のイギリスによる勝手な国境線確定が元になっているのだろうから、私などは認めてあげたい気持ちにはなる。しかしその地域には資源があり、各国にとってみれば国の分裂につながる大問題なのだ。

スペインではカタルーニャ州の独立問題が起きている。スコットランドの独立派も次のチャンスをうかがっている。

帝国主義の時代、力によって統合された世界が、分割されていくのは自然の流れなのかもしれない。経済的に豊かな地域ほどそうなのだろう。

理性から本能への回帰。そこには新たな対立の芽が育ち始めている。

 

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